ここから本文です

内田彩、豊かな色彩感と笑顔で満たした初の武道館ライブ

MusicVoice 8/17(水) 13:00配信

 アニメ『ラブライブ!』に声の出演を果たすなど、大きな人気を博している声優の内田彩が13日、東京・日本武道館で、ソロによる初の日本武道館ワンマンライブ『AYA UCHIDA Complete LIVE ~COLORS~』を開催した。自身が4枚のアルバムで発表してきた全34曲を一挙に披露。様々な衣装を着回しながら、バラエティ豊かな世界観を披露し、この日のステージを演出し観衆を沸かせた。

 内田がソロデビューを果たしたのは、2014年の11月。ソロアルバム『アップルミント』をリリース、そして今日まで約1年半の短い間に4枚というハイペースでアルバムをリリースし続け、ライブ活動も短期間で驚異的に会場を拡大、そしてこの日の武道館ライブ。異例の大躍進を果たしている。しかもこの日のライブは、4枚のアルバムで発表してきた全34曲を一挙に披露という、特別なステージが企画されていた。ライブ慣れしたベテランシンガーでも、これほどの長丁場をこなすのは至難の業といえる。そんな高い壁に挑んだ、内田彩の挑戦の模様を今回はレポートする。

 内田のファンたち、そして内田自身もまた、待ち望んだこの日。オープンのずっと前から、会場の入り口のは山のような人だかりができていた。この日は約9000人の動員を記録したという。武道館の大きなステージの前には、グランドフロアのちょうど中心まで届く花道が設けられた上に、観衆とステージを360度全方向に望めるセンターステージが設けられ、内田の登場に対する期待感をよりかき立てていた。席に着いた観衆もまた、それぞれペンライトを手に内田の登場を今か今かと待ち構える。そして定刻から5分を経過したのち、場内アナウンスの終わりとともに会場は暗転。観衆が手にしていたペンライトの緑色の光だけが、会場に色をもたらしていた。

 暗転とともに観衆が大きな歓声を上げる中、内田はセンターステージに現れた。スポットライトに照らされて現れたその姿に、歓声はさらに大きくなった。真っ白なコスチュームで現れた内田は「妄想ストーリーテラー」を歌い始めた。

<これから始まります! 私の物語新しい展開 どんなことになるのかな?>

 ゆったりした16ビートとワルツのリズムが交差する中で、歌詞につづられた物語の始まりを告げるその言葉は、まさしくこのステージ開始の宣言となった。そのメルヘンチックなハーモニーの序章を内田が歌い切ると、再び拍手と歓声が内田に送られた。そして、内田は本ステージに移り「ドキドキが止まらないんだよ!」とアカペラで一つの節を繰り返し叫んだ。来るべき時は、その時に訪れた。「妄想ストーリーテラー」がプロローグなら、次に披露された「Floating Heart」は、この日のステージで描かれる物語自体の幕開け。そして一瞬のブレイクの後、さらに内田が「武道館! カラフルに染めていくよ!」と叫んだ。

 ステージ背面に垂らされていた幕が一気に下ろされ、白を基調とした西洋の城のようなセットが披露される。そして続いて鳴り響いていく、アクティブな16ビートのリズムに乗せて「内田らしい」ポップでチャーミングなメロディが、会場の色をカラフルに塗り替えていく。曲が変わる毎にアクティブさを増すリズム。そして時にワルツのリズムに変わり、あどけない少女の声で目いっぱいキュートな面を見せる「泣きべそパンダはどこへ行った」「キックとパンチどっちがいい?」とまた違った色を披露する。そのグルーヴに乗せられ、観衆は文字通り飛び跳ねながら、内田の描き出す世界に身を浸し楽しんでいた。万華鏡のように次々と変わる色彩に合わせて、観衆も手にしたサイリウムを黄色に、そして赤にとシンクロして色を変えていく。「最後まで、笑顔で楽しいライブにしましょう!」と呼びかけた内田は、その変化を楽しむかのように、自身も歌いながら上手、下手とステージを動き回り、観衆とのコミュニケーションを楽しんでいた。

 「デビューしたくない、とゴネていたころが懐かしい」初めの10曲を歌った後に、内田は語った。ソロデビューを果たした当初、μ’sのメンバーとしても活躍していた内田は、ソロ活動に対し大きな不安を抱えていたという。さらにソロデビュー後の1年半の躍進は、マイルストーンとしてみると内田自身の負担も決して軽いものではなかったはずだが、そんなことを笑顔で懐かしげに語る内田には、苦労などという思いはかけらも見えない。そこには「内田だからこそできる」「内田だからこそやってくれる」そんな周囲からの信頼を感じさせるほどの強さすら見えていた。

 そして「ヘラヘラしているだけがウッチーじゃないぞ! というところを、存分に見せてやる」、内田はそう言い放ち、ガラッと曲調を変え「ONE WAY」からハードな一面を見せ始めた。会場の照明も赤くなり、ペンライトの色も赤に。そして膝まであった内田のスカートは、いつの間にかミニスカートへと衣装替えが行われ、ポップで浮き足立ちそうなサウンドは、激しく叩きつけられるようなビートに変わっていった。

 さらに続く「afraid…」より、今年初頭にリリースしたアルバム『Bitter Kiss』で見せたワイルドな姿を存分に見せていく。かと思えば、「ハルカカナタ」でバラード曲へ転身、「Daydream」ではピンクのドレスに、そして「いざゆけ! ペガサス号」では白と黒のストライプのドレスへと、自身も鮮やかに変貌し、バラエティ豊かな世界観を披露した。中でもファーストアルバム『アップルミント』に収録されている「ピンク・マゼンダ」は、初めてバンド演奏でのプレーを取り入れたスペシャルバージョンを初披露、初武道館ならではの特別なステージを演出していった。

 時にセンターステージまで赴き、一人一人の観衆と目を合わせようと、センターステージを所狭しと動き回っていた内田。「回りすぎて疲れたけど、やっぱりセンターステージって楽しい! 武道館ってどれだけ広いんだろう? って思ったけど、みんなの顔が見えるんだね!」そう語りながら一人一人に笑顔を振りまき、手を振る。途中MCを挟みながらも、ステージを駆け回りながら、ほぼ歌いっぱなし。21曲を歌い切った時には、ステージ開始から約2時間を経過していたが、内田の楽しげな表情と、キュートで明るい声は、全く陰ることを知らないようだった。

 いよいよステージは後半、コンセプトアルバム『Sweet Tears』の楽曲を3曲、さらに『Bitter Kiss』の曲を3曲と、また新鮮な内田の一面を観衆に披露する。特に「キリステロ」は、先立っておこなわれたコンセプトライブでも異常なほどの盛り上がりを見せた楽曲で、ここまで内田が歌い上げ作り上げた世界観、色彩感の効果も相まって、観衆の興奮をさらに盛り上げた。歓声は、この広大な武道館の会場の中、まさにバンドの演奏するサウンドを凌駕する勢いで響き、強烈な熱気を巻き上げていった。

 そして「ラストスパート、行くよ!」という内田の叫びとともに、「Growing Going」からいよいよクライマックスに向けてのラストスパートが始まった。セットの残りに設定された曲は、いずれもファーストアルバム『アップルミント』、セカンドアルバム『Blooming』から選ばれた曲で構成されていた。アクティブで思わず体が動いてしまいそうなサウンド。そこにポップでキュートな内田の声が乗ると、じっとはしていられない。そんな内田の声が見せる効果を、そのまま体現するような観衆一人ひとりの楽しげな表情。そんな表情を見る内田の表情もまた楽しそうだった。お互いがお互いの感情に作用し、気分を盛り上げる。この日のステージにはそんな相乗効果が見られた。

 ついにクライマックス。内田のソロデビュー活動開始の代名詞としている、思いの深い曲「アップルミント」を披露。上気しながらうれしそうな表情を見せる内田は、観衆に向かって「もう帰りたくないくらい」と語った。そこにはもう、ソロ活動を躊躇していた内田、この日を迎えるにあたって緊張していた内田が持っていた、迷いの気持ちはなかった。そして、この日の「全曲ライブ」をコンプリートするラストナンバー「with you」へ。この曲には「この場に私がいるのは、まさに応援してくれた皆さん一人ひとりのおかげです」という、観衆への感謝への言葉が強く込められていた。そして全34曲をしっかりと歌い終えた内田。内田の表情には「やり終えた」というより、何か誰かに向けた愛おしさのような感情が見えていた。目に涙を浮かべていたようにも見えたが、決して笑顔を崩さなかった。「いつも私についてきて、笑ってくれてありがとう! これからも私のことを、笑顔で照らし続けてね!」感謝の言葉を観衆に投げかけた。その言葉に、惜しみない拍手が観衆から内田へ送られた。

 長かったこの日のライブは、こうして幕を閉じた。最後の挨拶が終わっても名残惜しそうにステージに留まり、観衆一人一人に思いを送るかのようにずっと手を振り続けていた内田。全34曲、3時間以上にも及ぶ長尺のステージを、途中で休憩など入れることなく歌い切ったそのバイタリティは、驚異としかいえない。しかし本当に驚くべきは、そんな体力的な苦しみなどみじんも感じさせず、それぞれの曲に込めた思いを少しも半減させず、まさにライブのサブタイトル通り、カラフルな世界観を実現したことだ。ステージでの彼女はいつも笑顔にあふれていた。

 また、この日のライブでは、今秋にシングルがリリースされることが発表された。「みんなの笑顔があるからここまで来られた。だから、このシングルには、みんなの笑顔を詰め込みたい」と、1stシングルへの思いを語る内田。また、新たな一歩を踏み出そうとするその姿には、まだまだ注目していく必要がありそうだ。(取材・桂伸也)

■セットリスト

『AYA UCHIDA Complete LIVE ~COLORS~』

2016/08/13 日本武道館

01. 妄想ストーリーテラー
02. Floating Heart
03. Party Hour Surprise!
04. スニーカーフューチャーガール
05. 泣きべそパンダはどこへ行った
06. キックとパンチどっちがいい?
07. Let it shine
08. オレンジ
09. Sweet Rain
10. 最後の花火
11. ONE WAY
12. afraid…
13. シリアス
14. Like a Bird
15. MELODY
16. ハルカカナタ
17. Daydream
18. ピンク・マゼンダ
19. いざゆけ! ペガサス号
20. color station
21. Merry Go
22. リードを外して
23. 笑わないで
24. Sweet Dreamer
25. Ruby eclipse
26. 絶望アンバランス
27. キリステロ
28. Growing Going
29. ドーナツ
30. Go! My Cruising!
31. Blooming!
32. Breezin'
33. アップルミント
34. with you

最終更新:8/17(水) 13:00

MusicVoice