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東芝、営業利益の回復を手放しで好感できない理由

投信1 8月15日(月)17時15分配信

ボーナスカットがなければ営業赤字だったQ1決算

東芝の8月15日の株価は、業績の回復と上期業績予想の上方修正が好感され、大幅高で寄り付きました。ただし、2017年3月期第1四半期決算の内容を詳細に見ると、”素晴らしい”と手放しで称賛できるものではありませんでした。

特に気になるのは、営業利益回復の大半がコスト削減によるものであったことです。決算資料によると、増益要因は固定費削減が+338億円、緊急対策(賞与削減等)が+244億円と、コスト削減のみです。これでは、自律的な回復に向かったと評価するにはまだまだ時期尚早という印象は免れません。

仮にリストラ効果や従業員のボーナスカットがなければ、増収効果やミックス改善による増益効果が皆無であったため、大幅な赤字が続いていたということになります。また、緊急対策である従業員のボーナスカットは未来永劫にわったて継続できるものではないことにも留意すべきでしょう。

さらに、財務体質が依然として非常に脆弱であることも気掛かり材料です。2016年6月末時点での株主資本比率は7.0%と、3か月前に比べてわずか0.9ポイント改善したにすぎません。最終黒字を計上し剰余金は増加したものの、円高により外貨換算調整額が悪化したことが足を引っ張っていました。

今後、円高影響が一服して円安に向かった場合には改善の可能性はあります。しかし、社会インフラや半導体という事業を長期間にわたり継続していくためには、株主資本比率の絶対水準が非常に心許ないものであることには変わりありません。

なお、東芝は現時点で東京証券取引所から特設注意市場銘柄に指定されているため、株主資本を公募増資によって補強する経路が経たれています。

ただし、9月末に予定されている審査により指定が解除された場合には、資本増強のための公募増資を検討する可能性も十分に考えられます。その場合の1株あたり利益の希薄化リスクについても今後は注意が必要となります。

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最終更新:8月15日(月)17時15分

投信1