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フォードがステアリングアクセルブレーキのない完全自動運転車を2021年に量産へ

MONOist 8月17日(水)17時10分配信

 Ford Motor(フォード)は2016年8月16日(米国時間)、ステアリングやアクセル/ブレーキペダルなどを持たない完全自動運転車を2021年を目標に量産すると発表した。量産する完全自動運転車は、米国自動車技術会(SAE)が定める自動運転レベルのレベル4を満たし、フォード自身で手掛ける方針を表明しているライドシェアサービス用の車両として展開する。

【フォードの自動運転試験車が走行する様子などその他の画像】

 2021年の完全自動運転車量産に向けて、4社のスタートアップ企業への投資や協業を行い、2015年1月に開設したシリコンバレーの研究開発拠点の規模を2倍に拡張する方針も明らかにした。

 フォード社長兼CEOのマーク・フィールズ(Mark Fields)氏は「これからの10年間は、自動車の自動化(オートメーション)によって定義される。自動運転車は、100年前のフォード生産方式の動く組み立てラインと同様に大きなインパクトを社会にもたらすだろう。われわれは自動運転車を道路で走らせることに注力していく。これは、何百万人の人々に関わる安全性の向上、社会や環境の課題の解決を可能にするものであり、一部の高級車向けに行うことではない」と語る。なお、フォードは「Ford Smart Mobility」という戦略を打ち出しており、今回の完全自動運転車量産もその一環となる。

 フォードは、自動運転車開発で10年以上の経験があり、ソフトウェアとセンシング技術を融合した上で大規模量産するエンジニアリングのノウハウでアドバンテージがあるという。この他、ミシガン大学の都市を模擬した自動運転車のテストコース「Mcity」や、降雪下、路側灯のない夜間に自動運転車を走らせた最初の自動車メーカーだとしている。

 また2016年からは、約30台の「フュージョン・ハイブリッド・セダン」の自動運転試験車をカリフォルニア州、アリゾナ州、ミシガン州で走らせている。2017年はこの台数を3倍に増やす計画だ。

●ライダーのベロダインに出資、脳科学応用のバーチャルドライバーも視野

 今回の発表に合わせて提携を決めたスタートアップ企業は、Velodyne(ベロダイン)、SAIPS、Nirenberg Neuroscience(ニーレンバーグ・ニューロサイエンス)、Civil Maps(シビル・マップス)の4社である。

 ベロダインは自動運転車の周辺を検知するセンサーとして搭載されているライダーの開発企業だ。Google(グーグル)の自動運転車をはじめ、屋根の上に乗っているコップ型のセンサーはほとんどがベロダイン製といわれている。フォードはベロダインに出資し、量産に最適なライダーの開発を進める。

 イスラエルで画像認識と機械学習を手掛けるSAIPSはフォードが買収することとなった。今後は自動運転車向けに、画像認識のアルゴリズムやディープラーニングの技術開発を行う。

 脳科学者のシーラ・ニーレンバーグ氏が設立した、画像認識を手掛けるニーレンバーグ・ニューロサイエンスとの間では排他的ライセンス契約を結ぶ。同社の技術を使えば、自動運転車の運転を、人間的な知性を持つバーチャルドライバーに任せることも可能になる。

 自動運転車に必須とされる高精度3次元地図を手掛けるシビル・マップスにも出資する。シビル・マップスの技術を使えば、従来よりも効率的に高精度3次元地図を作成できるようになるという。

 シリコンバレーの研究開発拠点については、現在の拠点に隣接する土地約1万4000m2に2つの建屋を建設する。2017年中ごろに完工する予定。現在の拠点は130人以上の人員が業務に従事しているが、拠点の規模、人員数とも倍増となる見込みだ。

●自動運転の最高レベルではない?

 フォードが2021年に量産する完全自動運転車の自動運転レベルは「SAEのレベル4」となっている。SAEは、レベル0を「No Automation(自動化なし)」、レベル1を「Driver Assistance(運転支援)」、レベル2を「Partial Automation(部分的自動化)」、レベル3を「Conditional Automation(条件付き自動化)」、レベル4を「High Automation(高度自動化)」、レベル5を「Full Automation(完全自動化)」としている。

 フォードが目指すSAEのレベル4、High Automationでは、自動車の運転操作(Dynamic driving task)は全て自動運転車が行うものの、運転の開始、目的地や走行ルートの設定、運転の終了は、乗員が行うことになっている。レベル5は、レベル4で乗員が行う作業も含めて、全てが自動運転になる。

 現在広く知られている自動運転レベルとしては、SAEの他に、米国運輸省の国家道路交通安全局(NHTSA)のものがある。NHTSAはレベル0~4に分かれており、完全自動運転はレベル4だ。NHTSAのレベル4をさらに細かく分けると、SAEのレベル4とレベル5になると考えればよい。

最終更新:8月17日(水)17時10分

MONOist