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『ポケモンGO』がファッションの新たな可能性を掘り起こす--chloma鈴木淳哉インタビュー

SENSORS 8月15日(月)13時21分配信

いままで子供向けゲームだったポケモンはAR/地図との掛け算で大人も楽しめる『ポケモンGO』へと進化した。世界中がリアルな世界とバーチャルな世界の融合を体感した2016年夏だが、『ポケモンGO』をトリガーにファッションにも変化が起きそうである。ファッションレーベル「chloma」代表・デザイナー鈴木淳哉氏に伺った。

8/15(月)開催中の 「SENSORS FASHIONCODE WEEK」では、鈴木氏の手がける「chloma」展示も楽しめる。

筆者の友人(20代前半・美容師)は幼稚園の時の将来の夢はポケモントレーナーになること。 そんな彼は『ポケモンGO』を手にして、自分の夢に一歩近づける気がすると言っていた。 アニメを見て育った子供が大人になり様々なビジネスにアニメを融合させる例は多く存在するが、 同様のことがポケモンでも起きていくかもしれない。
今回取材したファッションデザイナーchloma代表 鈴木淳哉氏はポケモンおよび『ポケモンGO』の出現がファッションの可能性を拡張すると語る。 ポケモンで育ったデザイナーがどのようなファッションを展開するのか?インタビューを行った。

--ファッションデザイナーとして今年の『ポケモンGO』現象をどのようにとらえていますか?

鈴木: よりゲームへの没入度を高めるためにポケモントレーナーを意識した装いをしたり、 効率的にゲームをこなすためのスニーカーを選んだり、 ポケストップに集まる他のトレーナーとの出会いに備えていちおうオシャレをしたり..と、 ゲームによって、現実での行動や装いが変化させられる可能性が大いにあるという事を 世界中の人が体験、実感できたのは非常に大きい出来事ではないかと思います。 いつもの見慣れた風景の上にポケモンという物語がレイヤーされ、 その世界のための振舞いや装いが確かに発生したと思います。

ファッション的観点からもう1点。アバター選択場面において特筆すべき点がありました。 ゲームをスタートすると、左側には一見女性に見えるアバターが、右側には一見男性に見えるアバターが並び、そのどちらを自分のプレイヤーキャラにするかの選択をします。 その画面では「あなたの性別を選んでください」ではなく「あなたのスタイルを選んでください」と表記されていました。 これはとても斬新で、優しく、現代的な配慮だと感心しました。言葉遣いひとつの違いだけでとても自由になれる。 このような多様性への配慮をポケモンというグローバルコンテンツが先導するのは大変好ましい事だと感じました。

--なるほど。確かに『ポケモンGO』をプレイしているとバーチャルと現実世界が融合している感覚はあります。今後、バーチャル、ARとファッションの関係性はより深くなっていくと思いますか?お考えをお聞かせください。

鈴木: 常に、イメージとファッションは不可分です。

私たちは自分自身の実体全体を視覚する事ができず自分自身の姿でさえ、イメージを脳で継ぎ合わせているに過ぎません。 鏡/絵/写真/映像/画像/他者からの視線、さらに現代ではネットでの振る舞いを通して私たちは私たち自身のイメージを獲得してきたように、 VR、AR、さらにはMRは、新しい私たちのイメージを認識させてくれるメディアになるのだと思います。 私達の生活の中にVR、AR、MRが利用される機会が増え、そこに社会性が産まれればファッションとの関係は当然深くなっていくと考えています。 その頃には私達は「今日はどのポケモンを連れて街を歩こうか」という非常にファッション性の高い選択をしていることでしょう。

--ポケモンは、chloma / ファッションにどのような影響を与えるのでしょうか?

鈴木: ポケモンは赤/緑の時からARだったと感じています。 初代のポケモンは、ゲームボーイでプレイし、モンスターを捕まえ、育成し、通信ケーブルを通して友人と交換/対戦できるシステム。 街、公園に身体を運び、そこで愛情を持って育てたバーチャルペットをケーブルという物質を通して移動させる体験というのは、 ポケモンの実在性を強く感じさせてくれました。 身体のある実世界と、画面の中の世界を分け隔てなく認識していたという強い実感がありました。 その世界観はまさにchlomaのコンセプトに直結しています。 しかし、その体験は個人的、または親しい人間との間だけのものでした。 これからはその体験が多くの人によって共有される世界になり社会性を帯びるようになります。 デジタルで描かれたイメージがより生活の中に入ってきて、 体の近くにある存在、つまりファッションになる。 その新しい世界の入り口を『ポケモンGO』は感じさせてくれました。

--ありがとうございました。


たしかにポケモン初代の通信ケーブルを利用してポケモン交換/交換した体験はリアルな友達とバーチャルで繋がった体験として強く記憶に残っている。 バーチャル、ARが当たり前の時代のファッションのあり方を提示するchloma、その生み出す服を今後も注目したい。
そして、今回の取材を通して「ファッションは人々の意識も含めてファッションになる」ということに気づかせてもらった。 服を買う判断基準も「モデルが着ていて可愛かったから」「有名ブランドの服だから」だけではなく 「ゲームやアニメなど自分が好きなコンテンツに近いかどうか?」も大切になりそうである。 ゲームやアニメの趣味は千差万別なので人々のファッションもより細分化されそうである。

8/15(月)開催中の 「SENSORS FASHIONCODE WEEK」では、鈴木氏の手がける「chloma」展示も楽しめる。



ライター:西村真里子
SENSORS.jp 編集長
国際基督教大学(ICU)卒。エンジニアとしてキャリアをスタートし、その後外資系企業のフィールドマーケティングマネージャー、デジタルクリエイティブ会社のプロデューサーを経て2014年株式会社HEART CATCH設立。 テクノロジー×デザイン×マーケティングを強みにプロデュース業や編集、ベンチャー向けのメンターを行う。Mistletoe株式会社フェロー。

最終更新:8月15日(月)13時21分

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