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盛和塾=稲盛哲学で市建て直す試み=「バナナ王」山田市長に聞く=(上)=初等教育に重点投資実行

ニッケイ新聞 8月16日(火)21時54分配信

ブラジル盛和塾(関秀貴代表世話人)は7月22~24日、山田勇次さんが創業したブラスニッカ社(山田農園)を訪問して「勉強会」を開いた。ミナス州北部、人口約7万千人のジャナウーバ市に所在する。聖州、麻州、パラナ州などから18人が参加した。
 戦後の子供移民、山田勇次さん(69、北海道)は1984年にミナス州ジャナウーバ市にバナナの生産・販売を主とする同社を設立した。96年に盛和塾設立についての邦字紙記事を読み、聖市の盛和塾に入塾、勉強を重ね、04年には日本で開催された盛和塾全国経営体験発表大会で優勝した。
 国内向け生産では伯国一といわれる規模にまでなり、従業員2千人、〃バナナ王〃との異名を持ち、大統領の訪問まで受けた。農場の仕事を息子らに譲り、12年10月の全国統一地方選で市長に当選したという異色の戦後移民だ。

まずはジャナウーバ市市役所に到着。建物前には30人ほどの市役所職員が並び、一行がバスを降りると拍手で迎えて歓迎の意を表し、一人一人と握手した。
 教育課長のマリア・ポルタさんは、「山田さんのチームで仕事が出来たのは私の人生にとって大きな財産」と語った。「山田さんが私の家を訪問し『あなたに任せたい』と市の教育担当の仕事に誘ってくれた」。山田さんの事は市長選まで知らなかった。それでは普通の教師だったが、その一言で一緒に働く事を決意したという。
 山田さんに「一番力を入れた政策はなにか」と聞くと「選べないよ」と笑いつつも、「一番は小学校」と断言した。

具体的には、生徒が一日の大半を学校で過ごすよう全日制化を進めた。芸術やスポーツなどの情操教育も取り入れ、充実させた。その分、教師の人件費や給食代など多くの資金が必要となった。
 「現在は1809人がその教育制度を受けているが、最初は159人だった。暇な時間を作らないことで変な大人と関わり、犯罪に走らないようにする意味もある。あとは子供間の交流で『人づくり』もさせる」と稲盛哲学の片鱗をうかがわせる言葉も出てきた。
 ポルタさんは、彼との仕事を通して「稲盛哲学」を心から学ぶことが出来たという。各課長には稲盛哲学の本が支給され、勉強会を開き、仕事への向き合い方を考えさせられたという。
 だが、全課長がそれに共感したわけではなかった。交通課課長は稲盛哲学に共感せず、業績も振るわなかった。「これはダメだ」と思った山田さんは20年間ブラスニッカに勤めていた社員に同課長職を依頼。こちらは期待通り、地道に成果を上げたという。
 どう人を育て、適材適所するか――経営者としての手腕は、市役所においても、いかんなく発揮されたようだ。(つづく、國分雪月記者)

最終更新:8月16日(火)21時54分

ニッケイ新聞

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。