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最低賃金の大幅引き上げ、必ずしも低所得層にメリットはない

THE PAGE 8月15日(月)12時0分配信

 安倍政権の強い意向を受け、最低賃金が大幅に引き上げられることになりました。日本の最低賃金は諸外国と比べて低かったという現実を考えると、今回の決定にはそれなりの意味があると評価してよいでしょう。ただ、最低賃金の引き上げは必ずしも低所得層にメリットをもたらすわけではありません。場合によっては、むしろ中間層に利益をもたらす可能性もあります。

「低所得層」とは、どのくらいの収入の人たちのことなのか

24円引き上げ全国平均で822円

 厚労省の審議会は今年7月、最低賃金の目安を24円引き上げ全国平均で822円としました。24円の引き上げは2002年度以降ではもっとも高い水準となります。現在の最低賃金は全国平均で798円、もっとも高い東京は907円、もっとも安い沖縄などでは693円となっています。最終的な金額はこの目安を基準に各自治体が決定しますが、今回の引き上げによって700円以下の地域は消滅する可能性が高いとみてよいでしょう。

 一般的に最低賃金を上げると低所得者に恩恵があるとされており、安倍政権も低所得層への支援を通じて消費を拡大させたい意向です。しかし現実には少し異なる結果となりそうです。

最低賃金労働者の多くは、主婦のパート労働

 最低賃金からプラス40円の範囲の賃金で働いている労働者は全国で約500万人といわれています(内閣府)。最低賃金労働者のすべてがフルタイムとは限りませんから、賃金引き上げの効果を推定するには労働時間を加味する必要があります。内閣府は20円の賃金引き上げがあった場合、労働時間を加味すると900億円ほど賃金の支払いが増えると試算していますから、今回のケースでは約1000億円程度の効果があるとみてよいでしょう。

 ただ、全国には5000万人を超える労働者が存在しており、最低賃金水準で働く労働者は全体のごく一部に過ぎません。しかも、最低賃金で働く労働者の実情は一般的なイメージとはだいぶ違っているようです。経済産業研究所の研究員らによる調査では、最低賃金で働く労働者の半数以上が世帯年収500万円以上となっています。つまり、最低賃金労働者の多くは、主婦のパート労働なのです。

 最低賃金では、フルタイムで働いても年収ベースでは150万円程度にしかなりません。現実的に、この金額で家庭を維持することは難しいですから、最初から企業は最低賃金労働者として主婦をアテにしているわけです。

 したがって最低賃金を引き上げた場合、実際に所得が増えるのは低所得層ではなく中間層の可能性が高いということになるでしょう。全体に賃金上昇が波及すれば、もう少し高い時給で働いている低所得層にも恩恵が及ぶかもしれませんが、今のところメリットの多くは中間層にもたらされることになります。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:8月15日(月)15時30分

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