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<リオ五輪>タカマツペアに金をもたらしたZONE(ゾーン)の力

THE PAGE 8/20(土) 7:00配信

 日本の女子バドミントン界の歴史を塗り替えた。女子ダブルスの世界ランキング1位、高橋礼華(26)、松友美佐紀(24、共に日本ユニシス)が決勝でデンマークのリターユヒル、ペデルセンの世界ランク6位ペアをセットカウント2-1の逆転で破り、日本のバドミントン競技で初となる金メダルを獲得した。一夜明けても、ツイッターやラインで、これまでバドミントンを知らなかった人たちから「感動した」「凄い」と、祝福の声が殺到しているという。

 日本列島を感動させた奇跡の逆転、金メダルの裏には、スポーツの世界で「ZONE(ゾーン)」「フロー」と呼ばれる極限の超集中状態を作った2人の絆、強いメンタルの力があった。

 対戦相手のスウェーデンペアは、過去11戦して7勝4敗、ここ5戦続けて勝利している相性のいい相手だった。だが、去年の世界選手権銀メダルの実力者、欧州選手の特徴でもある178cm、183cmの長身から繰り出される強打に苦しみ、第1セットは18-21で落とす。松友のサーブも壁のような高さで封じられた。

 第2セットは立て直して、21-9と奪い返し試合はフルセットへともつれ込んだ。一進一退の攻防を経て16-19とリードされた。しかし、ここからの3分間に奇跡が起きる。

 高橋は「前日に伊調さん(レスリングの58kg級で4連覇)が逆転勝ちしたことを思い出して、私たちも逆転できるかもと思った。攻めなくちゃ、引いたら終わりだ」と考えたという。一方の松友は、この3点差の場面を「もう負けたかなと。でも、どうせ負けるなら、相手を“うわっ”と驚かせたかった。いい形を一回でも見せたいと思った」と振り返った。

 近年、スポーツ心理学の世界では、条件を満たせば意図的にゾーンを実現できるとされている。
 メンタルトレーナーの指示で共通しているのが「準備、リラックス、自信、イメージ、緊張」の要素。その意味で、このときの高橋の決意は、「自信」の裏返しで、松友の心理は、「リラックス」と「イメージ」を満たしている。3点差のリードを奪われ、絶対絶命の状態でもゾーンに入る準備は整っていたのである。

 まずは前衛の松友が、よく相手の動きを見て前に落として2点差。今度は、後衛の高橋が、相手を左、右とコート一杯に揺さぶって1点差。そして、松友が執拗に前から攻めて、ついに同点に追いついた。ここからは拾って拾って拾いまくり、松友が前後に揺さぶり、松友が「打ってくるコースがわかりにくくて伸びがあり、しかも連続で打てるところが凄い」と、絶賛する高橋のパワーにあふれたスマッシュで逆転。マッチポイントにすると、最後は高橋のスマッシュをリターンしたシャトルがネットにかかった。

 5連続ポイントの奇跡の逆転勝利。その瞬間、高橋はコートに倒れこみ、「振り返ったら、そこにいなかった(笑)」と、抱きつく相手を失った松友は、飛び出てきたコーチと抱き合った。
   

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最終更新:8/20(土) 7:28

THE PAGE