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ひんやり、華やかに 個性光るかき氷

琉球新報 8月16日(火)11時0分配信

 夏の暑さを和らげるかき氷。観光客がカップに盛られたかき氷を手に観光地などを散策する姿が目立つようになった。中には県産品の果物をあしらったものや、氷細工のような形状のものも店頭に並ぶ。工夫を凝らしたかき氷でことしの夏を涼やかに、華やかに楽しんではいかがだろうか。

■県産フルーツ豪勢に

 ガラス張りの店舗からは、海に浮かぶ伊江島タッチューが見渡せる。本部町健堅の瀬底大橋近くにある松田商店では、県産果物を盛った豪華なかき氷が人気を呼んでいる。同店自慢の一品は「伊江島たっちゅーマウンテン」(千円)。マンゴーやパッションフルーツ、パインなどの県産果物を豪勢にあしらう。高さは約20センチにもなり、どこからスプーンをつけていいか迷うぐらい。マンゴーは、オーナーの松田一登さん(31)の父が、名護市の屋我地島で営む農園で取られた新鮮なものが使用されている。

 使われるマンゴーは収穫の際に表面に傷がついたりしたもの。松田さんは「出荷できないものを毎朝10個ほどもらってくる。一日数量限定のかき氷。召し上がるならできるだけ早めに来店してほしい」と太鼓判を押す。

 マンゴー以外にもパッションフルーツやパインも恩納村産のものを使うなど県産品にこだわりを持っている。

 氷の中には何層にも分けてストロベリーシロップや自家製マンゴーシロップを使用しており、食べ続けていても味が変わり、お客さんに飽きさせないよう工夫が凝らされている。店長の山田奈美さん(21)は「窓から見える伊江島タッチューを眺めながら味わってほしい」と話した。

■まるで氷細工

 沖縄市泡瀬の米八そば。金時豆や押し麦を使った昔ながらの「沖縄ぜんざい」を提供している。「その辺では食べられないぜんざいだよ」。オーナーの永山賀朗さん(36)が氷削機に手を掛けると、氷細工のように盛られた沖縄ぜんざいが机に運ばれてくる。「こうのとり、馬、パンクぜんざい。種類は無限。リクエストは聞かないよ」とユーモアたっぷりに話す。いずれも350円。

 作るきっかけとなったのは5、6年前。氷削機から偶然出てきた氷の塊に目が止まった。「何か作れるのでは」と思い立ち、氷の塊で動物を作ってみた。するとお客さんからの反応がよくなり、いまでは赤ちゃんを授かろうと「こうのとりぜんざい」を目当てに来店するカップルや夫婦もいるという。

 永山さんは「テーブルに持って行ったときの客の反応が面白い。今後も新たなレパートリーを増やしたい」と商品開発に余念がない様子。父親らとともに来店し、馬をモチーフにしたぜんざいを食べていた北谷町の大城稀汰君(8)は「うまい。食べるのがもったいないぐらい」と声を弾ませていた。

文・當間詩朗
写真・具志堅千恵子
 


おいしさを思い出に セソコマサユキさん 沖縄CLIP編集長
 カフェや雑貨屋さんなど、多くの店舗を取材してきた。4、5年ほど前から個人経営で小さい店ながら素材にこだわるメニューを提供する店舗が増えてきたと感じる。値段設定は多少高くても、おいしくて、思い出に残る商品が販売されるようになっている。


 取材してきた中で印象に残るのは、自ら農場に足を運び、果物などを選ぶ店主だ。手間や商品の原価などを考えると、大変な苦労があると思うが「いい商品を提供したい」という思いを感じる。


 色とりどりの県産フルーツをあしらったりするのも、ビジュアルの面で多くのお客さんを引き付けている。小さい店ながら、それぞれの店舗の個性が光っている。観光客だけではなく、県内のお客さんも十分に楽しめるはずだ。他店にない独自性を打ち出す店舗はこれからも増えていくはずだ。魅力的な店舗や商品をこれからも取材を通して紹介していきたい。
 


(2016年8月16日 琉球新報掲載)

琉球新報社

最終更新:8月16日(火)11時55分

琉球新報