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高額になりがちな「がん治療費」 頼りになる6つの制度

ZUU online 8/18(木) 17:40配信

がんと診断された時、本人や家族のショックは大きい。しかし、これから始まるがん治療に冷静に立ち向かう必要がある。気になるこの間の治療費や生活費の負担を少しでも減らす制度を解説する。

■ガン治療……治療費と生活費はいくらかかるのか?

がん治療にかかわる金額について、治療費と生活費の2つの側面から見ていこう。それぞれカバーできる制度が異なり、事前に知っておくことで効果的な負担減につながるだろう。まず、治療費について見ていこう。

がん治療はどうしても高額になる。例えば、胃がんの手術で2週間入院すると仮定して、手術費だけで約130万円、治療費総額は約160万円になる。健康保険の窓口負担は3割なので、支払いは約48万円。このほか、食事代が1食360円、もしも個室などに入りたいのなら、差額ベッド代もかかる。

■がん治療費のサポート①高額療養費制度
 一定以上の医療費が払い戻される

しかし、1カ月間にかかった医療費が一定の金額を超えた場合、後日払い戻される「高額療養費制度」がある。これは健保に入っている場合、誰でも利用できるが、所得や年齢によって計算方法が5通りある。例えば月額53万円~79万円の人の場合は、
「16万7400円+(総医療費-55万8000円)×1%」となる。

この場合だと、約12万円の支払い(自己負担の限度額)で済む。しかし注意がいくつか必要だ。まず、健康保険組合に申請してから2~3ヶ月後に差額が払い戻されるので、いったん全額立て替えて病院に支払うことになる。また、この制度はひと月毎に清算するため、月をまたぐ場合は限度額を超えていない分は自己負担となってしまう。

計算方法の種類については、全国健康保険協会のHPに詳細が載っているためそちらを参照いただきたい。

全国健康保険協会:高額な医療費を支払ったとき(https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat310/sb3030/r150)

■治療費のサポート②限度額適用認定証
 窓口での支払いを軽減してくれる制度

もう一つ、窓口での支払いを軽減する方法として「限度額適用認定証」という制度がある。この認定証をあらかじめ病院の窓口に提示していれば、会計窓口での支払いの際、前述の高額療養費の自己負担限度額にとどめられるというもの。各健康保険の窓口に申請して発行してもらうが、発行に数日から1週間かかる場合もあり、申請日(受付日)の属する月の1日(初日)からとなるので、入院後に申請する場合は早めに申請したい。

■生活費のサポート①障害年金制度
 病気や怪我で動けなくなった時に支給される

生活費のサポートについての制度はどうだろう。国民年金、厚生年金には、病気やけがなどで働けなくなった場合に支給される「障害年金制度」がある。がんの場合は、人工肛門や人工膀胱にした場合や喉頭を摘出したとき、在宅酸素療法を受けている場合などが対象になるが、抗がん剤の副作用による身体機能の低下により、仕事に支障をきたすことが認められれば、支給される可能性もある。

これも注意があり、受給できるのは、初診日から1年半経っても障害が残っている場合だ。支給額は認定される障害の等級による。サラリーマンなどの厚生年金はさらに収入や勤務年数によっても異なってくる。細かく計算すると違ってくるが、国民年金のみ加入の場合は平均5~8万円くらい、厚生年金加入の場合は同6~16万円くらいと見ても良さそうだ。

■生活費のサポート②有給休暇や傷病手当金
 サラリーマンや公務員は積極利用を

サラリーマンや公務員の場合は、がん治療中働けなくなった場合、有給休暇や傷病手当金を積極的に利用したい。

条件を満たせば、標準報酬日額の3分の2が最大1年6カ月支給される。ただ、これも1年6カ月分丸々支給されるのではなく、仮にこの間に復帰した期間があると、復帰期間も算入されることに注意したい。いずれにしても申請にあたっては、主治医との連携が重要だ。

■生活費のサポート③雇用保険の基本手当て
 会社を辞めざるを得ない事態になったら……

どうしても会社を辞めざるを得ない事態になったら、雇用保険の基本手当が当面の生活の支えになる。受給期間は原則1年間だが、がんなどの病気等により継続して30日以上働くことが出来ない場合は、事前に延長申請しておくことで最長4年間の受給猶予が可能だ。これをしておかないと、がんの治療が終わった後、求職活動をしながら失業手当てをもらおうと思っても受給出来なくなる。

また、健保の傷病手当と雇用保険の基本手当は、同時受給はできない。このため基本手当の受給期間延長をしておくと、時期をずらして両方受給することも可能になるわけだ。

■「医療費控除」も忘れずに
 1年間に10万円以上の医療費を自己負担した場合

最後に紹介する制度として、確定申告の時期が近づいたら、税金の医療費控除も頭に入れておきたい。1年間で10万円以上医療費を自己負担した場合に適用される制度だ。この場合、まず生計を1つにしている家族全員の医療費を合算することを覚えておきたい。通院のために支払った交通費や、風邪薬などの市販の薬を買った費用も申告できる。高額療養費や民間保険の保険金として戻ってきた金額を除いて、10万円を超えていれば、医療費控除を受けられることになる。

■そうはいっても冷静さを保てない……「MSW」の助けを

こうした知識を事前に覚えておくことも重要だ。しかし、いざ家族ががんになった場合、冷静でいられる人は少ない。つい申請を忘れたなどということがないよう、ほとんどの病院で常駐している医療ソーシャルワーカー(MSW)の存在も知っておきたい。公益社団法人日本医療福祉協会(https://www.jaswhs.or.jp/map/map.php)のサイトでも確認できる。

医療ソーシャルワーカーは、直接医療や介護をするのではなく、相談援助が仕事だ。これまで述べてきたように、医療費の自己負担を軽くする方法はないかといった相談や、生活、心理的なサポートをするなど「福祉の専門職」として仕事をしている。相談援助に料金はかからないので、積極的に利用して、少しでも「負担」を和らげるようにしたい。(ZUU online 編集部)

最終更新:8/18(木) 17:40

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