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夏の甲子園 鳥取勢「2勝」の壁、ついに60年 なんで勝てないの? 指導者が語る理由

withnews 8月19日(金)7時0分配信

 今年も熱戦が続く夏の高校野球。その舞台となる甲子園で、人口最少の鳥取県勢が破れていない大きな壁があります。今年も県代表の境が初戦で敗れ、ここ60年、夏の甲子園で2勝できていません。この不名誉な記録に鳥取県の高校野球関係者がどう思っているのか、5月まで鳥取で取材をしていた記者が聞きました。(withnews編集部、阿部健祐)

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「2勝」をさかのぼると 1956年!? 戦前は強豪

 参加校が25、硬式野球部員が1千人を切っている鳥取県勢が60年間越えられない夏の甲子園「2勝」の壁。戦前は4強入り4度と、トップクラスの実力を持っていました。最後の「2勝」は1956年の夏。戦後まもなく朝鮮(当時)で抑留された体験を持つエース長島康夫投手が原動力になり、4強入りを果たしました。それから大きな壁が立ちはだかっています。

2000年代は初戦突破も難しく

 81年の選抜で4強入りした倉吉北も「2勝」はできず、近年は初戦突破も難しくなっています。2000年以降に初戦を勝ったのはわずか3回。12年に鳥取城北が香川西に勝ち、天理(奈良)に挑みましたが、2―6で敗れました。13年に、八頭が初戦で角館(秋田)を破りましたが大阪桐蔭に0―10。二塁も踏めない完敗でした。

今夏の鳥取代表は境 明徳義塾に2―7で敗北

 今年こそ2勝の壁は破られるのか。そんな期待がかかる中、鳥取県代表の境は明徳義塾(高知)と対戦しました。序盤から明徳義塾の機動力に揺さぶられ、守りでは5失策と2―7で敗れました。攻撃では鳥取大会で粘りを見せた打線が沈黙。3回には一時同点となる本塁打を放ちましたが、それ以外のチャンスは作れず、今年も「2勝」の壁を破れませんでした。これで「2勝」なしはついに60年になってしまいました。

 ほとんどの地域がここ10年以内に「2勝」しており鳥取の60年は飛び抜けています。

なぜ勝てないの? 鳥取の指導者らに聞いてみた

 なぜ鳥取は夏の甲子園で2勝できないのか。県内で高校野球の指導に携わった人たちに聞きました。

 春夏通算8回、八頭(やず)を甲子園に連れて行った徳永昌平前監督(62)は、「全国レベルの投手を打てるだけの打撃力が足りない」と話しました。2000年代、県勢の夏の甲子園の1試合あたりの平均得点は3点弱。一方、平均失点は7点弱です。運動神経の良い選手が県外に流出すること、競技人口が少ないことをあげて、「先発メンバーに打てる選手をずらりと並べることができない」と語りました。

 60年前に「2勝」した米子東の紙本庸由監督(35)は「鳥取のチームは、いつからか全国制覇を目指すことをやめてしまった」。そう切り出しました。紙本監督によると「2勝したら、8強か16強。8強に入るチームは全国制覇できる力がある」。つまり全国制覇を目指していない以上は、夏の甲子園で2勝するのは難しいということでした。

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最終更新:8月19日(金)7時0分

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