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「歴女」ら岡山に熱視線 名刀、武将テーマの展覧会活況

山陽新聞デジタル 8月15日(月)8時10分配信

 この夏、岡山が刀剣や歴史ファンの女性から熱視線を浴びている。日本刀や戦国武将をテーマにした展覧会が集中しているためで、複数の美術館、博物館をまとめて巡る県外客も目立ち、相乗効果を生んでいる。

 「すごくきれい」「これが土方さんの刀だ」

 幕末が舞台の人気ゲーム「薄桜鬼(はくおうき)」とのコラボ企画で、特別展「薄桜鬼刀剣録」(9月19日まで)を開催中の備前長船刀剣博物館(瀬戸内市長船町長船)。会場は若い「刀剣女子」で華やぎ、新撰組の土方歳三ら登場人物ゆかりの刀剣の前で黄色い歓声が上がる。

 同市の団体職員女性(22)は「(刀の表面に浮く)鍛え肌の迫力に鳥肌が立った」。ゲームで興味を持ったといい、イケメンキャラクターのパネルと見比べながら、じっくり鑑賞する。

 7月中旬の開幕以降、週末は1日約400人が訪れ、うち6、7割が女性。2カ月の会期で昨年1年間の入館者数(4万3千人)の約半数を見込む。

 「若い女性でにぎわうなんて、あり得なかった光景です」と興奮気味に話すのは、特別展「すべて魅(み)せます備前刀」(9月11日まで)を開催する林原美術館(岡山市北区丸の内)の浅利尚民学芸課長。週末を中心に1日120人前後が入場し、半分以上が女性だ。

 国宝、国重要文化財など32本の名刀を公開。写真撮影を許可したことで、スマートフォンやデジカメを手にした女性が次々訪れ、SNS(会員制交流サイト)で画像を拡散。呼び水の一つとなった。

 仙台藩主伊達家の名品をそろえた特別展「伊達政宗と仙台藩」(8月28日まで)を開催中の県立美術館(同天神町)も、普段はあまり姿を見ない「歴女」が増えているという。

 活況の大きな要因が3館の同時期開催にある。「いくら刀剣や歴史が好きでも、1館だけでは踏み切れなかった」と愛知県の会社員女性(36)。オンラインゲーム「刀剣乱舞」で魅力にはまり、2泊3日で全館を巡るツアーを決行。心ゆくまで名品に触れ、「テンションが際限なく上がる“ハイパーインフレ”状態。全く見飽きず、何度でも訪れたい」とまで話す。1泊2日で2館を回った広島市の会社員女性(29)も「見どころが多すぎて時間がかかりました」と満足そうだった。

 館同士の連携も盛り上げに一役買う。林原、県立美術館は一方を観覧すると、もう一館の観覧料が2割引きとなる相互割引を実施。林原は伊達家コーナーを設け、刀剣博物館とはポスターなどで相互にPRする。

 各館はファン層を広げる好機ととらえ、多彩なイベントやサービスも用意。刀剣博物館は、初心者向けの鑑賞会や手入れの講習会を開き、林原は刀の超高精細画像のモニターを設置。県立美術館は政宗の甲冑(かっちゅう)の試着体験など工夫を凝らす。

 刀剣博物館の植野哲也学芸員は「備前刀など美術工芸品を守り、技術を伝承するにはファンの数が鍵。あの手この手で魅力をPRし裾野を広げたい」と話している。

最終更新:8月15日(月)8時10分

山陽新聞デジタル