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清武加入のセビージャ、“変貌”を遂げた新体制でタイトルを獲得できるのか

SOCCER KING 8月17日(水)18時20分配信

 変貌だ。好きか、嫌いか。魅力的か、退屈か。好みは人それぞれだが、セビージャはリーガ・エスパニョーラ開幕前から昨シーズンとは違う顔を公式戦で見せている。

 UEFAスーパーカップのレアル・マドリード戦、そしてホームで行われたスーペル・コパ(スペイン・スーパーカップ)・ファーストレグのバルセロナ戦で、セビージャはボールを保持し、試合の主導権を積極的に握ろうとした。2試合とも敗れたものの、ボール保持率では(主力を多数欠いていたが)欧州王者レアル相手に58パーセントと上回り、リーガ王者バルサには48.8パーセントとほぼ互角だった。

 この数字は「相手がどこであろうが自分たちがボールを持ち、試合の主導権を握る」というホルヘ・サンパオリ新監督の意思を示す。アルゼンチン人指揮官はスーペル・コパ前日会見での「最高のディフェンスはボールを持つこと」という発言を実行した。今のセビージャにヨーロッパリーグ3連覇に導いた前任者ウナイ・エメリ氏の面影はない。その様はサンパオリ監督が信仰する同胞のマルセロ・ビエルサ氏が2011年から2013年に率いたアスレティック・ビルバオを想起させる。

 今夏、セビージャではポーランド代表MFグジェゴシ・クリホヴィアク、フランス人FWケヴィン・ガメイロ、アルゼンチン代表MFエベル・バネガ、スペイン人DFコケ、元スペイン代表MFホセ・アントニオ・レジェスなど12人が退団。8月15日時点で日本代表MF清武弘嗣、アルゼンチン人FWルシアーノ・ビエット、イタリア代表FWフランコ・バスケス、スペイン人MFパブロ・サラビア、ブラジル代表MFガンソら9人が入団した。

 獲得した選手の才能を開花させ、高く売る。そしてタレントはあるが、まだ誰のお眼鏡にかかっていないお得な選手を獲得する。今夏も補強された選手の顔ぶれを見れば、チーム編成において名物スポーツディレクター、モンチ氏の健在が伺える。

 違うのはやって来た選手たちが、例年とは違うサッカーをしている点だ。サンパオリ監督は最後尾からボールを回し、攻撃を組み立てるサッカーを推し進めている。時間を重ねれば、さらに彼の色に染まるだろう。セビージャの地元紙『エスタディオ・デポルティーボ』によれば、サンパオリ監督はガンソをディフェンスラインの前に置き、元イタリア代表MFアンドレア・ピルロのような役割を与えるという戦略も考えているという。

 新たな試みをするセビージャにはとても好印象を受ける。人とボールをよく動かそうとする、当然ながらまだ機能美を感じさせるほど完成度は高くないが、それも時間が解決するだろう。11月くらいには魅力的なサッカーがセビージャの本拠地ラモン・サンチェス・ピスファンで展開されているのではないか。

 問題はこのチームが継続的に勝てるかどうかだ。

 ボールは持っていたが、レアル戦でもバルセロナ戦でも効果的な攻撃は少なかった。中盤を制圧できたのは、プレーの強度が高かったからで、パス回しで主導権を握ったわけではない。バルセロナ戦の後半はスタミナとともにすっかり強度が低下し、劣勢だった。

 ボールを回せど、攻撃のきっかけを探している時間がほとんどだった。たとえば、ウルグアイ代表FWルイス・スアレスが決めたゴールの起点となったスペイン代表MFデニス・スアレスの決定的な縦パスは、セビージャのパス回しにはなかった。イニエスタが前半2度見せたような相手ディフェンスのライン間でパスを受けて、数的優位な状況をつくるポジショニングをセビージャの選手はできなかった。

 ゴールエリア内からシュートもバルセロナ10本に対して、セビージャは5本でボール保持がシュート数に結びついておらず、「ボール保持率が高い=決定機の数が多い(もしくは試合を優勢に進めている)」ではない。

 前任者は持ち駒のストロングポインを活かし、手堅いサッカーでタイトルを獲得した。同じくらいの予算規模、メンバーを与えられたサンパオリ監督は、自分のスタイルを貫き、欧州のクラブシーンでもタイトルを獲得できるのか。

文=座間健司

SOCCER KING

最終更新:8月17日(水)18時20分

SOCCER KING

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

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昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。