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日本の航空機サプライヤーは5兆ドル市場にどこまで迫れるか

ニュースイッチ 8/18(木) 7:33配信

大手重工メーカーの収益基盤、円高局面も投資投資に変化なし

 今後20年間で現状比倍増となる5兆ドル規模(台数ベースで4万機弱)への拡大が見込まれる民間航空機市場。日本国内でも自動車に続く基幹産業の一つとして注目され、完成機や機体部品、エンジンなどを手がける重工メーカーの収益基盤を支えている。為替の円高など足元の事業環境は一服感が見られるが、各社とも新型機向けの量産準備を着実に推進。さらなる飛躍に向けた各社の取り組みを追った。

<三菱重工、「777X」機体製造で新ライン>

 三菱重工業は開発中の国産小型ジェット旅客機「MRJ」の量産初号機の最終組立工場や、米ボーイングの次世代大型旅客機「777X」機体製造向けの新ライン構築など、航空機関連投資を加速している。

 MRJの最終組立工場は愛知県豊山町に立地し、これまでMRJの試験機を製造してきた小牧南工場の隣接地に建設。7月に量産初号機の最終組み建てを開始した。

 同工場の延べ床面積は約4万4000平方メートル。2021年以降をめどに月産10機ペースで製造する計画で、胴体や主翼、脚部など別工場で製造した部品を同工場で結合する。MRJの量産時には松阪工場(三重県松阪市)で尾翼、神戸造船所(神戸市兵庫区)で主翼部品、三菱重工航空エンジン(愛知県小牧市)でエンジンを製造する。

 777X向け機体部品では、広島製作所・江波工場(広島市中区)に自動組み立てラインを導入する。胴体パネルの搬送やパネルの打鋲、フレーム取り付けなどをロボットで行う。メーンの組立工場は6月に完成。本年度中に設備の設置を終わらせ、17年度の量産開始を目指す。

 民間航空機の機体部品事業は、機体メーカーの米ボーイングと仏エアバスが激しい受注・価格競争を展開。機体部品メーカーへのコスト低減圧力が増大している。

 三菱重工は自動化による生産性改善のほか、統合業務パッケージ(ERP)や製造実行システム(MES)をベースとする生産情報プラットフォームの構築や、人工知能(AI)を用いた検査業務の省人化などを進める。

<富士重、今期の投資額は前年比倍増>

 富士重工業は17年3月期に、航空機事業の設備投資で前期比約2・3倍の140億円を投じる。777Xの機体部品向け自動化投資が中心。777X向け機体部品は三菱重工や川崎重工業なども参画し、新工場建設や自動組み立てラインを整備中。17年の量産開始をにらみ、設備投資はピークに達している。

 富士重は777X向けに、胴体と主翼をつなぐ中央翼などを担当する。新設備を導入するのは宇都宮製作所(宇都宮市)と、半田工場(愛知県半田市)。

 中央翼部材の加工などを担う宇都宮製作所では、サビの発生を防ぐプライマーの吹きつけや航空機用のシーラント剤の塗布に、アーム型ロボットを導入。鋼板に補強材を打ち付ける工程には、オートリベッター(自動打鋲機)を追加する。

 中央翼を組み立てる半田新工場では、宇都宮で加工した部材を7メートル四方の1枚板に仕上げる。大物部品の搬送を現在主流のクレーンから、自動搬送装置に切り替える。連続搬送が可能になり、生産性が高まる。新工場の建屋はすでに完成、設備を順次設置し16年度末に稼働する。

 ボーイングは生産能力の増強と、コスト低減の両立をサプライヤーに求めている。777X向けでは現状比15―20%のコストダウンが必要とみられ、富士重は自動化投資の拡大で、生産性改善を加速する。

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最終更新:8/18(木) 7:33

ニュースイッチ