ここから本文です

ディズニーの次はハリウッド?アジアNo.1の大富豪、王健林の野望とは

ZUU online 8月18日(木)10時10分配信

「強いトラもオオカミの群れにはかなわない」。中国の不動産デベロッパー、大連万達集団(大連ワンダグループ)の代表である王健林(ウォン・ジャンリン)氏が放った言葉である。

世界有数のエンターテインメント企業である、ディズニーが上海ディズニーランドをオープンしたことについて、米国文化を持ち込んだだけだと非難しての発言だ。重ねて、中国国産の巨大テーマパークを、国内で次々と開園すると同氏は「エンターテインメント界の一大帝国」ディズニーに宣戦布告したのである。

■ディズニーに喧嘩を売る 王健林氏とは何者なのか

王氏はフォーブス誌が発表した2016年の長者番付で18位にランクインした、資産287億ドル(約3兆円弱)のアジア1の大富豪だ。同番付にはビル・ゲイツ氏やFacebookのCEOマーク・ザッカーバーグ氏、ウォーレン・バフェット氏も名を連ねている。

巨万の富を築く経営手腕を持つ王氏だが、中国外への留学経験などはない。同国内で学んだ経営スキルをもって、今の地位を築いている。1989年まで約16年、大連の人民解放軍に参加し、その後住宅開発を担当する中でビジネスの頭角を現し、1988年に大連万達集団を設立した。

現在は、中国国内だけでも134 のショッピングモール、 82の高級ホテル、213の映画館、99 のデパート、そして54 のカラオケセンターを運営。米国でも映画館やフィルム制作会社を傘下に収め、スペインではリーガ・エスパニョーラに所属するサッカークラブ、アトレティコ・マドリ―ドの株を20%保有しているほか、FIFAとも密に連携している。

■第1ラウンド:米国 上海ディズニーランドVS中国 ワンダ・シティ

約55億ドルの建設費をかけ、上海ディズニーランドが中国本土にオープンしたのは2016年7月のことだ。先立つこと2カ月、ワンダグループは約34億ドルの建設費をかけ、複合型テーマパークであるワンダ・シティをオープンしている。

ディズニーが進出地として選んだ上海は、世界経済のハブの一つとして知られる巨大都市で、人口は2425万人。一方ワンダ・シティが選んだ江西省の南昌市は人口518万人と、上海の約5分の1だ。ディズニーが1カ所で勝負をする中、ワンダは既存のパークも含め2020年までに15カ所に増やす計画で対抗する。

だが、正々堂々の真っ向勝負とは行かないようだ。ワンダ・シティのオープニング映像には、「パクリ」と言うのもお粗末なミッキーやミニ―などの、ディズニーキャラクターが写っていたのである。こうした出来事が集客にどう影響しているかは、まだわかっていない。開園から日が浅いこともあり、両施設とも入場者数を発表していないからだ。

両園ともに初日は長蛇の列が入場ゲートに続いた。ピーク時期の入場料には、ディズニーランドが499元(約7600円)、ワンダ・シティが248元(約3800円)と違いもあり、利益・入園者数ともに今後の発表に注目だ。

経済成長とともに増加し続ける、国内中産階級数のおかげで、現在6100億ドルを生む中国の旅行産業は、今後もさらに拡大することは間違いない。そして、それはどちらのテーマパークにも追い風となるだろう。

■第2ラウンド:米国 ハリウッドVS中国 チャリウッド?

王氏が見据える、次なるエンターテイメント分野は映画である。2016年7月に3.5 億ドルで、世界第2位の規模の映画データベースを持つMtimeを買収した。Microsoftの幹部であったケルビン・ホー氏によって、2005年に北京で創設された同社は、早くも複数のハリウッドスタジオから商品化権を獲得している。ハリウッド映画の国内輸入配給を円滑にし、さらに中国産の映画も国外に広く輸出することを狙ったものとみられる。

ただ中国の映画産業への懸念が全くないわけでもない。2020年に米国を抜くともいわれていたが、映画鑑賞や観光などの娯楽産業の成長は鈍化気味だ。経済成長の減速に加え、映画よりもゲームに熱中する人が増えたことが映画離れを加速させている。

それでも王氏の動きは止まらない。国内企業のみならず、2012年に負債付き26億ドル(約2100億円)で買収したAMCエンターテインメント・ホールディングスを皮切りに、16年1月に米国の映画制作会社レジェンダリー・エンターテインメントを35億ドル(約4000億円)、さらにはシネマグループのカーマイク・シネマを11億ドル(約1250億円)で買収している。7月には、ヨーロッパ最大級のシネマグループのオデオン&ユーシーアイ・シネマグループの9.2億ポンド(約1270億円)での買収を発表しており巨大な映画グループを作り出そうとしているかのようだ。

メディア各社のレポートによれば、王氏は米国パラマウント映画の株式の49%を40-50億ドルで、買収を検討しているそうだ。今後も積極的な買収が続けば、ハリウッドが中国資本に変わり、「チャリウッド」が誕生するかもしれない。

王氏の一人息子も、父に負けじとビジネスを拡大している。28歳の王思聪(ウォン・スーツォン)氏は、英国の名門大学・The University College Londonの哲学科で西洋思想を学び、現在はワンダグループの理事を務める。ほかにも、自身の投資会社やゲーム会社をM&Aで拡大している。「国民的花婿候補」と呼ばれ、その発言や行動でパパラッチに追い掛け回されているが、ビジネスに関しては野心家であるようだ。

野心家である王氏が、中国資本で世界の消費産業をコントロールする野望を実現する日は遠くないかもしれない。 (ZUU online編集部)

最終更新:8月18日(木)10時10分

ZUU online