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高騰する「投資不動産」の先行きはどうなる?

ZUU online 8月15日(月)6時10分配信

「不動産市場がバブルの様相を呈している」--。

市場関係者からそういった声が聞こえてくる。2016年8月現在、都市部を中心に不動産価格が全体的に値上がりしており、坪単価は上昇の一途をたどっている。

その一方で目立った上昇の兆しが見られない実質所得額の推移と、民間の「(円安による物価上昇により)生活が苦しくなった」という閉塞感もあいまって家賃は値上げし難い状況。投資用不動産の利回りは下落傾向にある。

■買い手は業者・ファンドと相続税対策の富裕層

不動産流通機構が運営している販売不動産ネットワーク「REINS(レインズ)」を参照してみると、東京都内の築浅・RC構造の区分マンションの表面利回りは4.5~5%、新築にいたっては3.8%となっており、収益性は決して良いとは言えない。

また高層・ハイグレードを売りにした1億円以上のいわゆる「億ション」。多少下火になったとはいえ今でも売れており、需要と供給が追いついていないことから、値段は高止まりをしている。

そういった状況にも関わらず、「不動産を買わざるを得ない」という状況になっているのがマンションの建築・リノベーション業者と投資ファンド、そして相続税対策を必要とする富裕層だ。

投資ファンドや年金基金、その他機関投資家は資金の振り分け先としてこれまで債券運用を行っていた資金を不動産に振り分けている。日銀が導入したマイナス金利の影響で債券利回りが下落し、想定していた収益を達成できないためだ。

運用における債券の位置づけというのは「安定した想定キャッシュフロー」と「値動きの小ささ」が強みだ。

例えば株式の場合、業績が悪化すれば想定されていた配当が下方修正されることも多く、状況によっては価格が大きく下落し、元本も大きく棄損するというリスクがある。

それに対して債券は額面に対して一定期間、発行体が破綻しない限り「確実に」利息収益が入ってくるというメリットがあるため、運用計画において収益を計算しやすい。また額面も債券価格が一時的に下落したとしても、償還日(返済日)には保有分の額面額が返済されるという形のため中期-長期の運用には非常に適しているという、株式には変えられないメリットがある。

それに取って代わる形となっているのが「不動産投資」だ。

まず不動産の場合、資産価値をベースとした簿価で資産評価を行うため、株式などのように一時的な相場の上下落で評価が動くわけではない。これは近年の不安定なマーケット状況において、金融資産の中でも非常に優位性がある。

またキャッシュフローにおいても「家賃」という形で徴収する関係上、保有する不動産の想定空室率と利回りをベースにある程度はじき出すことができるため、これを大数の法則に基づき空室確率を平均化すれば、安定した収入を出すことができる。

こういった需要があるため巨額の資金が不動産市場に流れ込み、価格を押し上げている。

■一時は注目された「タワマン節税」

また相続税対策としても不動産は活用されている。2015年度の税制改正において、「相続資産評価額が一定額までなら相続税を払わなくても良い」という「基礎控除」の額が減額され、いままで相続税の支払区分該当しなかった層が相続税を支払う必要性がでてきているという事態になっている。そういった方々に少し前まで注目されていたのが、タワーマンションなどを「相続税対策」に購入することだった。

現金や有価証券を不動産に換えて相続した場合は資産評価額が下がり、それに応じて相続税の額が減少する。そういったシステムを顧客に提案するセミナーなどが増えている影響もあり、立地がよく資産価値も高い不動産はどんどん購入されている。

これら2点の理由により発生した「特需」と、販売業者が需要にあわせ土地入札を行い仕入れ価格が高騰することによりその分を顧客に転換して価格が上昇しているというのが現状である。

■先のことは分からないが……

これらを踏まえた上で、運用アドバイスを行なっている立場としては「今は買わないほうが無難ではないか」というのが結論だ。

相続や運用利回りの確保など差し迫った問題が目前に迫っているのであれば話は別であるが、一個人が融資を組み、価格高騰・利回りの低迷が続く物件を保有するのはリスクが高い。また相続税対策で買うにしてもたとえ資産評価額を落とすことができても高値づかみしてしまった不動産が取得金額の3割4割と下落してしまっては何の意味もない。

ただしその一方で「1980年代後半のバブルとは少し様子が違う」という声も根強い。「当時は土地価格が一生上り続けるという土地神話の元、実態が伴わないまま価格が上昇した。それに対し、今回はファンドや相続税対策など確かな需要の上で売買が行われているので、価格は下落しない」という意見だ。こちらも確かに事実の一端を示しており、判断が難しい。

いずれにせよ、先のことは分からない。マイナス金利がどれだけ続くのか、アメリカの利上げにより運用対象債券の空白需要がどの程度埋まるのかといった不動産による運用需要の減退リスクや、不動産を利用した相続税対策にはメスが入るかもしれない、といったリスクもある。

またすでに需要を見込んで都市部では開発が進んでおり、どのタイミングで需要と供給のバランスが崩れるのかは、誰にも分からない。

不動産に限らず、購入しようとしている金融商品が「常識的に考えて」「適切な」価格であるのかどうか、今一度考えていただきたい。

土居 亮規(AFP、バタフライファイナンシャルパートナーズ)

最終更新:8月15日(月)6時10分

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