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八ツ場事業費 720億増 五輪背景に労務単価上昇

上毛新聞 8月13日(土)6時0分配信

 国土交通省関東地方整備局は12日、八ツ場ダム(群馬県長野原町)の事業費を約720億円増額し、約5320億円になると発表した。2020年東京オリンピックを背景に、公共事業の労務単価上昇などが押し上げ要因。新たな事業費を盛り込んだ基本計画の変更案を、費用を一部負担する関係6都県(群馬、埼玉、東京、千葉、茨城、栃木)に同日示し、意見照会の手続きを始めた。本県の負担分は従来より約33億8千万円増え、約249億4千万円となる見込み。

 同ダムの事業費は1986年に2110億円と告示された後、04年に4600億円に増額。建設中止を打ち出した民主党政権下で整備局が行った検証では、工事の遅れで55億円、地滑り対策などで149億円の増額が必要とされた。再開決定後、13年に工期を15年度から19年度に変更する際、国交省は「コスト縮減により、事業費を変更せずに対応できる」としていた。工期延長の同意に際し、都県側は「事業費の圧縮に努めること」と求めていた。

 整備局は「今回の増額の大半が労務単価の上昇など当時は分からなかったことが要因」と弁明。照会に対する各都県の意見提出には議会の議決が必要で、「関係機関の理解を得ながら事業を進めたい」とした。

 増額分の内訳は労務単価などの上昇分が233億円のほか、ダム本体建設場所の地質が明らかになり、基礎強化費用などとして202億円、貯水池周辺や移転代替地の地滑り対策費などとして141億円を計上している。

 大沢正明知事は「これまでも一層のコスト縮減と一日も早い完成を求めており、大変遺憾」とした上で、増額に関する県の意見回答について、「完成が遅れれば、生活再建事業にも影響を与える。計画変更の中身を確認し、総合的な観点から判断したい」とコメントした。

 水没関係5地区連合対策委員会の野口貞夫委員長は「地元としては、水没5地区の生活再建事業をできる限り早く進めてもらえるように望むだけだ」と語った。ダム建設に反対する八ツ場あしたの会は「地質への見通しが甘く、新たな工事が必要になった。ダム本体周辺の岩盤は複雑で、このまま堤体建設に着手するのは危険」と訴えた。

 八ツ場ダムは1952年に計画発表。民主党政権が09年に建設中止を打ち出すなど曲折を経たが、14年10月に本体工事に着手。今年6月に本体のコンクリート打設が始まった。

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最終更新:8月13日(土)6時0分

上毛新聞