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山田裕貴×矢崎広、開幕直前の舞台『宮本武蔵(完全版)』への意気込みを語る

デビュー 8月15日(月)19時47分配信

8月19日より東京芸術劇場 シアターイーストで上演される舞台『宮本武蔵(完全版)』。劇団「五反田団」主宰の前田司郎が、同劇団初の“カツラ無き”本格時代劇として描き下ろし、2012年に上演された作品を新らに加筆し、舞台『宮本武蔵(完全版)』として上演する本作。伝説的なヒーローとしての宮本武蔵ではなく、臆病で人間臭い、等身大の若者としての武蔵が描かれ、そのだらしなさが笑いを誘う現代会話劇で、主人公・宮本武蔵を演じる山田裕貴と、佐々木小次郎を演じる矢崎広が、本番を目前に控え、本作にかける意気込みを語った。

【写真】舞台『宮本武蔵(完全版)』への想いを語った山田裕貴&矢崎広

【舞台『宮本武蔵(完全版)』山田裕貴×矢崎広インタビュー】

◆「会話劇の中でみせる葛藤などがすごく面白い宮本武蔵になっている」

――伝説の剣豪として有名な宮本武蔵とはまた違った視点で描かれる本作ですが、この作品に対しての印象を教えてください。

【山田裕貴】「一般的な“宮本武蔵”のイメージって、剣の達人で強かったり、カッコイイというイメージがあると思うんですけど。人間って、根本のところで変わらないんじゃないかなと思うんです。たとえ人斬りの時代でも、本当に斬りたくて人を斬っていたのではないんじゃないかなと。この作品の中での武蔵は、“宮本武蔵”であるから故に命を狙われてしまったり、人を斬ってきたからこそ、人との距離感がつかめずに、友達がいなかったりする。そんな中で、そういう悩みとかをセリフとかで打ち明けるわけではなく、会話劇の中で見せていく悲しさとか迷いとか、葛藤がすごく面白い宮本武蔵になっているなと感じました」

【矢崎広】「宮本武蔵を題材にして面白いことをやるというのではなくて、歴史を面白く読み解く感じで、“こうだったかもしれないな”と思うところがこの作品にはあるなと感じました。僕としてはそういう部分を大事にしていきたいと思っています」

――矢崎さんは佐々木小次郎役なんですよね。

【矢崎広】「佐々木小次郎というと剣豪で強くて、武蔵との巌流島の戦いが有名ですけど、この作品の中では新しい考えを持っている剣豪なんじゃないかなと思います。名を上げるために戦略的に人を集めたり、その当時にはあまりなかったような新しい考えを持っていて。その考えを基に伸し上がろうとしていた人物が、面白い武蔵とかいろんな人たちに出会って、自分の中の戦略とか状況が変わっていくような役どころなのかなと思います」

――お互い役者としての印象は?

【矢崎広】「山田くんとは今回が初共演なのですが、以前同じ朗読劇に出た事があって、その打ち上げで隣の席になったのが初対面だったんですけど、そのときにいろんな話をして。やっぱり一度出会ってしまうと、その役者さんが気になってしまうというか、ほかの作品で山田くんが活躍している姿を見ていて、お芝居が面白いなって思っていたんです」

――芝居が面白い役者さんという印象だったと。

【矢崎広】「芝居の緩急のつけ方がうまいなという印象がすごくありました。素敵な役者さんだなっていう印象とその魅力を感じたまま、今稽古しています。稽古していると山田くんの良いところがどんどん出てくるので、自分もこっそり勉強しているような感じで(笑)。ナチュラルに落とすところと、きちんとやるところの使い分けを無意識なのか、意識的なのか、すごくできる方で、そういういうところが面白い役者さんだなと思います」

【山田裕貴】「そんな風に思っていただいているとは思ってなかったので、素直に嬉しいです(笑)。僕も矢崎さんは同じように意識していた役者さんなので……。矢崎さんが稽古されているところをみるとすごく安定感があるというか、どっしりしている感じをみせずに、涼しい顔をしている感じが、より佐々木小次郎に見えてくるんです。僕は舞台3回目でまだまだ未熟な部分も多いですし、やっぱり経験値の違いで、すごいなって思いながらみていました」

【矢崎広】「ありがとうございます。なんか恥ずかしいですね(笑)」

◆「前田司郎さんの作品は言葉がすごくステキだなと」

――今回の企画は、山田さんが以前、前田さんのワークショップを受けに行ったことがきっかけということですが、どういう経緯で受けることになったんですか?

【山田裕貴】「D-BOYSは俳優集団なんですが、そういう“グループ”というものに属しているということで、たまに現場で『歌ってるの?』とか『踊ってるの?』とかって言われることがあったりして、それがすごい悔しくて。“ああ、そういう風に思われちゃうんだな”って思って。世間の目を変えるのはすごく難しいし、それを口に出して示していくのもカッコ悪いなって思ったんで、内部から攻めていこうと思って、脚本家さんのワークショップを道場破りみたいな感じでいろいろと受けていたんです。僕、“映画ノート”をつけているんですけど、『横道世之介』の脚本を前田さんがやられていて。作品はもちろん素晴らしかったんですけど、セリフというか言葉がすごくステキだなっていう印象があって。そんなときに、事務所の方から前田さんのワークショップがあると聞いて、これは行きたい!と思って参加しました」

――イケメン俳優に対して偏見を持っていたという前田さんも、山田さんの芝居を見て“面白い芝居をするな”とイメージが変わったとおっしゃっていますが。

【山田裕貴】「10日間のワークショップだったんですけど、終わった後に『イメージが変わった』って言ってくださって。その後、映画『ふきげんな過去』に呼んでくださって、いろんな方の助力があって、ワークショップから始まったものが、今回の舞台企画に繋がりました」

――矢崎さんはこれまでもたくさんの舞台に出演されていますが、前田さんの手掛ける作品について、どんな印象を持っていますか?

【矢崎広】「今回の本を読んだときにすごく難しい本だなという印象がありました。前田さんの言葉って生きているんですよね。『いや…』とか『え、』『あの』って随所に入っているんだけど、それに無駄がないんです。全部に意味があって、1文字1文字が生きている。それが伝わってくる本を書ける前田さんってすごいなって思います。演出を受けていても、難しいと思っていたことが、前田さんのニュアンスで言ってもらえると、“そういうことか!”って、1発で解決できたりするんです。役者に対してすごく親切ですし、やっていて面白いです。僕は、初演の『宮本武蔵』は拝見していないんですけど、また新しい『宮本武蔵』が山田くんを中心にできあがるんじゃないかなという予感はしています」

【山田裕貴】「前田さんの指摘の仕方って、たとえ話がうまいというか、役者にわかりやすく説明してくれるんですよね。“そういうことか!”と納得することが何回もありました」

◆「心が折れそうになるくらい、面白い方々ばかり」

――稽古も始まって、カンパニーの雰囲気や共演者の方々とはいかがですか?

【矢崎広】「みなさん強者揃いで……」

【山田裕貴】「本当に、心が折れそうになるくらい、みなさん面白い方々ばかりで。事務所の先輩でもある遠藤(雄弥)さんがいるのは心強いです。僕が心折れそうになっているときに、『大丈夫だから、バックアップしてやるから』とか言ってくださったりしてくれるので」

――心折れそうになるというのは?

【山田裕貴】「セリフの中にある『いや』『あの』って全部に意味があって、音が違ったらそういう風に聞こえない。しかも、一つの感情で言っていないんです。たとえば、感情を表に出して言うところと、それを隠そうとして言っているところがあったり、そういう部分の読み解きがすごく難しくて。だから逆に、解けていけば解けていくほど、どんどん面白くなるんですけどね」

【矢崎広】「強者揃いって言いましたが、そんな人たちが1つ1つのシーンで、自分なりに戦ってらっしゃるので、その姿を見ていると確かに焦る気持ちもわかる。それは本当に素敵なメンバーが揃ったなって思える瞬間だったりもするんですけど。それぞれがそれぞれにアプローチ法が違うんですけど、向かっているところが一緒という感じがすごくあって。“もっと面白くしたい!”というのを、先輩方を見ながら、自分たちも奮い立たせているところですね」

――新たな発見などはありましたか?

【山田裕貴】「この作品の本や稽古を通して思ったことは、見えているものだけを信じていてはダメだなって思いました。イメージとか第一印象とかというものよりも、きちんと人とコミュニケーション取りたいなと思ったし、イメージだけで物事を決めるのはやめようと思いました」

◆「いろんなエンターテインメントが詰まった舞台をぜひ体感してほしい」

――舞台観劇の機会が少ない、10~20代の読者に対して、舞台の魅力・面白さを伝えるとしたら?

【矢崎広】「僕も10代の頃はそこまで積極的に舞台を観てなかったですが、舞台は1回ハマると抜け出せない。すごい役者さんに出会えば出会うほど、“次は何してくれるんだろう?”って思うし、同じ作品を観に行っても、さらにハードルを超えられたときの衝撃っていったらすごいんですよ。目の前で芝居が行われているライブ感や“それ、わかる!”みたいな、一緒に共有している感じとか、舞台にはいろんなエンターテインメントがすごく詰まっているので、ぜひとも体で体感してほしいなと思います」

【山田裕貴】「テレビで観るよりも映画館の大きなスクリーンで観るとまた空気感が違う。舞台で生のお芝居を観ると、そのままの空気が伝わってくるし、その場にいる臨場感を体感できるというのが面白いんじゃないかなと思います」

――最後にメッセージをお願いします。

【矢崎広】「今新しい『宮本武蔵(完全版)』をみんなで作り上げている最中ですが、五反田団のファンの方もそれぞれの役者のファンの方、そのほかいろんなファンの方が観ても新しい発見ができる舞台になっていると思います。観終わった後に、いろんな考えが生まれる作品でもあるし、メッセージもたくさん詰まっているので、ぜひ劇場にご来場いただければと思います」

【山田裕貴】「この作品を観たら、これからの物事を見る目が変わるんじゃないかなと思います。すごく人間臭い宮本武蔵が、人間関係で悩んだり、恋人のことで悩んだり、本当に一生懸命生きています。いろんなことを感じてもらえる作品だと思いますし、すごく面白い作品になっていると思います。個人的な話なんですが、この『宮本武蔵(完全版)』を成功させられたら、俳優としてまた進化できそうだなと感じているので、ぜひ観に来ていただきたいです」

 舞台『宮本武蔵(完全版)』は、8月19日(金)~29(月)まで、東京劇術劇場 シアターイーストにて上演。

【プロフィール】
山田裕貴(やまだ・ゆうき)●1990年9月18日生まれ、愛知県出身。ワタナベエンターテインメント所属。ドラマ『受験のシンデレラ』(毎週日曜 22:00~ NHKBSプレミアム)、『死幣-DEATH CASH-』(毎週水曜 深夜24:10~ TBS系)に出演。さらに、映画『HiGH&LOW THE MOVE』(公開中)、映画『青空エール』(8月20日公開)映画『闇金ウシジマくん Part3』(9月22日公開)の公開が控える。12月17日公開の映画『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』への出演も決定。

矢崎広(やざき・ひろし)●1987年7月10日生まれ、山形県出身。トライストーン・エンタテインメント所属。舞台を中心にドラマ、映画、声優と様々なジャンルの作品に出演中。10月19日より上演されるミュージカル『スカーレット・ピンパネール』(東京、大阪)、2017年1月15日から上演されるミュージカル『ロミオ&ジュリエット』(東京、大阪)への出演が決定している。

最終更新:8月15日(月)19時47分

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