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柔道女子78キロ超級 山部が武蔵魂の銅

東スポWeb 8月13日(土)16時44分配信

【ブラジル・リオデジャネイロ12日(日本時間13日)発】柔道女子78キロ超級で山部佳苗(25=ミキハウス)が銅メダルを獲得。強敵を相手に“宮本武蔵魂”で戦い抜き、初めて五輪の表彰台に立った。これで日本の女子代表は金1個、銅4個のメダルを確保し、4年後の東京五輪につなげた。

 あきらめない柔道がようやく花開いた。準決勝で敗れた山部だが、気持ちがなえることはなく3位決定戦を勝ち切った。

「4年間、辞めたいと思ったことはいっぱいあった。でも、ここまでつらいことをしてきて投げ出すわけにはいかなかった。メダル持たないで帰るよりは応援してくれた人のために持って帰りたかった」

 女子は男子と違い2階級でメダルを逃していた。山部はそれをプレッシャーに変えることなく、自分の柔道に専念。その覚悟が銅メダルを手繰り寄せた。

 心に誓ったのは支えてくれた両親への恩返しだった。まだ大学生だった2012年、柔道を教えてくれた父・徳一さん(56)が心筋梗塞で倒れ、集中治療室に入った。駆けつけた時、病院では「(機械が)ピーピーって鳴ってて、生死の境」という状況。山を越えた徳一さんから告げられた言葉がリオへの道につながった。「1回、海外で試合を見たいな」。山部の返事に迷いはなかった。

 メダルを取るための課題はメンタル面だった。代表選考レース真っただ中の2月の国際大会は重圧のあまり「畳の上に上がるのが怖い」と逃げ出しそうになった。ある強化委員は「びびりな性格は直らない。なかなか難しい」と山部の代表選出に疑問符をつけたほど。そこで宮本武蔵の「五輪書」を読みふけり、弱点を徹底的に鍛えた。「1冊全部に『ああ、ああ』とうなずいた」。剣豪の魂が乗り移り、気迫があふれるようになった。

 どんな時も見捨てず、叱咤してくれたのは担当の薪谷翠コーチ(35)だ。24時間のサポート態勢を取ってくれた。その薪谷コーチは「金メダルでないのは悔しいが、メダルには届いた。いつもだったら負けた瞬間『嫌だ』という感じだったのに、今回は『行くぞ』と。4年間『気持ちが弱い』と言われ続けていた。そういう意味では成長した…」と言うと、嗚咽(おえつ)が止まらない。

 4年後まで続けているかどうかは決めていないが、山部は「五輪は夢のある舞台だと思いました」。すべての思いを畳にぶつけ、銅メダルを手にした。

最終更新:8月13日(土)16時44分

東スポWeb