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トホホ釣り日誌【16】特別編 タチウオとアジのリレー釣り

カナロコ by 神奈川新聞 8月18日(木)14時21分配信

◆食味も釣り味抜群のタチウオ、絶品の東京湾アジ、ともに好調に釣れる
 高級魚のタチウオと絶品の東京湾アジを狙うぜいたくな「リレー船」を、久里浜・黒川本家で実釣してきた。ともに日によって好不調の波はあるが、おおむね順調に釣れている。駆け引きと強烈な引きが魅力のタチウオに、船からの釣りの基本とも言えるアジ。今回はトホホ記者の代打(というか強引に奪って)で、ペンよりも竿を握るのが好きなガチンコ釣り記者が、船釣りの魅力をいっぺんに味わえる1日を堪能しました。

◆神出鬼没の幽霊
 神出鬼没で、幽霊とも称されるタチウオ。半日船(約4時間半)で平均20本以上釣れたかと思えば、次の日はうまい人でも数本なんてことも。「今年もやっぱり釣れない日があるけど、全体的には順調ですよ」と黒川力船長(35)。期待に胸躍らせ、朝7時過ぎに出船だ。

 沖に出る前にまずは船長から釣り方のレクチャーがある。一番大事なのはエサ付けで、サバの短冊を縫い刺しにして真っすぐにすることだ。次にタナ(釣れる水深)まで仕掛けを落としたら、しゃくり(竿=さお=を上げてエサを踊らせること)を入れてリールを半回転ほどまき、丹念に誘い上げる。よほど活性が低くなければ当たり(魚信)を出すところまではたどり着ける。

◆我慢と勘が必要
 難しくて面白いのがこの先だ。タチウオは下からエサを追いかけてきてまずは端っこをかむので、当たりがあってすぐに合わせてもまずかからない(たまに一気に針がかりする元気なやつもいますが)。コツンといったり、竿先が少しもたれるような感じがしたら、魚がくわえた合図。勝負はここからだ。

 船長がおすすめするのは、「そのまま誘い方を少し弱めて、少しずつ上げてくること。竿が引き込まれるまでじっくり待ってから、合わせる。エサを針ごと飲み込ませて、合わせたときに針を喉から出して口にかける感じ」。歯が鋭いので針を飲み込まれると糸をかみ切られることもあるが、「それでも早合わせで逃すよりはいい」。確かに。この釣り、我慢と勘が必要なのだ。

◆負け惜しみも
 乗船当日はやや難易度が高めだった。当たりは出るのだが、なかなか針にかからない。じっくり待っていると、いなくなる。よし食い込んだと思って合わせると、スカッ。へたくそ。

 「かかりましたよー」と声をかけてくれたのは、親子で来ていた横浜市神奈川区の関野一義さん(47)。中学1年の優一郎くん(12)の竿がしなっている。きっちり抜き上げて、写真をパチリ。タチウオの竿頭(さおがしら)(船で最も多く釣った人)になったこともある少年釣り師は、「タチウオはかけるまでの駆け引きが面白い。でも今日は食いが浅くて苦労した」とコメントもばっちり。将来有望だ。

 14人ほどが乗船したこの日の結果は、1~30本。断トツのトップは同船に20年通うベテラン、東京都大田区の川本岩男さん(66)。隣で釣る記者に「今日はリズムに乗れないみたいですねえ」。ぐすん。俺だって竿頭とったこともあるんですよ。負け惜しみ。

◆黒川本家のイチロー
 ベテラン氏、食いが渋い時用にスーパーで買った生のサンマとサバを用意していた。「速い誘いで来るのは小型が多いから、俺はゆっくり誘って、大きいのを狙うよ」。その通り、全体的に型がいい。しかも当たりが出てから、かけるまでが抜群にうまい。空振りがほぼない。黒川本家のイチロー選手だ。ちなみに記者の打率はおそらく2割にも満たず、計6本。名人の隣でペースを乱され、自分の釣りができなかったという言い訳をしておこう。ガチンコ記者も、結局トホホ。

 タチウオが釣れるタナはポイントや季節によって違い、特に梅雨から夏場にかけては海面10メートル付近という浅場で当たることも。8月初旬のこの日は50~70メートルほどだった。最も大型が期待できる真冬に向け、徐々に水深が深くなっていく。電動リールがあると便利だ。



 船はそのまま少し移動し次はアジだ。釣り方は単純。アジがいるタナ(基本的には底から2~3メートル上)に、きちんと仕掛けを持ってこられるかだ。その際、イワシのミンチ(コマセ)を底から1~2・5メートルにかけて2~3回ほどに分けてまき、その煙幕の中に針を入れる。アジが食えば、竿がびくびくと震える。

◆タナ外さないのが大事
 とにかく大事なのはタナを外さないこと。特に自分だけ置いてけぼりの時は、こまめにタナを取り直すことだ。東京湾は潮の流れが速いので、仕掛けが流されてしまう。コマセをまいて30秒ほどしてこなかったら、もう一度底からやり直す。黒川船長も「数を釣る人はこまめにタナを取り直す人と、手返しが早い人だね」と言っている。

 アジの方は平均的に釣れて、40センチ級の大型も混じって9~20匹(トップが4人)の好釣果。記者も面目躍如で竿頭タイとなった。タチウオはあぶり刺しと天ぷらに。脂がほどよく美味。冬場の大型はさらに脂があるが、刺し身で食べるなら中型がいいとのアドバイス通り、絶妙な上品さだった。アジはフライと刺し身とたたきに。常連の川本さんの「東京湾のアジは他とはひと味違う」との言葉に深くうなづいた。余った分はみりん干しに。当分は朝食のおかずに困らなさそうだ。

 タチウオもアジも、とにかく釣れている人のまねをするのが釣果を上げる近道だ。そして何より、困ったら優しい黒川船長に。口数は少ないですが、とても丁寧に教えてくれますよ。



【メモ】船宿に午前6時ごろまでに集合。出船は同7時20分▽料金8700円▽タチウオのおもりは、PE1号が30か50号、2号が40か60号、3号が80~100号。1本針。アジはPEが3~4号で、ビシ(おもり付きのコマセかご)が130号。2~3本針。久里浜・黒川本家電話046(835)2602</div>

最終更新:8月18日(木)14時31分

カナロコ by 神奈川新聞