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欧米メディアでもトップニュース「天皇陛下のお気持ち表明」 女王の国・英国からレポート

ZUU online 8月15日(月)8時10分配信

8月8日に行われた天皇陛下の「お気持ち表明」は欧米でもトップニュースとして扱われた。

各メディアは“Japanese Emperor, Akihito”が高齢、二度の手術による体力の低下から、君主としての役割に肉体的な負担を覚えていること、自国と自国民への影響を懸念していることなどを含む天皇陛下自身の心境、悠仁親王誕生まで議論の中心となっていた、女性の皇位継承を含む日本の皇室典範改正問題、安倍政権周囲に漂う生前退位反対論など、広範囲にわたって今回の出来事を報じている。

欧米メディアに共通する潜在的な関心は、天皇陛下の退位そのものよりも、むしろ「退位後の日本がどうなるのか」という一点に向けられているという印象を、英国在住の筆者としては受けた。

■生前退位が認められている欧州君主国

欧米のメディアはおおむね、天皇陛下の意向に理解を示す反応を見せているようだ。

そもそも同様に君主制の残る英国、ベルギー、スペイン、オランダ、イタリアなどの欧州国では、生前退位が認められていることから、「なぜ日本では天皇陛下が自らの意思で退位できないのか」を読者に説明すると同時に、「法律で生前退位が認められていない」という問題の根底自体に、疑問や反感が見え隠れしている。

近年の例を挙げると、2014年に退位したスペインのファン・カルロス前国王を筆頭に、オランダでは2013年に退位したベアトリクス前女王を含め、その母であったユリアナ前女王、祖母ウィルヘルミナ前女王などが、3代続けて王座を娘に譲位している。

「多くの日本国民は天皇陛下の意思を尊重している」と報じる一方で、皇室の伝統厳守に固執する日本会議を中心に猛反対の声があがっているため、「天皇の意向が受けいれられる可能性は低い」という見方が強い。

■欧米メディアの強い関心は日本の軍事力強化の可能性

「(第二次世界大戦後の)天皇の政治的権限の失効は、日本人に天皇が神ではないという事実を認識させた」という出だしで始まる米ニューヨーク・タイムズ紙の記事は、それにも関わらず日本国民は天皇を国の象徴として崇め、それがゆえに「退位を許されない」と辛口だ。

しかしそれは第二次世界大戦後、平和主義を貫く日本において、天皇が平和の国の象徴として重要な役割を担っているためであり、同様に平和主義者である次期天皇(皇太子徳仁親王と想定)が、安保条約改定などで平和の砦の地盤を緩めようとしている「安倍政権に立ち向かうだけの力があるか」と疑問を投げかけている。

「皇位継承」と「安倍政権による日本の軍事力強化への方向転換」への懸念を示している欧米メディアは多く、7月の与党圧勝が欧米で報じられた際にも、軍事行動の制約緩和を望む安倍首相の今後の政策への関心が非常に高かった。

■90歳の英エリザベス女王「息絶える日まで君主を務めるのが自らの務め」

また天皇陛下が自ら表現された「天皇の高齢化」についても、関心が集まっている。代表的な例として、昨年90歳を迎えた英国のエリザベス女王が引き合いにだされている。
しかし「90歳の高齢者(エリザベス女王)を、炎天下のパレードや真冬の野外公務に引きずりだすのは酷ではないのか」という意見が稀な理由は、エリザベス女王自身が退位する気がまったくないからである。

英情報誌「THE WEEK」は今年4月、「チャールズ皇太子が国王になる日は訪れるのか」というタイトルの特集を掲載した。

英国では議会の承認が不可欠であるものの、生前退位が認められている。仮にエリザベス女王が生前退位を望めば、議会は女王の意思を尊重し承認するだろう。

それにも関わらず、67歳になった継承者、チャールズ皇太子に譲位しない理由として、「王位を継ぐには未熟と見なしているのではないか」との声も聞かれるが、エリザベス女王の伝記著者、サラ・ブラッドフォード氏はこの説を否定。「女王に生前退位を行う意思がないだけ。息絶える日まで君主を務めるのが、自らに課された義務だと考えている」と、英国をおさめる女王の意思を代弁している。

■君主に退位を求める英国人?同じ君主制島国の温度差

同じ君主制の島国という観点から、英国民が遠く離れた日本の君主退位表明を、どのように受けとめているのかというと、中には心ない中傷も目につくが、おおむね「憲法を改正し、退位を認めるべきだ」という意見が多い。

ここでも関心は、日本の天皇退位問題から移行し、自国の君主であるエリザベス女王が「いつ退位するのか」「退位する日がくるのか」という点に集中しているようだ。
意外にも英国民、特に若い世代には「女王は若い君主(チャールズ皇太子やウィリアム王子)に王位を譲るべきだ」、あるいは「君主制度自体が時代遅れなので廃止すべき」という意見が目立つ。

生前退位を望んでいるにも関わらず退位を許されない君主、退位する意思がないにも関わらず退位を求める声があがっている君主。皮肉めいためぐり合わせとしか形容のしようがない。(アレン・琴子、英国在住のフリーライター)

最終更新:8月15日(月)8時10分

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