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社説[ゆいレール昇降機故障]緊張と優しさに欠ける

沖縄タイムス 8/14(日) 9:55配信

 駅へと延びる何十段もの階段を見上げ、ため息をつく、お年寄りの姿が浮かぶ。

 沖縄都市モノレール「ゆいレール」の駅で、駅舎と屋外の舗道を結ぶエスカレーターやエレベーターの故障が相次ぎ、利用者に不便を強いている。

 驚くのは修繕されないまま最長で7カ月、最短でも3カ月の間、使えない状態が続くことだ。

 公共交通機関として緊張感に欠ける対応である。

 ゆいレール全15駅中、エスカレーターが故障しているのは壺川、美栄橋、おもろまちの3駅。エレベーターの故障は牧志、古島、儀保の3駅。

 そのうち、おもろまち駅は5月からエスカレーター1基が止まったままで、復旧は12月末になるという。

 美栄橋駅は7月からエスカレーターが使えず、こちらは復旧のめどが立っていない。

 各駅とも1基の故障で、別の昇降機を利用することはできる。しかし道路の反対側まで移動しなければならないなど利用者の負担は大きい。

 改札の外の「自由通路」と呼ばれる部分に設置される昇降機の管理は、国や県、那覇市など、その道路の管理者が負っている。

 県の担当者は「修繕費用の算定や部品調達に時間を要している」と説明するが、複数箇所が長期にわたってというのは、民間では考えられない話だ。

 部品調達になぜこれほど時間がかかるのか、経年劣化の対策はとっていなかったのか。きちんとした説明を求めたい。 

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 県民が待ち望んだ軌道系交通機関ゆいレールが開業したのは2003年の夏。

 今では、渋滞の心配がいらない定時性に優れた乗り物として通勤、通学の利用が浸透している。

 IC乗車券「OKICA(オキカ)」の普及も順調で、乗客数は4年連続で過去最多を更新。15年度は初めて1600万人を突破した。1日当たりの利用は目標を上回る4万4千人余りとなっている。

 「県民の足」として定着する一方、最近、目立つのは、那覇空港駅からホテルの多い県庁前駅や美栄橋駅、免税店のあるおもろまち駅までの区間を利用する外国人観光客である。

 重いキャリーバッグを引き、乗ろうとしたモノレールの昇降機の前に「運転停止」の張り紙があったら、どう感じるだろう。

 観光イメージにも悪影響を及ぼしかねない。

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 健康な人には想像しにくいが、足腰が弱くなったお年寄りや障がいのある人にとって階段は大きな障害物だ。段差につまずいたり、踏み外したり、転倒事故が起こりやすい場所でもある。

 沖縄都市モノレールのサイトのトップページには「人に優しいゆいレール」がうたわれている。障がい者やお年寄り、小さな子どもも安心して利用できるようバリアフリーを強調する。

 利用者サービスという視点に立てば、ゆいレールを運営する沖縄都市モノレールの姿勢も問われる。 

最終更新:8/16(火) 16:50

沖縄タイムス