ここから本文です

【レスリング】伊調馨「東京五輪で5連覇」か「指導者への道」か

東スポWeb 8月19日(金)6時0分配信

【ブラジル・リオデジャネイロ17日(日本時間18日)発】リオデジャネイロ五輪レスリング女子58キロ級決勝で伊調馨(32=ALSOK)が、ワレリア・コブロワゾロボワ(23=ロシア)を3―2で下し金メダルを獲得、女子の個人種目では史上初の五輪4連覇を達成した。試合終了わずか4秒前に逆転してつかんだ劇的勝利にクールな女王が涙。苦悩と葛藤を乗り越え歴史に名を刻んだ。

 1―2で迎えた試合終了間際だ。相手が片足タックルに入ってきたところをかわしグラウンドへ。必死の形相で相手の防御から足を抜き、背後に回って2点を獲得。一瞬のスキを逃さずワンチャンスをものにした。あまりに劇的な大逆転勝利に伊調は「ここしかないと思って(バックを)取りにいった。最後はお母さんが助けてくれたと思う」。一昨年に亡くなった最愛の母・トシさん(享年65)を思い、涙を流した。

 向かうところ敵なしの最強女王も、今大会は苦悩を乗り越え、本番を迎えた。1月のヤリギン国際で13年ぶりに敗戦を喫し、6月のポーランド国際でも戦い方に課題を抱えた。本番2か月前には五輪でどう戦うか迷い、悩んだ。「(五輪について)前向きなことなんて今は全く言えない」というほど、迷路にはまり込んだが、「五輪は必ず勝たなければいけない大会」と強い意志で試行錯誤を続け、活路を見いだした。「五輪での戦い方が定まった。今が一番強い」と自信を深めた。

 メンタル面でも開き直ることで、4連覇の重圧に打ち勝った。五輪が近づくにつれ「4連覇」という言葉を耳にする回数が増えたが「4連覇なんて考えて練習していなかったから、聞き続けたら変な不安とか期待とかプレッシャーが出てきた」(伊調)。しかし、友人に「五輪に出たくても、ケガやタイミングで一度も出られない人がいる。4回も出ている時点で馨は普通じゃないの。だから開き直れ」と諭された。「『あ、自分は普通じゃないんだ』と思ったら気が楽になって吹っ切れた。考えてみればレスリングの金メダリストは今も昔も変わった方ばかりですしね(笑い)」と心が軽くなった。

「自分のレスリングに満足はない。一日一日が一生懸命。『伊調さんのゴールはどこ?』と聞かれても、そんな先のこと考えている余裕ない。今で精一杯」と競技生活を送ってきた。リオ五輪後についても「いつも集大成、最後だと思って試合に出ている」と先のことを考えず、全精力を費やしてきた。

 東京五輪で5連覇を目指すかについては「今は考えられない。とりあえずたくさんの人に金メダルを見せたいです」。

 競技を続けるかどうかは今後の気持ち次第だが、4年前にはなかった意識が芽生える。指導への興味だ。自分が学んだ技術を後輩の女子選手にも教え、女子レスリングのレベルアップに役立ちたいと考えているのだ。指導方法、そして指導者の言葉の大切さにも注目。「技術をどう言葉で説明できるか。感覚を説明するのは難しいけど、それができないといい指導者にはなれない。どうやったら分かりやすく伝わるか。勉強ですよね」と話し、言葉の使い方にまで意識を置いている。

 指導者転身への道を着々と固める伊調に日本レスリング協会関係者は「伊調はレスリング界の宝です。今後、日本レスリングが発展していくうえで、女子であそこまで技術を極めた伊調の存在は、絶対に大きい」。前人未到の女子4連覇を果たした史上最強のレスラーが、史上最高の指導者に近づいている。

☆いちょう・かおり=1984年6月13日生まれ。青森・八戸市出身。3歳から八戸クラブでレスリングを始める。2001年のジャパンクイーンズカップ(10年から全日本選抜選手権へ移行)で優勝し注目を集める。02年世界選手権で初優勝後、これまで通算10回の優勝を誇る。04年アテネ、08年北京、12年ロンドンと63キロ級で五輪3連覇。中京女子大(現至学館大)卒業。166センチ。

最終更新:8月19日(金)6時0分

東スポWeb

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

暗闇で光るサメと驚くほど美しい海洋生物たち
波のほんの数メートル下で、海洋生物学者であり、ナショナルジオグラフィックのエクスプローラーかつ写真家のデビッド・グルーバーは、素晴らしいものを発見しました。海の薄暗い青い光の中で様々な色の蛍光を発する驚くべき新しい海洋生物たちです。彼と一緒に生体蛍光のサメ、タツノオトシゴ、ウミガメ、その他の海洋生物を探し求める旅に出て、この光る生物たちがどのように私たちの脳への新たな理解を明らかにしたのかを探りましょう。[new]