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タイのバンドとして初めてフジロックのステージを踏んだスロットマシン/インタビュー

MusicVoice 8/16(火) 11:23配信

 今、色々な分野でアジアが注目されている。そのアジアにおいて、日本を代表するロックフェス『FUJI ROCK FESTIVAL'16』にタイのバンドとして初めて出演したのが、スロットマシンである。ボーカル・KARINYAWAT DURONGJIRAKAN、ギター・JANEVIT CHANPANYAWONG、ベース・ATIRATH PINTONG、ドラムス・SETTHARAT PHANGCHUNANからなる4ピースバンドだ。タイでは既に国民的な人気を誇る彼ら。しかし、今年は全曲英語詞による「SPIN THE WORLD」のリリースなど、母国だけにとどまらず世界を目指して精力的な活動を見せている。11月には両国国技館でおこなわれる『CLASSIC ROCK AWARDS』にも出演予定となっており、日本に訪れる機会も増えている。フジロックの感想や、アニメやマンガを始めとした日本文化について、そして、最新アルバムや『CLASSIC ROCK AWARDS』について話を聞いた。

――まずはフジロックお疲れ様でした。感想をお聞かせください。

KARINYAWAT 緊張しました。日本には何回か来て、有名なところは結構知っているんです。でも苗場は初めてで、とてもミステリアスでした。山で霧が立ち込めていて「どんなところなんだろう」というワクワク感と緊張感がありました。でも、実際にはパフォーマンスするアーティストが1カ所に集まっていて、こんなに会えるんだなあと驚きました。会場に行くまで結構時間がかかりますよね。そんな大変なところまでわざわざ来て、日本の皆さんの音楽が好きな気持ちがわかります。

――会えて嬉しかったアーティストはいますか?

SETTHARAT ステレオフォニックスのドラマーに会ったよ! しかも3回も。韓国のイベントでも会って、昨日は「キル・ビル」で有名なレストランに行ったらそこのトイレで会って、フジロックでも会って。運命みたいだった。

ATIRATH あとは、食堂でBABYMETALに会って、惚れてしまったよ(笑)。みんなとてもレディな感じでびっくりしたね。

――日本のオーディエンスはどうでしたか?

KARINYAWAT 本当に最高でした。こういうお客さんがもっといてほしいと思います。新しいアルバムからの楽曲を演奏したので、皆知らないものばかりだと思うんです。それでも皆歌って、乗ってくれて。曲が終わった後も拍手したり、応援してくれたり、素敵なオーディエンスです。パフォーマンスしている時もずっとリスペクトしてくれたし。凄くいい感じでした。

SETTHARAT 例えば、タイのお客さんは知らない曲だとどうしても馴染めなかったりするんですよ。やっぱり皆楽しもうと思って来ていますから、知らない曲だとちょっと違和感を感じるんでしょうね。日本のお客さんは曲を知らなくても、多分、僕らがタイから来ているから新しい発見みたいのもあるんじゃないかな。香港、台湾、シンガポール、ミャンマー、オーストラリア、UKなどなど色々な国に行ったんですけど、それぞれ反応は違いますね。わざわざ、タイで有名なモダンドッグのシンガーがフジロックに見に来てくれたのも嬉しかったね。

――日本はお好きですか?

KARINYAWAT 日本のことは全部好きですね。生活、食べ物、おもてなし、礼儀、文化全部が好きです。アニメ・マンガとかそういう物に小さい時から触れてきました。

ATIRATH 戦隊物や仮面ライダーがもの凄く好きです。日本のヒーローって大事なメッセージが込められていると思うんですよ。それは何かというと、「普通の人でもヒーローになれる」っていうこと。これが僕の家(編注=写真見せる。棚にディスプレイされたおびただしい数のフィギュア)。左側が昭和仮面ライダー、右側が平成仮面ライダーで分かれているんだよ。

KARINYAWAT 特に僕らの世代は、そういう仮面ライダーとかを小さい頃から見ているので、夢を持つことができたと思う。普通の人でもスーパーヒーローになれるって。だから、フジロックのステージに立った瞬間、とてもありがたい気持ちを感じました。日本ありがとう。

――舞台に上がって皆さんは変身したということですね?

KARINYAWAT ははは(笑)。確かにフジロック史上初めてのタイのバンドなので、ヒーローになった感じでしたね。

JANEVIT 日本の方は礼儀正しいし、尊重してくれるところがいい。友達に対しての態度とかも。あと、きめ細やかなところまで見てくれていますよね。日本の音楽を聴いて「何故こんなに良いサウンドなんだろう」って考えるんですけど、小さいところに気を使っているなと感じます。それは音楽に限らず、全体的に。

SETTHARAT 例えば物とか見てもディテールにこだわっているのがわかります。

ATIRATH タイではモテないんですけど、日本で自分はちょっとモテるみたいなんです(笑)。もっと長く日本にいたいですね。ここに住んでいいですか?

――どうぞ(笑)。ところで、皆さんはタイでキャリアが長いと聞いています。何故、今世界に向けて発信しようと思ったのですか?

KARINYAWAT 音楽のシーンには長くいるんですが、タイではまあ、ある程度は良い位置にいるかなと思います。今回のアルバム『SPIN THE WORLD』は6枚目のアルバムになるので新しいことをやりたかった。僕ら4人は同じところにいるというのが嫌だから。プロデューサーもグラミー賞を沢山受賞しているスティーヴ・リリーホワイトにお願いしました。U2、ローリングストーンズ、数々のロックレジェンドをプロデュースした方とコラボレーションできるのはチャンス。タイのアーティストとして「世界的に有名になる」というのはみんなの夢だから、それに向かって進んでいこうと。チャンスがあったらそれを掴まなきゃ。

――世界に飛び出していくに当たって一番の壁は言語の問題だと思うのですが、皆さんは普段タイ語で会話していますか?

SETTHARAT 基本的にはタイ語で喋るんですが、ボーカルはUKにいたり、日本語が喋れたり、色んなベースもあるんですが、英語も勉強したいです。色んな国の人と繋げてくれるレーベルの方たちの存在も大きいですね。

ATIRATH 音楽は壁がないじゃないですか。皆がわかる言語だと思うんです。僕らはタイの音とかタイの文化とか、そういうものを取り入れて音楽を作っています。

――英詩の曲をつくりながら、タイを意識するというのは興味深い矛盾ですよね。

SETTHARAT 例えば、Jロックでもロックはロックでも何となく「これはJロックだな」ってわかるじゃないですか。それと同じで、スロットマシンのアジアらしさ、タイらしさを取り入れた音楽を作っているんです。

――みなさんの考える音楽的なタイらしさって一体なんでしょうか?

SETTHARAT このスロットマシンではまず音楽の方向性を決めるんです。4人でスタジオでジャムるんです。そこで色んな事を試しながら音楽を作っています。タイらしさは色んなところに入れていますね。歌やギターのメロディからリズムに。でも一番大切なのはコンセプト。音楽を聴きながらタイをイメージできるものにしたい。例えば「Say What You Want」という曲は、キーボードの部分が何となく夏っぽい雰囲気を出そうとしているんです。そんな意味で全てにタイのテイストが入っています。

 メトロノームではなくて、このバンドはタイのグルーヴで演奏しています。例えば、チャチャチャってリズムとか。タイで有名なお祭りで流れる音楽なので小さい時からずっと聴いているものですからね。血の中に入っているんです。それが心から出ていくみたいな感じ。プロデューサーのスティーヴ・リリーホワイトも最初は「何これ!」って感じでしたけど、最終的にはタイのビートを好きになっちゃったみたい。

――11月に両国国技館でおこなわれる『CLASSIC ROCK AWARDS』にも出演されるんですよね。

KARINYAWAT 「本当に出られるの?」という感じです。ジェフ・ベック、リッチー・サンボラなど色んなレジェンドと同じイベントに参加できるというのはとても光栄です。

SETTHARAT 夢に一歩一歩近づいている気がします。

――皆さんと同じように、海外に向かって活動している日本人のバンドも沢山いるんですよ。例えばCrossfaithはご存知ですか?

KARINYAWAT もちろん知っています。ボーカルのKenta Koieの方が僕より英語のアクセントが上手ですよ。

SETTHARAT 彼らからはロックなんですけど、日本らしさの入っているロックっていうのは伝わります。一つだけの文化だけでは無くて、ミックスしているアーティストもいますね。例えば雅-MIYAVI-とかは好きです。

――日本人で好きなバンドはいますか?

KARINYAWAT レジェンドのX JAPANとかL'Arc~en~Cielとかかな。

ATIRATH T-SQUARE、東京スカパラダイスオーケストラとか。BABYMETALとはあくまで友達になりたいね。ギミチョコ!(笑)

SETTHARAT RIZEとか、ASIAN KUNG-FU GENERATOIN、東京スカパラダイスオーケストラとかも好きだね。

(取材・小池直也/撮影・松尾模糊)

最終更新:8/16(火) 11:23

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