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【高校野球】初出場の公立高校・嘉手納の挑戦 3回戦で敗退も強力打線で足跡残す

Full-Count 8/17(水) 7:10配信

明徳義塾に敗戦も8回に集中打、「悔しい思いは後輩たちに晴らしてもらいたい」

 沖縄代表・嘉手納の夏は3回戦で終わった。地区大会では夏の優勝経験のある興南を破るなど、快進撃を続けてきた。甲子園でも同じく2013年の覇者・前橋育英を自慢の打撃力で19安打10得点で撃破。スタンドでは「ハイサイおじさん」と指笛が鳴り響き、3回戦では兵庫代表の市尼崎の友情応援もあるなど、アルプスは盛り上がりを見せた。明徳義塾を相手に大敗ムードの中、声援を感じながら、意地を見せた。

21世紀の甲子園優勝校

 主将の大石哲汰は涙を流しながら「この悔しい思いは後輩たちに晴らしてもらいたい。沖縄(県内の学校)は強い。でも、最後に見せた諦めない姿勢を、これからも見せてほしい」とメッセージを残した。

 1-13で迎えた8回の集中打は見事だった。9番の新垣和哉(2年)が2球目をライト前へ運ぶ。打席に入る前に1番の幸地に相談していた。

「(幸地)諒丞さんに『見ていった方がいいですか?』と聞いたら『ガンガンいけ』と言われたので思い切っていきました。(先発の仲地)玖礼(くおれ)さんにはこれまでミスをして迷惑ばかりをかけていた。あの人のおかげでここまできたので負けたくない気持ちでした」

 先輩への感謝をバットに込めた。

 1番の幸地諒丞は低めの球を狙い、ヒットで続いた。「新垣が僕らにつなぐ気持ちで打っていたことが伝わった。なので僕もつなぐ気持ちでした」。2番の仲井間光亮は「アルプスの声援がすごかった。つながってほしいという気持ちだけでした」と右翼へタイムリー二塁打。止まらない。

選手のほとんどが地元中学の出身、沖縄野球の歴史に新たな1ページ

 3番・大石は「諦めない姿勢を見せられた」。途中、何度も野球部を辞めようと思ったが、ナインに必要だと引き留められた。そんな思い出がよみがえってきた。レフトへの2点二塁打は自分一人の力ではなかったと振り返った。

 4番の知花拓哉は「仲間ながらすごいなと思って見ていた。その波に自分も乗れたかなと思う」とレフトへのヒットで一、三塁とチャンスを広げ、5番の比嘉花道は「思い切り自分のスイングするだけ」とライトへ6連打目のタイムリー。東邦(愛知)が八戸学院光星(青森)戦で見せたような逆転劇を願ったが、続く古謝巧真の打球はいい当たりのショートライナー。走者が戻れず併殺打になった。続く村浜達成も倒れ、6連打4得点止まり。5-13で敗れたが、諦めない姿勢は観衆に届いた。

 選手のほとんどが地元の嘉手納、読谷、古堅と校区が隣り合う3中学の出身。あるナインは入学時に「名前を知らない人はいなかった」というほど。地元の好選手が嘉手納に入ることを聞いて、入学を希望し、受験した選手もいる。元沖縄水産のコーチで、故・裁弘義監督の下で野球を学んだ大蔵啓人監督が地元で強いチームを作ろうと奔走した。元横浜高野球部長の小倉清一郎氏にコーチを依頼したこともあった。一昨年の冬、高いレベルの野球をする小倉氏の指導を実戦できる生徒が少なく、グラウンドには怒号が飛んだこともあった。

 甲子園に来てからも、「高めの真っすぐは振るな」「変化球も捨てて、コンパクトなスイングで低めの直球だけを狙え」「ある一定のところから上空の風の向きが変わるからフライに気をつけろ」など、全国の舞台で戦うための助言を実践した。前橋育英の好右腕・佐藤の攻略につなげた。

 興南、沖縄尚学、糸満、美里工、浦添商、八重山商工など群雄割拠の沖縄。嘉手納の奮闘はまた沖縄野球に新たな1ページを刻んだ。

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

最終更新:8/17(水) 8:54

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