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“フレンチタッチ“--講談社北本かおりが「日本×フランス マンガの新たな兆候」を掘り下げる

SENSORS 8月16日(火)10時57分配信

2016年のJapan Expoで見つけたフランスのマンガ市場の新たな兆候。それはフランス発のマンガ創作が本格始動したことだ。主催者側はそれを「フレンチタッチ」と名付けた。

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マンガ出版最大手のグレナ社は、25年前にフランスで初めてのマンガ『AKIRA』を出版して以来、今日まで市場を牽引するパイオニアであり続けている。そのグレナ社マンガ部出版部長の稲葉里子氏に「フレンチタッチ」が生まれた背景について尋ねた。

■フランス発のマンガ作り「フレンチタッチ」

稲葉:今年のJapan Expoのテーマの一つとして、「フレンチタッチ」という新しい動きがあります。
これは日本とフランスの新しい交流の仕方として、フランスのマンガ家で日本のマンガに近いフォーマットやタッチで作品を描く人たちを推していこうというものです。グレナ社を含めたフランスのマンガ出版各社がそういう新しいフランスのマンガ家さんたちを応援し、新刊を出版しています。Japan Expo会場でもフランスのマンガ家のサイン会が行われたり、全体的にフランスの作家を推しているというのが今年の大きな特徴です。

背景にあるのは、フランスのマンガ家のクオリティが年々上がっていること。グレナ社では来年度に向けてフランス人マンガ家と進めている企画が2つあります。一つは王道少年マンガで、もう一つはフランスの魔法少女の話です。日本人でもフランス人でも、あるいは別の国籍の作家でも、良い作品でれば出版社としてはそれを世に出さないわけにはいかないので、こういう動きはこれからも続けていきたいと思っています。


グレナ社はJapan Expoに合わせて、原作者のイズとマンガ家のヴァンラによる日本を舞台にしたマンガ『AYAKASHI』を発売し、作家のサイン会を実施した。
第2回で紹介したPIKA社はこの10年間、ファンタジーマンガ『ドリームランド』の作家レノ・ルメールを育てきた。さらに今秋10月にはフランス人の原作者のミヤとマンガ家のサマンサ・ベリーの女性作家2人による少女マンガの新作を発表予定だ。
連載第1回で紹介したKi-oon社のアニェは、フランス人作家とともにアニメの製作にも進出した。Japan Expoはこうした新しい動きをファンに向けて発表する機会としても機能している。場があることで注目が集まり市場が活性化し、次への挑戦につながるのだ。

そしてもう一つ、Japan Expoがユニークに機能しているのは、クリエイター同士が直接出会う接点になっていることだ。連載第3回で紹介したマンガ家の真島ヒロはフランスのマンガ家とマンガ家の卵に向けてメッセージを求められ、こう答えた。

「日本に比べたらフランスはまだ道具も環境も揃っていないと思います。そんな中でマンガを描き続けるにはきっとものすごい努力をしてきたと思う。僕は努力する作家を尊敬します」。

真島の言葉が未来の才能たちにどれだけの勇気を与えるか計り知れないだろう。

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最終更新:8月16日(火)11時24分

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