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吉田義人氏が語る「TOP14の魅力」。8/20(土)、21(日)開幕!

ラグビーリパブリック(ラグビーマガジン) 8月16日(火)11時16分配信

日本代表のFB五郎丸歩選手が今シーズンから挑戦するラグビーフランスリーグ「TOP14」。そんなフランス1部リーグに日本人として初めてチャレンジしたのが、元日本代表のレジェンドで、世界選抜でもトライを挙げたWTB吉田義人氏だった。欧州への扉を開いた一人として、吉田氏に自ら肌で体感したフランスリーグ、そして「TOP14」の特徴や、その魅力などを語ってもらった。

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――吉田さんは2000年にフランスの1部のプロチーム、USコロミエ(現在は2部のPro D2に所属)でプレーされていました。フランスに挑戦しようとしたきっかけはなんだったのでしょうか。

吉田:当時、僕がキャプテンとして所属していた社会人リーグの伊勢丹ラグビー部が廃部になってしまったことが大きかった。社会人として仕事の方も順調だったのですが、ラグビーも僕を支えてきた両輪の一つだったので、ラグビーができなくなるのは考えられないことでした。このまま会社で仕事を続けていくか悩みましたが、やはりラグビーに、スポーツ界に貢献したいという思いが強くなったのです。そんな時、1996年に南半球でスーパーラグビーがスタートし、ヨーロッパでもイングランドとフランスがいち早くプロ化しました。当時、日本にはアマチュアラグビーしかなかったので、プロの世界を知るには海外に行くしかなかった。それでフランスのプロリーグ、ディヴィジョンワンに行こうと思ったのです。今の「TOP14」ですね。

――南半球やイングランドではなく、フランスを選ばれたのはどうしてでしょうか。

もともと、僕は9歳の時からラグビーをやっていましたが、ずっと自分が参考にしていたラグビーがフランスでした。言葉がわからなくても、フランスへ行こうと思いました。また、当時伊勢丹でキャプテンをやっていましたが、監督もヘッドコーチもいなかったので、選手たちにあまり上手くアドバイスできなかった。将来のことを考えたら、自分は勉強不足だと思い、働きながら筑波大の大学院で修士号を取りました。それから日本でサッカーのJリーグが創設され、僕は今後日本での総合スポーツクラブの重要性を感じ、ヨーロッパのモデルを参考にしたいと思ったのです。フランスもそういう環境が整っていたので、将来、日本に取り入れるべきだと強く感じました。この2つの理由が合致したので、フランスに決めました。それと、日本ラグビー協会の手伝いをされていたフランス人の方が、僕のプレーを見て、「日本人にもこんな選手がいたのか。吉田義人はフランスのラグビーにあっている」と言ってくれました。それでフランスのチームにコンタクトを取りました。そうしたら、フランスの4つのクラブからオファーがあったので、現地に行ってテストを受けることにしました。

――フランスでは、どのようなテストを受けられたのでしょうか。

4つのクラブのうち、強いところから順番に受けようと思ったのですが、結局は最初に受けた南西部のコロミエに入団することになったのです。コロミエは、その前年、準優勝したチームです。実はテストは10日間もありました。なぜかというと、いわゆるメディカルチェックやプレー面もそうですが、まだ当時は日本人がフランスでラグビーをするなんて普通じゃありませんでしたから「果たして日本人がフランスのカルチャーに馴染めるのか」ということに懐疑的だったこともあったのでしょう。それで、1週間チームメイトと寝食をともにし、まさに同じ釜の飯を食うことで、それが試されたのだと思います。

――フランスに行かれてから、一番、印象を受けたことはなんでしょうか。

フランスのクラブは総合型スポーツクラブだから、地域住民、企業、そして行政の三位一体の活動をしていました。また、選手が全員プロですから当たり前ですが、凄い選手ばかりでした。今はサンウルブズもスーパーラグビーに参戦して、プロは普通になってしまっていますが、当時は驚くことばかりでした。とにかく、フランスは個の強い国です。それにプロですから、意識が高い。もちろん、全てフランス語なので言葉の壁もありました。だから、最初に覚えたのは、フランス語で「Je voudrais…(私は~したい)」という言葉です。とにかく黙っていちゃダメ、主張しないとはじまらない、それが一番印象に残っていますね。

――「TOP14」の特徴はどんなところにあるでしょうか。

やはり個が強いラグビーですね。それからご存知のように、フランスは「シャンパンラグビー」と言われる華やかなプレーがイメージされます。だけど、実際はものすごく荒々しい部分があります。バックスもイマジネーションが豊かで、身体の小さな選手も活躍しています。また、今は南半球の選手も多くなっていますが、もともとアルゼンチンやヨーロッパの近隣諸国出身の選手も多く、そういう意味ではインターナショナルなリーグと言えるのではないでしょうか。今は資金力が上がって全世界から選手が来て、当時もレベルが高かったですが、さらに上がったと思っています。

――その「TOP14」のRCトゥーロンに、今シーズンから日本代表FBの五郎丸歩選手が挑戦します。

フランスは南部の方がラグビー人気も高いですが、RCトゥーロンもその1つですね。フランス代表キャプテンのHOギエム・ギラドや、南アフリカ代表WTBブライアン・ハバナ、元ニュージーランド代表CTBマア・ノヌーといったスター選手の揃ったチームですね。五郎丸選手はやはり、昨年のワールドカップイングランド大会で見せたようなキックが武器です。今のラグビー、特にカップ戦ではキックが重要な部分を占めています。昨シーズン、「TOP14」で優勝したラシン92には、世界屈指のプレースキッカーである元ニュージーランド代表SOダン・カーターがいます。RCトゥーロンにもライバルとなるウェールズ代表FBのリー・ハーフペニーがいて、五郎丸選手は彼とのポジション争いになると思います。ですが、五郎丸選手のキックの師とも言える元イングランド代表のジョニー・ウィルキンソンが、RCトゥーロンのキックコンサルタントとしているのは心強いのではないでしょうか。日本人選手の代表として、五郎丸選手の活躍を期待したいですね。

――最後に、「TOP14」のみどころをお願いします。

フランスは芸術の国でもあってプレー面で華やかでもあるし、その中に泥臭さも併せ持っている。本当にラグビーがどんどん革新、進化しているリーグなので、そのあたりを注目して見ていただきたいですね。


◆吉田義人(よしだよしひと)
1969年2月16日生まれ。秋田工業高校、明治大学主将として共に全国優勝。19歳で日本代表入り。世界選抜代表として世界の15人に3度選抜、オールブラックス戦でのダイビングトライは世界ラグビー史の中でも伝説となる。伊勢丹で社業のキャリアを積みながら筑波大学大学院でスポーツ教育を学び修士号を取得。2000年、フランスに渡り日本人初の1部リーグのプロラグビー選手となる。2004年35歳で現役を引退後、ヘッドコーチとして横河電機を全勝優勝させトップリーグに昇格させる。一方、社業では最年少部長に抜擢。2009年、明治大学ラグビー部監督就任。2012年には、14年振りに対抗戦優勝を果たす。2016年リオデジャネイロオリンピックからセブンズ(7人制ラグビー)がオリンピック競技の正式種目として決定した事を受け、オリンピアンの育成、セブンズの魅力を広める伝道師として活動中。

詳しくは、 WOWOW番組オフィシャルサイトへ。

最終更新:8月16日(火)11時24分

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