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尖閣に中国船が240隻も集結、背景に長老との権力争い?

ニュースソクラ 8月17日(水)16時0分配信

強硬姿勢で南シナ海問題への批判回避を狙う

 尖閣諸島(沖縄県石垣市)の周辺海域で6日、中国の漁船230隻が集結、それ以降中国の公船数隻も接続水域への侵入を繰り返している。17日にも公船の一部が領海に入った。

 中国は先月、常設仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)によって南シナ海における中国の主権の主張を全面的に否定されたばかり。専門家の中には、毎年夏に開かれる北戴河会議(中国共産党が北戴河で行う非公式会議)で、習近平主席派が南シナ海問題に関する批判をかわすため、領土問題で強硬姿勢に出ているという分析も出ている。

 北戴河会議は現指導部と長老が参加して行われる。毎年、避暑地である河北省・秦皇島市で開かれる。中身はもちろん、開催自体も秘密にされる。現指導部の消息が出てこなくなることで、ようやく開催していることが分かる。今年は、開催されたとの見方が強い。

 会議には、現指導部と対立関係にある江沢民・元国家主席派や、胡錦濤前主席を代表とする共産党青年団の流れを組む幹部も多数出席している。

 焦点は、最高指導部メンバーが大幅に入れ替わる来年の第19回党大会へ向けた党内人事の調整だが、「南シナ海の主権を否定された仲裁裁判所の決定も話題になっているはず」(中国海洋問題に詳しい専門家の1人)という。

 先月12日に出された決定で、中国は南シナ海をめぐる自国の主張をほぼ全面的に否定された。もちろん、その後も中国は「決定の無効」を主張し、譲らない姿勢だ。しかし、「国際的なルールを守るべきだ」と、中国に決定に従うよう求める声は高まるばかりだ。

 安倍晋三首相も、7月15日にモンゴル・ウランバートルで行った日中首脳会談で、李克強首相に対して、決定の受け入れを求めたと報道されている。日本政府は、この首脳会談を中国側が受け入れたことについて、「対話による平和的な解決を図っている」と判断し、「やみくもに中国を批判するのではなく、ことあるごとに対話の機会を作って粘り強く説得する」(外務省幹部)としていた。

 ところが、今月6日以降、尖閣諸島の周辺海域に中国漁船が集まり、武装した公船6隻が、接続水域内に入った。漁船や公船は領海や接続水域に入ることはあるが、多くて3隻程度。これだけ多くの漁船が集まったのは、日中関係が今より不安定だった1978年4月に、100隻以上の中国漁船が押し寄せて以来とみられる。

 日本政府は6日、外務省の金杉憲治アジア大洋州局長が中国大使館の郭燕公使に抗議したが状況に変化はなかった。このため抗議のレベルを上げ、岸田文雄外相が9日、程永華駐日中国大使を外務省に呼び、「わが国の主権を侵害し,一方的に現場の緊張を高める行動をとっていることは,断じて受け入れられない」と直接抗議した。

 さらに海上保安庁も15日、中国公船の領海侵入や接続水域航行に対応している様子を収めた動画をホームページ上で公開した。

 中国では20カ国・地域(G20)首脳会議が9月に開催される。経済の減速に苦しむ中国は、この会議を成功させるため、過激な行動は控えるとみられていた。しかし中国国内の権力争いが尖閣周辺の行動の背景にあるとすれば、尖閣周辺の緊張は簡単に収まりそうにない。もちろん南シナ海でも、いっそうの強硬姿勢で臨んでくる可能性がある。

■五味洋治 ジャーナリスト
1958年7月26日生まれ。長野県茅野市出身。実家は、標高700メートルの場所にある。現在は埼玉県さいたま市在住。早大卒業後、新聞社から韓国と中国に派遣され、万年情報不足の北朝鮮情勢の取材にのめりこんだ。2012年には、北朝鮮の故金正日総書記の長男正男氏とのインタビューやメールをまとめて本にしたが、現在は連絡が途絶えている。最近は、中国、台湾、香港と関心を広げ、現地にたびたび足を運んでいる。

最終更新:8月18日(木)8時55分

ニュースソクラ

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

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昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。