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日本の大富豪(6)家具チェーンを構築 ニトリ創業者 ── 似鳥昭雄

THE PAGE 8月17日(水)15時24分配信

 似鳥昭雄氏は「お値段以上」で知られる家具大手ニトリの創業者です。似鳥氏は大学卒業後、広告会社に勤務しますが、仕事が取れずにすぐにクビになってしまい、自身で家具店を創業しました。米国視察をきっかけに世界観が変わり、家具のチェーンストア構築に邁進するようになります。似鳥氏の中にあったのは、日本を豊かにしたいという強い思いでした。

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 同社が創業した1960年代は、大型スーパーに代表されるチェーンストアと呼ばれる業態が普及し始めた時期です。しかし、当時の日本は、豊かになったとはいえ米国に比べるとまだ貧しく、商品価格もメーカーが一方的に決めるという硬直的な市場でした。

 こうした状態に風穴を開け、大量調達によって安い商品を消費者に提供するというコンセプトを掲げたのが、イオン(旧ジャスコ)やダイエー(現イオン)、セブン&アイ(旧イトーヨーカ堂)といった企業です。当時、こうした試みは「流通革命」と呼ばれていましたが、ニトリも消費者主導の新しい業態を確立しようと奮闘した企業の一つといってよいでしょう。

 似鳥氏は米国を視察し、家の中に家具が少なく、鏡や絵画、装飾品が多いという現実に驚いたそうです。普通なら文化の違いでやり過ごすところかもしれませんが、似鳥氏は違いました。日本と米国では豊かさに圧倒的な違いがあり、それが日本とは異なる家具と装飾品の関係を形作っていると考えたのです。

 米国と比べて豊かではない日本が、どうすれば、米国のような環境に近づけるのかを考え抜いた結果、現在のニトリのラインナップが完成しました。

 ニトリの中で純粋な家具の販売はすでに全体の半分以下となっています。多くの家具メーカーが業績を悪化させる中、同社が順調な経営を続けることができたのは、家具だけでなく、生活雑貨などホームファッションと呼ばれる分野へのシフトを徐々に進めてきたからです。この柔軟な事業展開の背景には米国視察で確立した似鳥氏の価値観があるとみてよいでしょう。

 最近では人口減少や価値観の多様化などの影響から、本部主導型のチェーンストアは存続が難しいという見解も広がってきました。しかし、似鳥氏は、チェーンストアの時代は終わったとする風潮に強く意義を唱えています。似鳥氏によれば、低価格で良質な商品を国民が手にできる環境は実現できていないそうで、市場には拡大の余地があるとの考えです。

 似鳥氏はすでに一族で約3000億円の資産を持つ超富裕層となっており、社長の座は後進に譲りました。しかし豊かさを追求する似鳥氏の戦いはまだまだ続きそうです。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:8月17日(水)16時1分

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