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北海道の水素エネルギー普及計画、2040年までのロードマップ

スマートジャパン 8月19日(金)9時25分配信

 広大な土地を有する北海道では再生可能エネルギーが各地域に分布する一方、エネルギーの消費地が都市部に集中するために地産地消がむずかしい。この問題を解決する有効な方法が水素エネルギーの活用だ。再生可能エネルギーで作った水素を貯蔵・輸送できるサプライチェーンを道内に構築して、地域の活性化と産業の育成を目指す。

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 北海道庁は構想の実現に向けて「水素サプライチェーン構築ロードマップ」を策定して8月4日に公表した。2040年までに3つのステップに分けて計画を推進する。第1ステップ(STEP1)は2016年から2020年までの5年間で実施する。札幌市などの大消費地を中心に燃料電池のエネファームと燃料電池車の導入を促進しながら、再生可能エネルギーが豊富な地域では水素を地産地消する実証プロジェクトに取り組んでいく。

 国が2014年に発表した「水素・燃料電池戦略ロードマップ」に合わせて、2030年までにエネファームを北海道の全世帯(240万世帯)の1割に、燃料電池車を9000台に拡大する目標を掲げた。さらにサプライチェーンを完成させる2040年には、道内の全域に水素ステーションを展開する計画だ。その目標に向けて2016年4月に北海道で初めての水素ステーションが室蘭市で稼働した。

 室蘭市を含めて水素エネルギーの実証事業や導入計画が6つの地域で進んでいる。実証事業は西部の苫前町(とままえちょう)で風力発電、中部の鹿追町(しかおいちょう)では乳牛の糞尿から作ったバイオガス、東部の白糠町(しらぬかちょう)では小水力発電を利用して水素を製造する試みだ。それぞれのプロジェクトには民間の有力企業が参画して、官民一体で取り組んでいく。

水素の製造可能量は消費量の2倍にも

 続く第2ステップ(STEP2)は2030年までの10年間を対象に、水素サプライチェーンを広域に拡大する。第1ステップで取り組んだ実証事業の結果をふまえて、風力・小水力・バイオガスで作った水素の地産地消モデルを各地域に展開していく。大消費地の都市部に定置式の水素ステーションを増やすのと同時に、水素を貯蔵して遠隔地まで輸送するシステムの構築も進める予定だ。

 北海道には地域ごとに再生可能エネルギーが分布している。西側の日本海沿岸は海からの強い風を利用できる風力発電、一方の東側に広がる太平洋・オホーツク海沿岸は日射量が多くて太陽光発電に適している。酪農や林業が盛んな東部ではバイオマス、さらに内陸の山間部を中心に地熱と小水力発電の資源も豊富にある。それぞれの地域の特性に合わせて、再生可能エネルギーから作った水素を地産地消するモデルを展開できる。

 北海道庁の調査によると、道内で1年間に製造可能な水素の量は北海道全体のエネルギー消費量と比べて最大で2倍程度を見込める。水素の製造が各地域で活発に始まれば、消費しきれない水素が大量に余る可能性がある。2030年からの第3ステップ(STEP3)では、道内の全域に水素サプライチェーンを構築するのと合わせて、道外にも水素を供給できる広域の輸送システムを完成させる。

 こうして3つのステップを通じて、水素の製造から貯蔵・輸送・利用までの拡大策を官民連携で実施していく構想だ。ロードマップどおりに水素サプライチェーンを構築できると、北海道が日本の水素エネルギーをけん引する形になって、新たな産業で経済を発展させる期待が持てる。

最終更新:8月19日(金)9時25分

スマートジャパン