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北海道は「快速一般道」もあり 鉄道あきらめ、環境似る欧州参考に「道路改革」という選択肢

乗りものニュース 8/14(日) 10:05配信

鉄道経営が苦しいのは自明の北海道

 経営状況が苦しくなっているJR北海道は2016年7月29日(金)、維持困難な線区を今年秋までに示すと発表しました。

【写真】雪をかき分け宗谷本線を走るラッセル車

 これについて、道路交通の専門家(清水草一:首都高研究家)として、ひとつの提案を試みたいと思います。

 北海道の多くの地方において、鉄道経営が極めて厳しいのは自明です。というよりも、一部の主要都市住民を除く道民の多くが、もはや「鉄道の利用」をほぼ選択肢から外している、としても過言ではないでしょう。道内の主な移動の足は、クルマやバスです。

 たとえば稚内市。稚内~札幌間を直通で結ぶ特急列車は1日わずか3往復ですが、都市間バスは6往復で、朝から夕方までは2~3時間おきに走るため断然、便利です。所要時間は、特急が5時間強、バスは6時間弱と大差はありません。

 宗谷本線の北部、名寄~稚内間は輸送密度(1日1kmあたりの平均輸送量)が500人未満で、輸送に直接必要な経費もまかなえない状況にあります。そういった路線を無理に維持しても、北海道経済にとってプラスだとは思えません。鉄道をあきらめて都市間バスの増便および行き先の多様化を目指したほうが、利用者にとってプラスではないでしょうか。

 ただし、北海道の道路交通は高速化が遅れており、時間がかかりすぎるのが難点です。

 道北・道東地方は、費用便益比の低さから、高速道路の建設が遅れていました。もっとも、高速道路ができたところで、暫定2車線のため制限速度は70km/h。一般道より10km/h速いだけで、建設費のわりには時間短縮になりません。

「快速一般道」採用を 似ている環境、北海道はヨーロッパを参考にすべき

 そこで私が提案するのは、現状の国道や主要道路を改修して制限速度を引き上げる「快速一般道」的な制度の新設です。

 具体的には、ヨーロッパの一般道を参考に信号を廃止してラウンドアバウト(環状交差点)化を進め、「クルマは常に左側からしか合流してこない」という状況を作って安全性を高めます。これによって制限速度をアップさせるのです。

 ヨーロッパの多くの地域では、一般道の制限速度が100キロkm/h(郊外部)です。交差点はほとんどがラウンドアバウトのため、「減速」はあっても「停止」は滅多にありません。ただし、集落内は制限速度が40km/h以下というケースもあり、速度取締りの多くが集落入口の制限速度が下がるポイントで行われています。そこには、「クルマを安全に速く移動させる」という強い信念が感じられます。

 こうしたヨーロッパのような自動車交通を実現可能な環境を持つ日本唯一の地域が、北海道なのです。

 そこをクルマで走ったことのある人なら誰でも感じると思いますが、北海道はその日本離れした道路状況の良さをまったく生かしてしません。

 北海道は、自動車交通のアベレージ速度の高さから死亡事故率も高く、道警は日本一のネズミ捕り(速度取締り)態勢を敷いています。もちろん事故防止策が必要なのは確かですが、ただ取締りを強化するだけではなく、事故の防止と旅行速度の向上を同時に実現する方法を、「北海道共通の課題」として組織横断的に考えるべきではないでしょうか。

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最終更新:8/14(日) 21:38

乗りものニュース