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福祉削減になりかねない企画財政部の債務抑制法

ハンギョレ新聞 8月14日(日)18時39分配信

政府、財政健全化法の立法予告 政府債務比率を45%以下で管理 税収の拡充戦略は提示せず 福祉縮小につながるか

 健全な財政管理のために国家財政支出を法律で抑制する案を政府が進めている。主要先進国に比べかなり低い福祉予算の水準を考えると、この案は中長期的に福祉支出を減らす方向に働くものと見られており、議論が予想される。特に、政府は健全な財政管理と福祉需要の充足という二兎を得る税源の拡充については、中長期的な戦略を提示しなかった。

 企画財政部は、10日から「財政健全化法」制定案の立法予告に入ると、9日公表した。立法予告案は政府債務比率(政府債務を名目国内総生産で割った割合)を45%以下に管理する「債務準則」と、財政赤字比率(管理財政収支の赤字額を名目国内総生産で割った割合)を3%以下に抑える「収支準則」を法制化することを主な内容としている。これまで政府は自主的に政府債務の比率を40%までに抑え、財政収支は中期的に収入と支出が同水準の均衡収支を目標に予算を編成してきたが、この基準を一部調整し、法制化するということだ。

 企画財政部のソン・オンソク2次官は同日、政府世宗(セジョン)庁舎での記者懇談会で「構造的な低成長の流れと生産可能人口の減少など、財政環境が質的にも構造的にも変化しており、現状では財政の長期的持続可能性に問題が生じることになるという点を考慮して、財政運用の新しい枠組みづくりが必要だと判断した」と推進の背景を説明した。

 財政準則の法制化については、少子高齢化現象と統一費用などを考慮し、学界を中心に導入を求める声が上がってきた。特に、対外衝撃に弱い小規模の開放経済という特性から、財政を国の経済を守る最後の砦とみなす視点が財政準則の法制化の主張の基盤となっている。ソン次官は「最近、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が国家信用格付けを上方修正したことも、財政余力が十分だと評価したから」だと説明した。

 一方、財政準則の法制化が深刻な副作用を招きかねないという懸念の声も存在する。財政準則の導入が福祉支出をあまり増やさないか、削減する名分になりかねないということだ。 実際に、租税収入など財政収入を増やさないで、政府債務比率や財政赤字の比率を法律で統制する場合、結局、福祉支出の削減や追加支出を制約する結果をもたらす。
 経済協力開発機構(OECD)の経済統計システムによると、韓国の福祉予算の比重(名目国内総生産における福祉予算の割合)は2014年末現在、10.4%で、OECD加盟国の中で比較可能な28カ国のうち最も低く、OECD平均の21.6%の半分に過ぎないほど少ない。「私が作る福祉国家」のオ・ゴンホ運営委員長は「財政の持続可能性の確保と増えつづける福祉需要をすべて満たすためには、(支出を統制する)財政準則の法制化よりも、税入規模を引き上げる戦略が急がれる」としたうえで、「特に財政準則を先に導入した先進国では増えすぎた財政規模を統制するための措置だったが、韓国の財政規模は相対的に非常に小さいことを考慮しなければならない」と指摘した。

 ソン次官はこのような批判を意識したかのように、「福祉予算は、ほとんどが(法で強制された)義務支出なので、これからも増え続ける。現行の福祉制度が縮小されるわけではない」と強調した。しかし、企画税制部同日に配布した資料で、今後4年以内に10兆ウォン(9236億円)規模の福祉制度が追加導入されれば、国家債務比率が2060年に最大90%に達する可能性があると明らかにした。 福祉拡大に否定的な認識を示したのだ。

 政府が掲げた財政準則基準が2008年金融危機以降大きく変化した対内外の経済環境を考慮していないとの指摘もある。政府の基準は1990年代初めに締結された欧州連合条約を基にしているだけでなく、OECD加盟国の平均政府債務比率が2008年以前には60%前後だったが、危機以降、各国政府が財政支出を大幅に拡大し、この割合が110%を上回っているからだ。 政府は立法予告を行ってから、省庁協議と法制処の審査を経て、9月に国会に同法案を提出する予定だ。

キム・ギョンラク記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

最終更新:8月14日(日)18時39分

ハンギョレ新聞