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GDPから財政政策の重要性を再確認

ZUU online 8月15日(月)11時50分配信

2016年4-6月期の実質GDPは前期比+0.0%(年率+0.2%)と、2四半期連続のプラスになったが、コンセンサス(前期比+0.2%程度)を下回った。

1-3月期はうるう年の効果(年率+1.2ppt程度)などで前期比+0.5%(年率+2.0%、+1.9%から上昇修正)となり、4-6月期にはその反動が懸念されたがなんとかプラス成長を維持した。うるう年の効果を均して4-6月期を昨年10-12月期と比較すると実質GDPは+0.6%(年率+1.1%)増加しており、トレンドとしての持ち直しは確認された。

うるう年の反動、そして曜日並びのよかったゴールデンウィークなど、季節性が通常より大きく、季節調整の影響などで、結果が上下に大きく振れるリスクがあったが、その影響は若干下方に効いたようだ。

■企業活動の弱さを家計活動の持ち直しでオフセット

年初からグローバルに景気・マーケット動向が不安定化し、6月には英国のEU離脱問題もあり、企業心理と活動が下押された。実質設備投資は前期比-0.4%と2四半期連続のマイナスとなり、在庫増加に対する懸念から民間在庫投資の実質GDP寄与度も、3四半期連続のマイナスから持ち直しがみられなかった(-0.0%)。

生産活動向けの原材料の輸入も低調で、実質輸入は前期比-0.1%と3四半期連続でマイナスになった。英国のEU離脱問題への警戒など、グローバルに貿易活動は停滞しており、実質輸出が同-1.5%と弱かったのがコンセンサスを下回った大きな理由である。

一方、家計の活動には持ち直しの動きがみられた。雇用環境は極めてよく、賃金上昇も始まっているため、株価低迷などの下押しを乗り越えて、実質消費は前期比+0.2%と2四半期連続でプラスになった。堅調な企業収益を背景とした夏のボーナスの増加も貢献したとみる。4-6月期の名目雇用者報酬は前年同期比+1.9%と堅調である。

日銀のマイナス金利政策による、住宅ローン金利の低下の影響もあり、実質住宅投資が前期比+5.0%と好調で、3四半期ぶりのプラスになった。企業活動の弱さを家計活動の持ち直しでオフセットした形である上に、政府の政策対応の効果でプラス成長になったイメージである。

■実質・名目GDP成長率、GDPデフレーター上昇率、すべてプラス

2016年度の本予算の公共投資が前倒しされたこと、1月の2015年度第一次補正予算の3.3兆円程度、そして4月の熊本地震の復旧・復興予算の1兆円程度が執行され、成長を押し上げたようだ。実質公共投資は、前期比+2.3%と2四半期連続で増加し、実質政府消費も前期比+0.2%と8四半期連続で増加した。

成長を押し上げるための財政政策の重要な役割が再確認された。

数字で確認すると、実質GDP前期比(+0.0%)に対する民間内需の寄与度が+0.2%、公的需要の寄与度が+0.1%、そして外需の寄与度が-0.3%となっている。年初までの原油価格の急落による交易条件の改善によりGDPデフレーターは前期比+0.2%上昇した。2014年の消費税率引き上げ後の消費低迷による物価下押し圧力、そして円高の影響を上回ったとみる。

結果として、名目GDPは前期比+0.2%(年率+0.9%)としっかり拡大した。名目GDPを縮小から拡大に転換させたのがアベノミクスの最大の成果であるが、その動きに全く変調はない。

2015年度は8年ぶりに、実質GDP成長率(+0.8%)、名目GDP成長率(+2.2%)、そしてGDPデフレーター上昇率(+1.4%)がすべてプラスになった。

■円高圧力が低下し、2017年はデフレ脱却実感が訪れるだろう

グローバルな景気・マーケット動向がまだ不安定な7-9月期の実質GDPは若干のプラス成長にとどまる。だが、グローバルな安定と事業規模28兆円程度の財政拡大の効果(2017年度末までに実質GDPを1%程度押し上げると予想)が出始める、10-12月期から年率+1%超へ加速していくと考える。

米国景気のしっかりとした拡大がFEDの利上げの進展につながり、円高圧力は自然に減じていくだろう。グローバルな景気・マーケットの不安定感を各国の政策対応で乗り越え、先進国の堅調の成長がなんとか持続している間に、その好影響が波及して新興国が減速した状態から脱し、輸出と生産のサイクルも持ち直していくと考えられる。

2016年の実質GDP成長率は、+0.5%程度と潜在成長率なみである。2017年には+1.3%程度と大きく上回り、失業率低下が示す労働需給の引き締まりが総賃金の拡大を加速していき、アベノミクスによるデフレ完全脱却の動きの再開が、感じられるようになるだろう。

会田卓司(あいだ・たくじ)
ソシエテ・ジェネラル証券株式会社 調査部 チーフエコノミスト

最終更新:8月15日(月)11時50分

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