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誰かの明日を1ミリ良くしたい まげひらさん(中)

琉球新報 8月15日(月)12時0分配信

 「ちょんまげをやっていて、タレント活動をさせてもらいつつ、テレビCMの制作などを手掛けており、富士葬祭の社員であり、広告媒体として歩き回るのが僕の仕事」というまげひらさん。「表現すること」の原点は、幼少時に出会った「スーパーヒーローと音楽」でした。

(まげひらさんの「誰かの明日を1ミリ良くしたい」インタビュー上はこちら)



「誰かの記憶の断片が僕をかたどっている」

-すでにちょんまげ姿以外の想像がつかないのですが、小さい頃は、どんな子どもだったんですか

 小学校、中学校のときは、どちらかというと登校拒否児でした。学校に行ったら行ったで、それなりに楽しいんだけど、集団生活にはなじめず、コミュニケーションを取るのが苦手でした。幼稚園からずっとメガネをかけて分厚くて目が大きくなる感じで、そんなのも嫌だったんです。小3のときに、初めて自覚して登校拒否をしました。

-行かないでおこう、と決めた日のことは覚えていますか。

決めたことも、理由はなんでもよかったのも覚えてます。その時、自分の中のアイデンティティーのかなり深いところで決まっていることがあって、「僕は、僕個人が存在しているんじゃなくて、不特定多数の多くの人間の記憶の断片が僕をつくっている」と思っていました。誰かが知っている、っていう存在が僕をかたどっていて、この人たちがある日突然、僕の存在を忘れると、僕は死ぬ、という考え方に小3くらいで着地していて。そうとうヒマだったんだでしょうね、めちゃくちゃ考えてました。

 僕はすごく極端だったと思います。みんなといる時はすごく明るいし、みんなも僕のこと明るいと思っていただろうし。スポーツマンとか部活のリーダー気質の子とは違う、異質なジャンル、変な子ではあったと思います。そんなとき、背中を押してくれたのが、スーパーヒーローであり、音楽でした。

 




「仮面ライダーZO」と「静かなる日々の階段を」

-スーパーヒーローと音楽ですか。

 スーパーヒーローは、仮面ライダーZOというライダーの映画です。仮面ライダーZOに助けてもらった独りぼっちの少年が心を開いていくというストーリーで、その男の子に自分を重ねました。僕にも引き揚げてくれる誰かがいつか現れると。

 音楽は「明日少し良くなる」と思わせる音楽です。「救われたなぁ」と思うのは、Dragon Ashの「静かなる日々の階段を」という曲です。ぜひ聴いてみてください。
中学のときは何も思っていなくて、成績はむちゃくちゃ悪くて、1と2のオンパレードだったんですけど、中3で首里高に行こうって決めたんです。内申書もむちゃくちゃ悪い。でも決めて頑張ってやったらオール5くらいまで成績が上がって、順位も上がって。「おお、俺いけんな」と思いました。

 友達の質も変わって、目標を掲げている人と友達になるんですけど、がーっと上がって、しっかり落ちるんです。受験で落ちて、それから首里東高に入りました。ぎりぎり退学にならないくらいで卒業してその後、1年くらいフリーター。原チャリで家出して2週間くらい音信不通になって。その通りすがりにインターナショナルデザインアカデミー(IDA)を見つけて入学しました。

 専門学校では1年留年して、就活もせず、はてさてこれから、となったとき、卒業制作の課題でIDAのテレビCMを作ることになりました。そこで出会ったのが、当時、学校側が手配してくれた富士葬祭の写真事業部のカメラマンでした。僕はCMの脚本、編集、ディレクションとかをやったのを機に、富士葬祭の社長に出会うことになった。カメラマンが「こいつは少し飛んでるから、会社という組織には合わないだろう」と。

 社長からは「まずは目を合わせて話す」という基本的なことから指導されて3時間くらい話し、「とりあえず明日から来い」となりました。22歳で入社しました。卒業制作の作品は、IDAのホームページに載っています。めちゃくちゃ懐かしい。自分が出てます。(笑)。この15秒CMを作って、僕は学校を卒業したわけです。

 

(まげひらさんが制作したIDAのテレビCM3作品を見られるホームページはこちら) 

-撮影やディレクションはもともとお好きだったんですか? 専門学校で勉強したのですか?

 いや、もう仮面ライダーですね。幼い頃からライダーは憧れではあるけど、人が作っていることは知っていた。昔から仮面ライダーの設計図とか、理想のライダーの漫画を描いていて、そんなところから来ているのだと思います。仮面ライダーZOのビデオにはメイキングがついているんですけど、それが大好きで、この年になっても本編よりメイキングばかり見ています。

 映画は好きです。基本的にはハリウッドの超大作アクションといわれるジュラシックパークとかあの面々が好きです。特撮系、技術系のノウハウは、専門学校で学んだことというより、自分が見てきた映画のあのアングル、あのカット、というのを混ぜているのだと思います。

 音楽は分け隔てないです。ただ、はまるシーズン、みたいのがあります。バンドをやっていたこともあって、その時はヘヴィメタルとかハードコアとか。そのちょっと前は坂本龍一だったりしました。特筆してこれを聞きこむというより、直感的に「いい」と思うものをずっと聞き続ける。ずっと仮面ライダーZOを見続ける、というのと同じですね。

 -ご自分で歌う歌はどこから? 家でよく流れていた曲などありましたか

 実はうち、カラオケ文化があって、家族でカラオケに行く習慣が僕が産まれる前から両親にあったみたいです。両親がカラオケ大会で取ってきた額とかが家に並んでます(笑)。父、母、僕、弟2人、みんな共通して趣味は歌です。僕はカラオケに行くと、スターダストレビューとチャゲ&飛鳥ばっかりです(笑)

(聞き手・座波幸代)



まげひらさん(本名:前平雄一朗)

 1987年11月16日生まれの28歳。沖縄県那覇市出身。松川小→真和志中→首里東高校→インターナショナルデザインアカデミー(IDA)卒。那覇のローカルダウンタウン「栄町」で、祖母の代から続く八百屋を営む家の長男として生まれ育つ。身長165センチ、体重62キロ。A型。特技:即興ソング、即興ダンス、即興演劇、テレビCM制作、DA PUMPのような何か。資格:普通自動車運転免許


(次回は8月16日掲載)

琉球新報社

最終更新:8月15日(月)12時0分

琉球新報