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人気のロケ地 昭和電工川崎事業所の本事務所

カナロコ by 神奈川新聞 8月13日(土)8時3分配信

 昭和電工川崎事業所(川崎区扇町)内にある昭和初期に建てられた本事務所がロケ地として人気だ。国登録有形文化財に登録されており、当時の面影を残す洋風建築がさまざまな作品世界とマッチするとか。空襲や復興、昭和天皇の戦後巡幸という歴史が刻まれた建物だが、知らず知らずテレビや映画で見ているかもしれない。

 本事務所は1931(昭和6)年に昭和電工の前身の昭和肥料の本事務所として建築された。鉄筋コンクリート2階建てで建築面積約700平方メートル。中央正面玄関を入ると吹き抜けの階段があり、手すりや窓枠などの洋風建築の装飾に昭和の薫りを感じさせる。

 2012年までオフィスとして使っていたが、現在は1階を資料室として使用。撮影は「映像のまち・かわさき」を掲げる市の方針に協力して受け入れてきた。

 30本近い作品で使われたという。最近では公開中の東宝配給の映画「シン・ゴジラ」で米国防総省のオフィスシーンとして使用。角川映画40周年の「エヴェレスト 神々の山嶺」では出版社として使われた。ドラマでは「三億円事件」「オリンピックの身代金」「不毛地帯」などの大作も多い。資料室では作品名と出演者、本事務所が使われた場面の写真を飾ってある。

 「同じく古い(1938年に建てられた)川崎市庁舎が解体準備で使えないため、最近はロケの申し込みが一段と増えている」と説明するのは資料室などを担当する同社川崎事業所の博田豪さん(69)。「高級な建材が使われているわけではないが、監督さんの感覚に合うものがあるのでしょう。昭和の時代設定で警察署や労働組合事務所などとして使われることが多い」と話す。

 川崎事業所は昭和天皇が終戦翌年46年から始めた全国巡幸の最初の訪問地としても知られる。戦後復興の食糧増産のために化学肥料の生産が重要視されたからだ。空襲で壊滅的被害を受けた中でも全壊を免れた本事務所前にテントを設け昭和天皇を迎えた。

 博田さんは「最近の若い人は見学に来ても川崎事業所の歴史的な話よりもドラマや映画の撮影で有名な俳優が来た話の方が興味があるようだ」と話している。

最終更新:8月13日(土)8時3分

カナロコ by 神奈川新聞