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リメーク版 農協キャップ 若者にブレーク Uターン青年発信 長野県飯山市

日本農業新聞 8月17日(水)7時1分配信

 「農協キャップ、カッコいい!」。長野県北部の奥信濃地域で暮らすお年寄りの写真を掲載するフリーペーパー「鶴と亀」を発行する小林直博さん(25)が、旧飯山市農協が30年前に組合員に配った帽子に目を付けた。マークはそのままに若者向けに若干、形を整え、販売を始めたところ、「購入したい」と全国的なヒットとなった。いまや流行は、農村から都会に“逆輸入”する時代となりつつある。

「奥信濃スタイル」 フリペで共感

 「鶴と亀」は、米国発祥のヒップホップ音楽や文化を愛する小林さんが、その要素を取り入れ不定期で発行する無料の写真集。小林さんは実家のある長野県飯山市にUターンし、2013年から農村のお年寄りを“カッコよく”撮影し、全国に発信する。意外性が受けて人気となり、現在は国内外190カ所で1万部を配布。地元商店やA・コープ、農家も協賛する。

 撮影活動の中、お年寄りのかぶる農協キャップの格好良さに目を奪われた小林さん。紺色の生地に水色の旧飯山市農協のマークが気に入った。昨年発行した第4号では、農村のお年寄りの服装を「奥信濃スタイル」と名付け、都会のモデルやミュージシャンがその服装を着こなす企画にした。

 早速、小林さんはキャップのデザインはそのままでサイズや素材を変えて作り直し、モデルにかぶってもらうと「かっこいい。普段使いできそう」と絶賛された。

 地元のJA北信州みゆきによると、キャップは1985年に作成。当時、参事だった石田正人さん(83)は「農協のマークは公募したもので、組織の統一を図ろうと作った。米やきのこ生産に活気があり、貯金や販売高が伸びた良い時代だった」と当時を振り返る。それがいまや都会の若者に受けていると知り「若者に何がはやるか分からないが、年寄りを尊敬しようという思いが伝わってくる」と喜ぶ。

地元限定販売 活気呼び込む

 今年6月にはリメークした農協キャップや、誌面の写真をプリントしたTシャツを商品化。地域の暮らしを垣間見てもらえるよう市内の洋品店「赤のれん」だけの限定販売とした。「いかにも若者が入らなそうな店」(小林さん)だが、発売後は店を訪れる若者が絶えないという。店主の我妻英雄さん(84)は「若い人が店に来て一緒に写真を撮りたいと言われるようになった。小林君のおかげで地域がにぎやかになった」と笑顔を見せる。

 小林さんは「似たものを身に着けることで都会と農村、若者とお年寄りをつなげたい。かっこいいものは都会だけじゃなく足元にある」と熱く語る。リメーク版農協キャップは1個4000円。(染谷臨太郎)

日本農業新聞

最終更新:8月17日(水)7時1分

日本農業新聞