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乗る? 歩く? 運賃初乗り410円 タクシー“ちょい乗り”実証実験始まる

THE PAGE 8月16日(火)14時0分配信

 タクシーの初乗り運賃を410円にする実証実験が5日、東京都内で始まりました。気軽にタクシーを利用する「ちょい乗り」を拡大しようという目論見なのですが、実は一連の動きの背景には自動運転の普及を見据えたタクシー業界の戦略があるともいわれています。

タクシー運賃の引き下げは業界成立以降はじめて

 現在、東京におけるタクシーの初乗り運賃は2キロ730円です。今回の実験では1.059キロまで410円という運賃が設定されました。一定以上の距離を乗った場合には、運賃はあまり変わらないか、むしろ高くなりますが、近距離での利用であれば圧倒的に安くなる計算です。重い荷物を持っていたり雨が降った時などのちょっとした利用を見込んでいるほか、外国人観光客の利用などを想定しています。

 よく知られているようにタクシーの運賃は規制の対象となっており、各社が自由に決めることはできません。国土交通省が運賃の上限と下限を設定しており、事業者から運賃変更の申請があり、その地域の7割を超える事業者から同様の申請があった場合にのみ変更の手続きが行われます。実は、タクシー運賃の引き下げが行われるのは、現在のタクシー業界が成立して以降、初めてのことになります。

 一般の業界のように価格競争をしなくてもよかったタクシー業界が値下げに踏み切ったのはタクシーの利用者離れが深刻な状況となっているからです。

 東京におけるタクシー利用者の数は過去10年で25%減少、運送収入も14%減少しました。今後はさらに利用者が減ると予想されることから、新しい需要の開拓に乗り出したわけです。

背景にあるのは自動運転戦略?

 しかし本当の理由はもっと別なところにあるとの見方も出ています。それは急激に進歩しつつある自動運転技術への対応です。タクシー最大手で今回の値下げを主導したともいわれる日本交通の川鍋一朗会長は、近い将来、自動運転車が確実に普及すると予測しています。

 クルマの多くが自動運転となり、ここにウーバーのようなシェアリング・エコノミーの仕組みが加わると、従来型のタクシーは存在意義をなくしてしまうでしょう。さらに言えば、タクシーが自動運転となり、スマホのアプリと連動するようになると、広告閲覧などとセットにすることで運賃を無料にするというやり方もあながち不可能ではなくなります。

 一部の先進的なタクシー会社では、今のうちに値下げを実施して近距離輸送の顧客を囲い込んでおき、一気に自動運転タクシーにシフトするという戦略を描いているのかもしれません。

 ちなみに日本のタクシー業界はこのような先進的な取組みを行う一方、政治力を使ってウーバーのような新しい企業の参入を阻んでいるともいわれます。シェアリング・エコノミーが完全普及するまでに時間を稼いでおこうという作戦ですが、うまくいくかどうかは現時点では何ともいえません。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:8月16日(火)14時29分

THE PAGE