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護衛艦「かが」初公試、完成秒読みに 海自ヘリ空母、4隻体制化の大きな意味、浮き彫りになる課題

乗りものニュース 8/13(土) 10:43配信

海上自衛隊で4隻目の「ヘリ空母」、そこにある意味

 2016年8月2日(火)、海上自衛隊の新鋭ヘリコプター搭載護衛艦「かが」が、初公試を実施しました。

【写真】海自ヘリ空母から発艦する「シーホーク」

「公試」とは、艦の建造および進水、そして必要な装備品を搭載する艤装作業を行ったのちに実施される性能評価試験であり、今回、「かが」は生まれの地である横浜市磯子区のジャパンマリンユナイテッドの岸壁からはじめて出港しました。「かが」は今年度末に海上自衛隊へ就役し実働体制に入る予定で、完成まで秒読み段階といえます。

「かが」は、海上自衛隊で最大の艦艇である「いずも型」の二番艦であり、全通飛行甲板を使ったヘリコプターの運用を主目的とする空母(航空母艦)の一種、「ヘリ空母」です。ひとまわり小さい「ひゅうが型」の「ひゅうが」と「いせ」、同型の「いずも」に続き、海上自衛隊のヘリ空母はこれで4隻目。そして「かが」の就役によって、海上自衛隊・自衛艦隊の主力となる4つの護衛隊群すべてに、ヘリ空母が配備されることになります。

 護衛艦は、その就役期間の3分の1を休息および修理、同じく3分の1を訓練に必要とし、実戦に投入できるのは残りの3分の1で、この3段階を繰り返し続けます。「かが」の就役でヘリ空母が計4隻体制になること、それは最低でも1~2隻のヘリ空母を高い練度の状態で維持できることを意味し、それによって有事における海上自衛隊の作戦自由度を大きく高めることが可能になります。

「海の戦い」で非常に重要な役割を果たす「かが」

「かが」および3隻のヘリ空母に課せられた最大の役割は「対潜作戦」です。現代の高性能な潜水艦は、常にその身を隠しながらの行動が可能。潜水艦を探知するには、ディーゼルエンジンを運転するため海上へまれに突き出される空気流入・排出口を探しだすか、ごくわずかなスクリュー音をソナーによってとらえるしかありません。

 ただいずれの方法も、ほぼ無限ともいえる広大な海に比べ、針の先ほどの範囲しか索敵することができないため、海中にひそむ潜水艦をピンポイントで探しだして駆逐することは、基本的に不可能といえます。

 そのため「かが」は通常7機、最大で十数機のSH-60J、またその後継機であるSH-60K「シーホーク」対潜哨戒ヘリコプターを搭載。複数機が同時に離発着可能な広い飛行甲板を生かし、自艦の周囲を常に「シーホーク」で哨戒することで、艦隊に接近する潜水艦を探知する「対潜哨戒網」を構築します。これによって、敵潜水艦を排除できなくとも、攻撃をあきらめさせたり、攻撃を受けた場合でも即座に反撃できると同時に、対抗手段を実施するための時間的な猶予を確保できます。

 現代では有事において、対潜作戦能力の低い艦は全く行動できません。たとえば1982(昭和57)年のフォークランド紛争において、アルゼンチン海軍は敵国イギリス海軍の潜水艦を恐れ、作戦に大きな制限を受けました。

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最終更新:8/19(金) 11:34

乗りものニュース