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プロマネに「スーパーマン」はいらない

ITmedia エンタープライズ 8月18日(木)9時5分配信

 連載スタートから約1年間、“プロマネ1年生”になったときに知っていると役に立つ、人を動かし成果を出すためのヒューマンスキルとして「7つ道具」をご紹介してきました。こうしたスキルが必要なのは、私たちが相手をするのが人間だから。プロジェクト管理のプロフェッショナルであると同時に、「人間に関わるプロフェッショナル」なのです。

 自分は気にならなくても、相手は気にしていることはたくさんあるもの。だからこそ、より多くのことに注意を払う必要があります。仮に自分自身がプロジェクトのメンバーだったとして、「プロマネがどんな接し方をしてきても、別に気にならない」という人は、特に意識しておくことが大切です。

 今回は最終回として、今までご紹介してきた「7つ道具」を振り返ります。今の自分が「できていること」、そして「足りないこと」を把握し、理想のプロマネになるために、どのように行動していくべきなのか、検討してみてください。

1:柔軟な心を持つスキル

 このパートでは、プロマネ自身が心の安定を保つのが重要であることを伝えました。「レジリエンス」というしなやかで折れない心を持ち、毎日の変化や混沌とするプロジェクトに向き合います。

2:バラバラのメンバーをまとめるスキル

 時代の変化とともにプロジェクトメンバーの多様化が進んでいます。能力も個性もさまざまな人たちのかじ取りをするのもプロマネの重要なミッションです。

 「ビジョンを掲げること」と「日々の軌道修正を行うこと」。簡単なようですが、メンバーの納得感が生まれるよう、ビジョンをかみ砕いて説明したり、日々の観察とフォローをしたりすることは非常に大きなパワーが必要です。

3:情報の取り扱いに気を付けるスキル

 プロマネは、日々さまざまな判断や決定を行うことが仕事です。その肝となるのは、メンバーからの「正しい情報を得ること」です。進捗会議や日々のホウレンソウで、いかに正しく・早く情報を得るかの工夫をご紹介しました。

4:仕事や関わり方を調整するスキル

 メンバーへの仕事の割り振りとともに、彼らの育成についても考えました。

 各メンバーが仕事に積極的に取り組まない理由を、計算式で把握した上で、アサイン時の工夫を取り入れましょう。メンバー全員を育てるのは現実的ではないので、「誰を」「どこまで」育てるかを検討した上で育成するのが効率的であることを伝えました。メンバーのモチベーションを左右する理論をおさえて、業務に取り入れましょう。

5:ステークホルダーやメンバーと交渉するスキル

 プロジェクトの中では、ステークホルダーやメンバーとのさまざまな調整ごとなど、話し合って状況整理や説得をする場面はとても多いです。ここで使う代表的なスキルは「ネゴシエーション(交渉)」。本連載では、Win-Winを目指した交渉の手順を具体的にみてきました。

6:意思決定を行い、守らせるスキル

 プロマネが決めたことをメンバーが守らないのは、納得していないから。「納得感」を生み出すために、2つのスキルを活用していくことをお伝えしました。「ファシリテーション(促進、引き出し)」「プレゼンテーション(説得)」です。それぞれ状況に応じて使い分けられるようになりましょう。

7:自身の考え方や行動を支える土台を作るスキル

 プロマネ自身の「キャリア・デザイン」を行い、自分の軸を作ることがパフォーマンスの向上につながります。自身の価値観や進むべき方向性を定めると、自信が生まれ、メンバーも「ついていきたい」と思うもの。価値観以外にも、自分の人生について振り返りを行うことで、「こんなはずじゃなかった」と後悔することもなくなるでしょう。

●完璧なプロマネなどいない、だからこそメンバーと協力する

 いかがでしょうか。振り返ってみて、あらためて「そんなことを全てできるスーパーマン、いるわけない」という思いを強めた人もいるかもしれません。誤解を恐れずに言えばその通り。これらのスキルが高いレベルで満遍なく使えるのが望ましいですが、プロマネになりたてという状況では、正直難しいことばかりです(経験があってもできてない人も大勢います)。

 だからこそ、1人で頑張るのではなく、チームメンバーの力を借りることが必要になります。チーム全体で、P機能とM機能の両方を、高い位置で発揮できれば強いチームができ上がるのです。プロマネがスーパーマンである必要はないのです。

 そして、今後プロマネとして成長するにあたって、何かを経験するたびに「できたこと」「足りていないこと」「これからどうするか」を1つずつ振り返り(リフレクション)、次に生かすことが非常に大切になってきます。

 その際には、各メンバーの動きやすさや充実感などにも目を向けてみましょう。プロマネを含む、チームメンバ全員がお互いに安心してタスクに集中できるとき、人の集まりに力が生まれ、チームとしてよりよい成果を発揮できるようになるからです。チーム全体で動いて生まれた達成感や充実感、反省や人と活動する喜びなどを、皆できちんと共有する機会を持つこともモチベーションの向上につながるでしょう。

 あなたが考える“理想のプロマネ”とは、どのようなものでしょうか。もちろん、それは人によっても、プロジェクトによっても異なり「正解」はありません。しかし、プロマネが1人でできるなどたかが知れている以上、メンバーがイキイキと働き、成果につなげられるプロマネは理想の姿の1つだと言えます。ぜひ、この連載で紹介した「7つ道具」を効果的に活用してみてください。

最終更新:8月18日(木)9時5分

ITmedia エンタープライズ