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ロボットの新しい仕事はタトゥーアーティスト

ニュースイッチ 8/17(水) 12:10配信

ロボットはファナック製、優雅で正確な動き

  技術を試すとき、常に好奇心に駆られている私たちは没頭するあまり、論理や実用性を置き去りにするものだ。「A、BまたはCをすべきか」とはあまり考えず、「さあ、できるかどうかA、B、Cを試してみよう。無意味で、まともではないかもしれないが、きっと面白いよ」というように。工場ではなく、入れ墨店(タトゥーパーラー)で働く産業用ロボットがその代表例だろう。

 このプロジェクトは、ピエール・エムとジョアン・シルベイラが代表を務めるフランスのデザインスタジオ「アプロプリエイト・オーディエンセズ」から生み出され、米オートデスクがサンフランシスコに設置した新しいモノづくりを研究する実験場「ピア9」の協力で実現した。

 彼らにはすでに、新プロジェクトに必要な時間や資金、人材を手に入れていた。それに加え、3Dプリンターを改造して入れ墨を彫るタトゥーガンを開発した2014年のプロジェクトの熱心なファンもいた。ほかに必要だったのはロボットだけで、そこで出会ったのがファナックの産業用ロボット「FANUC M―710iC/50」。これが世界初のロボットのタトゥーアーティストとなった。

 この試みはうまくいき、ロボットは入れ墨用の針を骨にまで突き刺すこともなければ、これまでのやり方で入れ墨をする時に経験する以上の不快感を与えることもなかった。

 その代わり、起伏や柔軟性に富む人間の皮膚ならではの問題への対処も含め、かなり準備を進めることで、チームは6軸のロボットのアームを安全かつ正確に制御し、人間の太ももに、らせんパターンを描くプログラムを作り上げた。「優雅で、正確で、そして美しい」。あるデザイナーは、タトゥーロボットの動きをこう表現する。

<人間の仕事を奪う?>

 これに対して、実際には用途がなく、軽薄で無駄なお金を使っていると批判するのは簡単だ。しかし、それはきわめて近視眼的な見方と言える。

 奇抜とも思える同スタジオの実験はまさに、人間の感触が必要不可欠と思われていた多くの仕事や任務でさえ、ロボットのハードウエアやソフトウエアの能力拡大を前に、崩壊の危機にさらされることを明確に示している。

 タトゥーパーラーでロボットが使われるとはファナックもおそらく予想していなかっただろう。

 だが、実験がうまくいったことからデザイン会社は現在、ロボットによる入れ墨のビジネスモデルを検討しようとしている。米国だけでも、タトゥー市場は推定で20億ドルを上回る。もしかしたらファナックも事業を多角化したほうがいいかもしれない。

文=リノ・J・ティブキー(『アキハバラニュース』エディター)

最終更新:8/17(水) 12:10

ニュースイッチ

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