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X-MENのミュータントたちはゲイなどのマイノリティ!?

dmenu映画 8月15日(月)19時0分配信

すっかりハリウッドの稼ぎ頭になったアメコミ・ヒーローの皆さん。歴史スペクタクルやミュージカルが主流だった時代からすると、子供だましだと嘆く映画ファンも多いかと思いますが、バットマンを重厚な人間ドラマとして描いた『ダークナイト』あたりを境に、監督や脚本家が深いメッセージを込めた作品も増えています。アタシとしては、そんな「深読み」できるアメコミ原作映画の筆頭に挙げたいのが『X-MEN』シリーズ。その最新作にして新・三部作の完結編となる『X-MEN:アポカリプス』がいよいよ公開となりました!

 「超人的能力を持って生まれたミュータントたちと、それを恐れ弾圧する人類。ミュータント側も、マグニートら人類を支配しようとする者と、ミュータントを保護し人類との共存の道を求めるプロフェッサーXらに分かれ争う」というこの設定。実は公民権運動が盛んになった60~70年代に原作が生まれたこともあり、ミュータントってのはユダヤ人やアフリカ系アメリカ人、LGBT(性的少数者)などのマイノリティの暗喩だとされているんですね。そう、このアタシも人類ではなくミュータントなんです!確かに派手な女装たちを並べたら、そのままX-MEN新作のポスターに見えなくもない!(全員悪役)

 メインシリーズ6作のうち、今作を含む4作を手掛けたブライアン・シンガー監督は、ゲイを公言しているユダヤ人。さらに旧三部作でミュータントのリーダーの一人、マグニート役を演じたのは、同じくゲイを公言しているイアン・マッケランおじいちゃまだというのも象徴的です。派手なドンパチと、ジャンプマンガと同じ異能バトルの裏には、「社会から偏見を持たれ差別を受けるマイノリティたちが、マジョリティとどう向かい合うか」という風刺を込めた人間ドラマがあるのでした。これを分かってセリフや人間関係を読み解くと、X-MENシリーズの旨味はさらに増すと思いますよ~。

 今回は、新三部作のフィナーレということで、史上最強の敵「アポカリプス」が登場しますが、基本悪役のマグニートはやっぱりそっちサイド。旧三部作でプロフェッサー側にいたお天気お姉さんストームも、時間軸では初登場の今作ではアポカリプス側。変身ねえさんミスティークは相変わらず双方どっちつかずなスタンスです。そもそもマグニート自身も単なる悪役とは言えない複雑な人間関係なので、ちょっと予習が大変ですけど、今までの5本を観ておいたほうが数倍楽しめるのは間違いありません。あ、ウルヴァリンのスピンオフ2作はしょーもないので観なくても平気よ!(個人的にはヒュー様観てるだけで幸せだけど)

 異能バトルものは、各能力の見せ場が偏ることも多いんですが、今回は比較的それぞれにイイシーンがありました。とくに、音速すばしっこ野郎のクイックシルバーは、前作に続きズルいくらいかっこいい演出(BGMはユーリズミックスの『スイート・ドリームス』!)で、んもーシビれまくり。「普段は温厚な科学者、やる時は野獣」という萌え設定のビースト兄貴や、旧三部作ではやっぱりゲイを公言しているアラン・カミングが演じたナイトクローラーも若返っての大活躍。あんまり目立ってませんが、黒髪ロングで日本の忍者技で戦う悪い女サイロックもオネエ心をくすぐる新キャラでした。ほんと異能バトル観戦って楽しい。アタシも一応、ミスティークと同じ変身能力を持ってるので参戦したいんですけど、変身に2時間かかるのが難点ね。すぐバレるし。

 ミスティークといえば、彼女は同じミュータント内での内輪もめを繰り返すプロフェッサーXとマグニート、どちらにも協力したし愛もある、少数者内の調停役とも言えるんですよね。その役割が明確になった新三部作から、『ハンガー・ゲーム』の革命少女、ジェニファー・ローレンスが演じているのも納得です。現実の社会を見ても、たとえば性的少数者には、ストレート社会に対して怒り批判することが中心の人も多い。多数派の横暴さに傷つけられてきたマグニートの怒りと、それでも憎み合うのを避けたいプロフェッサーXの寛容さのせめぎ合いは、マイノリティが社会とどう向き合うべきかという問いそのものでもあるんです。染みるわぁ…。

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最終更新:8月15日(月)19時0分

dmenu映画