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[ニュース分析]10億円で封印された慰安婦25年の叫び

ハンギョレ新聞 8月15日(月)7時2分配信

12・28合意、仕上げ段階へ 1991年の初の被害証言以後 市民社会の努力を水泡にして 米日の圧迫に対する韓国政権の無能 反省なき日本に“免罪符”渡す

 「(日本が支給する10億円は)賠償金ではないという事を韓日両国政府が確認したのか?」(日本の記者)

 「慰安婦に関する請求権問題は既に解決されたという(日本の)立場は全く変わりない」(岸田文雄・日本外相)

 日本軍「慰安婦」問題に関する昨年の12・28合意により、日本政府が支給を約束した10億円を「できるだけ早く支給する」という岸田外相の12日の記者会見で、日本の記者たちが集中的に質したのは10億円の性格に関する根本的な問いだった。日本の記者たちは10億円が「賠償金」ではないという事を韓国政府に確認させたかと尋ね、岸田外相は「日本政府の既存の立場に変化はない」と答えた。この短い問答の中に、12・28合意の性格を改めて確認することができる。

 慰安婦問題を巡り韓日両国政府間で繰り広げられた過去5年間の攻防は、米中軋轢(あつれき)が次第に表面化する東アジア秩序の中で、韓国の国力と自律性の範囲を明確にさせた外交史上の事件として記録されると見られる。

 韓国で慰安婦問題が初めて主要な社会問題になったのは、1991年8月14日の金学順(キムハクスン)さんの歴史的記者会見からだ。韓国の被害者たちは1980年代末の民主化以後に日本政府を相手に本格的な賠償・補償運動に乗り出すことになる。このような叫びに日本政府が出した“鉄壁”な立場は「1965年の韓日請求権協定により個人請求権は消滅した」というものだ。ただし、日本政府は女性に対する到底許されない犯罪の慰安婦問題については、日本の「法的責任」ではなく「道義的責任」のみを認める「アジア女性基金」(1995~2007)という折衷案を提示した。慰安婦問題に対する1回目の封印だった。

 それから20余年にかけて被害者と韓国市民社会の粘り強い闘争が続いた。韓国の市民社会は多様な国際連帯を通じて「慰安婦は性奴隷で、慰安婦制度は日本の戦争犯罪」という国際社会の常識を形成していった。これと共に韓国国内では韓日協定文書の公開運動などを行った。これを通じて韓国政府は2005年8月、慰安婦▽サハリン▽被爆者問題の三懸案は「韓日協定で解決されていない」として既存の見解を修正する。憲法裁判所も2011年8月に慰安婦問題解決のために韓国政府が日本と外交的交渉をしないことは「違憲」という決定を下す。これによって慰安婦問題に対する「1回目の封印」は解体された。

 こうした国民的熱望を受けた朴槿恵(パククネ)政権は2013年2月の就任以後、慰安婦問題に対する日本の「誠意ある先行措置」を要求し安倍晋三政権と強く対立した。

 しかし、韓国政府が独自外交を貫ける限界はここまでだった。激化する米中対立のなかで、米国は2013年10月「日本の集団的自衛権を歓迎」する立場を発表し、2015年春には米国の高位官僚らは「3カ国(韓米日)は未来に視線を転じなければならない」(4月アシュトン・カーター米国防長官)などと圧迫する。結局、韓国政府は昨年の8・15祝辞で、日本の過去の植民支配に対して一言も言及しない侮辱的「安倍談話」を受け入れ、関係改善に方向を定めた。その論理の延長線上に12・28合意がある。この合意により被害者たちの当然な要求が再び封印された。

 韓国政府はこれを「慰安婦問題解決」という言葉で包装したが、被害者と国民の強い反発からも分かるように外交的敗北というのが一般的な見方だ。12日の岸田外相の発言を見れば、今後に残った交渉も容易ではないと見られる。岸田外相は12日、日本が拠出する10億円について「日韓政府が合意する用途の範囲」内でのみ使うことができると述べたし、この資金は「事業をするための支出」として、被害者個人に一時金として支給することはできないという意志を繰り返し明らかにした。韓国側が自由には使えない10億円を受け取る条件として、慰安婦問題が「最終的かつ不可逆的」に解決された状況に至ったのだ。韓国社会が解放後71年間で成し遂げた成就が、米国の東アジア戦略と日本の歴史修正主義、そして朴槿恵政権の没歴史性の前で水泡に帰そうとしている。

東京/キル・ユンヒョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

最終更新:8月15日(月)7時2分

ハンギョレ新聞

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。