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大阪地裁の判決「民泊差し止め」の意味とは

ZUU online 8月14日(日)6時10分配信

近年、日本を訪れる外国人観光客が増加したことなどによって、民泊への関心が高まっています。民泊を経営する際には、近隣住民と折り合いをつけることが大切です。ところが、実際にはマンションの一室などで民泊営業をして、近隣住民に迷惑をかけている人もいるのです。

大阪地方裁判所が、マンションの一室で行われていた民泊営業に対し、差し止めを命じる仮処分を決定しました。このことから一体何を学べるのでしょうか。

大阪地裁の「民泊差し止め」仮処分決定の意味を読み解いてみましょう。

■差し止めのあった事件の概要

仮処分の決定書などによると、大阪市内の分譲マンション(部屋数100以上)において、2015年3月ごろからマンション内の特定の2部屋に多くの外国人が出入りするようになりました。そこで、この部屋では無許可で民泊営業をしているのではないかという疑いが持ち上がり、マンション内で問題になりました。

事態を重視したマンション管理組合は2015年11月、区分所有者に対して民泊営業を差し止めるための仮処分命令を申し立てました。これに対する決定として、大阪地裁はマンション管理組合の請求通り、差し止めを認める仮処分決定を出しました。

この決定に対し、所有者は異議を申し立てませんでした。

今回の大阪地裁の仮処分決定は、民泊営業を差し止めるという意味では全国初のものです。

■差し止めが認められた根拠は?

今回、大阪地裁ではマンション管理組合側の請求を認め、民泊営業の差し止めを認めましたが、この決定の根拠はどのようなものだったのでしょうか。

まず国土交通省の定める「マンション標準管理規約」が問題になります。その12条において、「区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用法に供してはならない」と規定しています。本件でのマンションの部屋利用方法が民泊営業目的である場合、この区分所有法の規定に真っ向から反していることになります。

また、このマンションにおけるマンション管理規約には、「専ら住居として利用する」という規定がありました。部屋を民泊利用しているなら、この管理規約にも明確に違反していることになります。

このように、今回のマンションの部屋利用方法には、明確に法律や管理規約に反しているという問題があったので、それに従って差し止めが認められたのです。

■仮処分によって差し止めができる前例に

今回、全国で初めて民泊の差し止めを認める仮処分がでました。仮処分とは、実際に裁判を起こして判決を得るまでの間、仮に何らかの処分を命じる決定のことです。

裁判には時間がかかるので、それまでの間、問題を放置すると損害が発生する場合などには、判決が出るまでの当面の決定として仮処分が認められます。

今回の差し止め命令も、このような仮処分決定の1つです。

これまでにも、外国人観光客の増加などによって、無許可で民泊営業をする人が全国で増えており、近隣住民との軋轢(あつれき)が生じています。

今回の大阪地裁の仮処分決定は、このような民泊トラブルが起きた際に、近隣住民が民泊経営をやめさせる手段として差し止めを認めた前例となる可能性が高いです。今後、今回の大阪地裁の決定を参考にして、少なくとも分譲マンションにおいては、民泊経営の差し止めを求める近隣住民が増えてくることが予想されます。

■一戸建ての場合には別の問題がある

今回、無許可での民泊経営に対し差し止めが認められたのは、分譲マンションでした。ただ、一戸建ての場合、これとは異なる問題があります。

分譲マンションの場合には、上述のように標準管理規定がありますし、マンション管理規約もあります。これに対して一戸建ての場合、そのような規定や管理規約による規制はありません。このため、一戸建てでの民泊経営で周辺住民とトラブルになっても、今回の仮処分を前例として差し止めを求めることは難しくなる可能性が高いです。

一戸建てのケースでは、今回とは異なる観点から問題を解決する必要があります。

■今後は法律で適切に規制する必要もある

現在、国は民泊に関する新しい制度の整備をすすめています。新制度では、家主がインターネットで届け出をすれば、民泊営業ができるようになります。

しかし、民泊営業は近隣住民とのトラブルが発生する可能性があるうえ、今回の仮処分決定のような裁判所の判断も出ているため、何らかの規制は必要性でしょう。

民泊営業に関する法案が、今年度中にも国会に提出される予定になっています。今回の大阪地裁の決定内容も踏まえて、民泊を適切に規制する必要があるでしょう。(提供:民泊投資ジャーナル)

最終更新:8月14日(日)6時10分

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