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ガス小売事業者の登録申請が始まる、関西電力が早くも名乗り

スマートジャパン 8月15日(月)9時25分配信

 2017年4月1日に始まる都市ガスの小売全面自由化に向けて、電力の自由化と同様の動きが進んでいる。従来は政府の認可が必要だった家庭向けの都市ガスの小売事業が登録制に変わり、電力会社をはじめ新規に参入する企業が増えることは確実だ。

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 経済産業省は8月1日にガス小売事業者の登録申請の受付を開始した。初日に関西電力が先陣を切って申請を出すなど、エネルギー市場の新たな競争が始まろうとしている。各社が狙うのは電力と都市ガスのセット販売による需要家の獲得である。年内には電力会社のほかに石油会社や通信会社を含めて、主要な企業がガス小売事業者の登録を完了する見通しだ。

 ガス小売事業者の登録の流れは小売電気事業者と同じである。経済産業省が申請をもとに事業者の需給管理体制などを審査した後に、電力・ガス取引監視等委員会の審査を経て登録が完了する。申請から登録までは標準で1カ月程度かかる。9月中には登録を済ませたガス小売事業者が活動を開始して、事業者間の提携なども活発になっていく。

 国内のガス市場は都市ガスとLP(液化石油)ガスの2種類に分かれる。プロパンガスとも呼ばれるLPガスの小売は全面的に自由化されている。一方の都市ガスは電力と同様に大口の需要家から段階的に自由化の範囲を広げてきた。残る領域は年間の契約ガス使用量が10万立方メートル未満の家庭をはじめとする小口の需要家である。

市場規模は2.4兆円、顧客数は2900万超

 現時点でも家庭向けに都市ガスを販売できる事業者は全国で200社を超えている。市場規模は2.4兆円にのぼるが、そのうちの6割以上を東京ガス・大阪ガス・東邦ガスの3社が占める。家庭までガスを送る導管の距離も3社の合計で50%以上に達する。新規に参入する事業者は調達したガスを大手ガス会社に委託して家庭まで供給しなくてはならない。

 電力の市場と同様に寡占化が進んできた都市ガスの小売全面自由化で、最初から活発に動き出すのは電力会社だ。ひと足早く2016年4月に自由化が始まった家庭向けの電力市場は7.5兆円の規模があり、都市ガスと合わせると約10兆円になる。

 都市ガスの原料になるLNG(液化天然ガス)の輸入量では、東京電力をはじめ電力会社が全体の6割以上を占めてガス会社を圧倒する。大半は火力発電用だが、電力の需要が縮小する中で、家庭向けのガス小売事業を伸ばせる余地は大きい。電力とガスのセット販売で顧客を開拓することが可能になり、対象顧客は全国で2900万件を超える。

 そこで焦点になるのは、ガス会社が設定する託送料金である。電力と同様にガス会社の導管を利用するためには託送料金を支払う必要がある。東京ガス・大阪ガス・東邦ガス・西部ガス・東部ガスの大手5社は7月29日に、2017年4月1日から適用する託送料金の認可を政府に申請した。

託送料金の水準はガス料金の4割程度に

 託送料金はガス会社が導管の運営にかかる原価をもとに単価を設定する。東京ガスが申請にあたって試算した家庭向けの託送料金の水準は、現行のガス料金に対して40%前後である。これは電力会社が送配電ネットワークの使用料として小売電気事業者から徴収する託送料金の比率と同程度だ。

 大阪ガスの託送料金も家庭用では40%程度を見込んでいる。ただし業務用では20%以下になる。この点も電力会社の託送料金と同様で、小口の需要家を対象にするほど託送料金の割合は高くなるが、その差は都市ガスのほうが電力よりも大きい。

 実際に大阪ガスが申請した託送料金の単価を見ると、すでに自由化されている年間10万立方メートル以上の契約と比べて、家庭向け(年間3000立方メートル以下)は6倍以上に設定されている。電力の場合は家庭向けの低圧と企業向けの高圧の託送料金の単価の差は2倍程度に収まる。

 電力の送配電ネットワークと都市ガスの導管ではコストの構造に違いがあるため、単純に比較することはできない。とはいえ電力会社をはじめ家庭向けのガス市場に参入する事業者からは不満の声が出そうだ。政府はガス会社からの申請に対して修正指示を出す見通しで、12月中に託送料金を認可する。

最終更新:8月15日(月)9時25分

スマートジャパン