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見えてきた「新しい東北」 震災復興5年半の歩み

日刊工業新聞電子版 8月17日(水)14時19分配信

東北経済けん引役のトヨタはフル稼働

 東日本大震災からまもなく5年半が経つ。政府の「集中復興期間」が3月で終了し、被災地の復興は次のステージに向かって動き始めた。医療、ロボットなど新たな産業の芽が生まれ、古くから地域に根付いた産業にも動きがみられる。新しい姿へ生まれ変わろうとしている東北の姿を追った。(仙台・苦瓜朋子、福島支局長・阿部義秀、山形支局長・大矢修一)

■人材確保に苦心

 トヨタ自動車のコンパクトカーを生産するトヨタ自動車東日本(TMEJ、宮城県大衡村)。設立4年を迎え、域内サプライヤーの数も増加し、東北経済のけん引役として存在感を増している。人気車種「アクア」の生産でフル稼働を続けるTMEJ岩手工場(岩手県金ケ崎町)は、生産能力の増強に向けて3-11月に期間従業員230人を募集している。しかし「現段階で採用人数は2ケタにとどまる」と担当者は足元の採用難に頭を抱える。

 宮城県大河原町に工場を構える鋳造業のコイワイ(神奈川県小田原市)も「熟練技術者の採用に苦労している」(小岩井豊己社長)と同様の悩みを持つ。

 厚生労働省がまとめた6月の有効求人倍率(季節調整値)は、岩手県1.39倍、宮城県1.54倍、山形県1.41倍、福島県1.60倍。震災被害が大きかった3県を含むこの4県は全国平均の1.37倍を上回る。全国的に企業の求人が増加する中、東北においては建設業中心とした求人数が高止まりを続けるものの、雇用のミスマッチも存在し、事業規模を問わず人材確保に工夫が求められている。

基幹産業の水産加工業、世界輸出にかける

 東北沿岸地域の基幹産業である水産加工業。水産庁が2月に公表したアンケートによると、青森、岩手、宮城、福島、茨城の5県で売り上げが震災前の水準に回復した企業は5割を切る。震災後1年でほぼ震災前の水準にまで回復したとされる鉱工業生産と比べ、水産加工業は苦戦を強いられている。

 「三陸を世界トップの水産ブランドに」。これを合言葉に、東北六県商工会議所連合会、東北経済産業局などは「三陸地域水産加工業等振興推進協議会」を設置した。宮城県の気仙沼漁港、岩手県の釜石漁港、青森県の八戸漁港など三陸地域の水産物の輸出に関わるブランド価値向上が最大のテーマだ。

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最終更新:8月17日(水)14時24分

日刊工業新聞電子版