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年収1200万ウォンの仕事も失う芸術講師たちの闘い

ハンギョレ新聞 8月17日(水)12時6分配信

文化部「学校で講師選択」方法に改編を示唆 芸術講師労組「学校に選ばれなければ事実上解雇」と反対 

 「先週、一人の生徒が先生、先生と言いながら自分たちの話を書いた演劇の台本を完成させ持ってきたんです。疲労困憊しながらも満足げな姿を見て私もとても嬉しくて…。でも、もう『来年もまた来てくれますよね』と聞く生徒たちにすぐに返事ができません」

 演劇俳優をして23年になるベテランのソン・ソクチュ氏(50)は、演劇の舞台に立ちながら2004年から学校や福祉館などで学生や高齢者に演劇を教える「芸術講師」の仕事を並行している。文化体育観光部と韓国文化芸術教育振興院が進める芸術講師支援事業に参加したことによる。講師料は時間当たり4万ウォン(約3700円)、しかも1年で最大講義時間が374時間に制限されており、年に1200万ウォン(約110万円)程度しか稼げない不安定な契約職のポストだが、この仕事のおかげで3人の子どもを含む5人家族を養う責任を負ったソン氏が純粋に芸術を続けながらも暮らしを支えることができた。

 ソン氏は、この仕事すらも来年からは続けられないかも知れないという不安に駆られている。最近、文化部から「芸術講師が授業計画書を提出し、これを見て学校の教師が芸術講師を直接選択する方法に制度を改編する」という内容の伝達がされたためだ。「正直にいうと純粋に芸術だけでは生活が厳しいために始めた仕事だが『成し遂げられなかった夢を見つけた』という高齢者や、だんだん良くなっていく生徒たちを見るたびに満足な気持ちでした。でも来年からこの仕事をできなくなるなら、演劇を辞めて新しい仕事を探さなければ」。ソン氏が今年演劇で稼いだお金は100万ウォン(約9万1500円)程度だ。芸術家福祉財団からの助成金(300万ウォン)を合わせても年収が400万ウォン(約36万6000円)に過ぎない現状では演劇を続けることは難しい。

 現在、演劇・映画・舞踊など8つの芸術分野に従事する芸術講師は5000人ほど。ソン氏とほぼ同じような立場の芸術講師たち(全国芸術講師労働組合)は16日午後、ソウル市麻浦(マポ)区上岩(サンアム)洞の韓国文化芸術教育振興院の前で制度変更の撤回を主張し、座り込みを始めた。「今までも不安定な雇用、低賃金で悪名高い芸術講師の仕事が、再び芸術講師の学校選択権を制限し、大量解雇を生む方向に改悪される」と彼らは主張する。芸術講師支援事業はこれまで、資格検定や試験を経て選抜された芸術講師らが各学校の申請分野に合わせ学校を選択する方法で進められてきた。芸術講師労働組合のキム・グァンジュン委員長は「結局学校に選択されなければ事実上解雇になるという意味」と主張した。また、「5000人に上る芸術講師たちの計画書を一線の学校がひとつひとつ検討する余力があるのか」とし、「学校で芸術講師支援事業そのものを放棄してしまう可能性が高い」と語った。

 芸術講師たちの反対が激しくなると文化部は「現在は意見の収れん段階」とし、「具体的な計画が確定したわけではない」と即答を避けた。

バン・ジュンホ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)

最終更新:8月17日(水)12時6分

ハンギョレ新聞