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訪問介護 双方の立場で 四肢まひの宮城さん、読谷に事業所発足

琉球新報 8月19日(金)11時15分配信

 【読谷】頸椎(けいつい)損傷による四肢まひで、首から下の体を動かすことが困難な宮城幸春(こうしゅん)さん(41)=読谷村=が、7月に訪問介護事業所「訪問介護さびら」を村内に立ち上げた。自らが毎日訪問介護を受ける中、支援の提供事業を始めた宮城さん。「利用者の自分だからこそ、介護を受ける障がい者と介護士の双方の立場で、『介護する側と受ける側』だけでない、人としてのつながりを重視した介護士の派遣サービスを考えられる」と意義を話す。宮城さんは「自分の姿を見て、他の障がいがある人もいろんな選択肢があることを知ってほしい」と生き生きとした表情を見せた。


 宮城さんは19歳の時、読谷村で海水浴中、浅瀬の海で崖から飛び込んだ時に海底に頭を強く打ち付け四肢まひとなった。それ以降約20年間、一日のほとんどをベッドの上で過ごす。

 ベッドの上で横たわったままだが、口にタッチペンをくわえてパソコンを巧みに操作する。中部工業高校(現・美来工科高)時代の友人の吉原朝健さん(40)=うるま市=が宮城さん専用に開発してくれた特殊な機械を使い、20年ほど前からコンピューターを操作している。

 「やりたいことを声に出すと、いつも誰かがサポートしてくれる。障がいがあっても工夫さえすれば、できることはいっぱいある。やり方を知らないだけだったと気付いた」と笑う。

 そんな宮城さんも事故直後、医師に「ずっとこの状態だ」と告げられ、家族に八つ当たりしたこともあった。だが、周囲の人は今までと変わらず接し続けてくれた。

 次第に「このままではいけない」と、前向きに考えるようになった。ハーモニカやパソコンに取り組み、できることが一つずつ増えていった。2013年には広告事業を営む「一般社団法人さびら会」を創設。さらに今回、自身の経験も生かして訪問介護事業も手掛けるようになった。

 現在「訪問介護さびら」には非常勤スタッフを含め7人が所属する。勤務する喜名百恵さん(41)は「幸春さんと接していると私たちも明るく前向きな気持ちになれる」とほほ笑む。

 宮城さんは日ごろ訪問介護を受ける中で“支援をする、受ける”という関係を超えた人と人との付き合いが大事だと実感している。

 「双方が『お互いさま』の気持ちで過ごせたらいい。幅広く多くの人がよりよい生活を送るサービスを提供していきたい。目標は『訪問介護さびら』の事業を大きくし、同じように障がいがある人の就職先にすることだ」と展望を語った。(清水柚里)

琉球新報社

最終更新:8月19日(金)11時15分

琉球新報