ここから本文です

<特別連載>ミャンマーのロヒンギャ問題とは何か? (18)軍事政権 「ロヒンギャ」など 名称の公的使用を取り締まり  宇田有三

アジアプレス・ネットワーク 8/16(火) 5:30配信

Q. ミャンマーでは、名称の使用が政治的なことがあるというのですね。
A.そうです。2015年末、ある印刷業者が「ロヒンギャ(Rohyingya)」という名前が入ったカレンダーを作ろうとしたことがあり、政府から取り締まられました。

【関連写真を見る】選挙権剥奪されたロヒンギャの人々(写真9枚)

そこで、ロヒンギャに対する差別だ、という声が上がりました。でも、ミャンマーのことをある程度理解していたなら、そこは「表現の自由がない」という意味で声を上げるほうが適切でした。

Q. 軍事政権の時代から、「ロヒンギャ」という言葉は使用が許されなかったというのだから、「ロヒンギャ」に対する差別ではないのですか?
A. もちろん、そういう面もあります。
しかし、ミャンマー政府は、同じように公的な場では「ビルマ(Burma)」や「ラングーン(Rangoon):ヤンゴンの前の名前)」の使用を禁止してきました。それは、ミャンマー政府が「ミャンマーという言葉は全ての民族を含んだ国名である」と強引に人びとの意識を国家統一に向けて推し進めていたからなのです。

Q.「ミャンマー」という言い方も政治的なんですね。
A. 「ミャンマー」という言い方は、前の軍政が英語の読み方をビルマからミャンマーに変えただけなんですよ。(※詳しくは『観光コースでないミャンマー〈ビルマ〉』高文研)。それに、軍政やその後の政権も、過去にさかのぼって歴史的な名前まで改変している例もあります。

ネウィン将軍という軍政前期の独裁者は、ビルマ式社会主義革命党という一党独裁の政治体制を敷いていました。その体制を率いていた「ビルマ式社会主義革命党」は「Burma Socialist Programme Party(BSPP)」と言い表されていました。でも、軍政はその表記を「Myanmar Socialist Programme Party(MSPP)」と、「B」を「M]に変更してしまいました。これは史実の改ざんといってもいいでしょう。

また去年、ヤンゴンにオープンしたばかりのオシャレなカフェ&レストランを訪れた時、同じような話がありました。そのお店は「ラングーン・ティー・ハウス(Rangoon Tea House)」という名前なのですが、誰もが目にすることができる店の外の看板には「RTH」とありました。「Rangoon」 という文字は入れることが出来なかったとオーナーが話してくれました。(店内ではRangoon表示は許されている)

まるで、小説『ビルマの竪琴』を『ミャンマーの竪琴』にするみたいなものです。軍政時代を引きずっていた民政移管後のテインセイン政権(2011年~2016年)はそこまで、「ミャンマー」呼称で国家意識を一つに推し進めていたのです。

Q. 軍政時代からの社会的背景があるから、「ロヒンギャ民族」「ロヒンギャ人」という言葉の使用は控えた方がいいということですね。
A.私はそう思います。(つづく)

最終更新:8/16(火) 6:40

アジアプレス・ネットワーク

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

信用履歴が(まだ)ない人のためのスマートローン
TEDフェローのシヴァーニ・シロヤのスタートアップ企業InVentureでは、携帯電話のデータを使って個人の信用情報を作り上げることで、新興世界に眠っている購買力を目覚めさせようという事業をしています。「クレジット・スコアのようなシンプルなもので、自分の未来を自分で築き上げる力を人々に与えることができるのです」 [new]