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親子は“である”でなく“になる” ……『はじめまして、愛しています。』が突きつける真実!

トレンドニュース(GYAO) 8/19(金) 18:44配信

今クールのドラマ一番の問題作は、『はじめまして、愛しています。』。「子どもの養子縁組をテーマに“本当の家族とは何か”を問うホームドラマ」と制作陣が言う通り、養子縁組制度を入り口に、親子は“親子である”と思いがちだが、実際には“親子になる”ものと訴えている。

「はじめまして、愛しています。」第6話 2016年8月18日放送分を無料配信>>

ドラマの概要はこうだ。
 実の親から虐待を受けていた男の子(横山歩)が、ある日突然、子供のいない梅田美奈(尾野真千子)と信次(江口洋介)夫婦の前に現れる。養子縁組を申請しハジメと名づけるが、実際に生活が始まると一筋縄ではいかない。なかなか“口をきかない”“懐かない”“感情を出さない”程度は当然予想できることだが、<ジュースやソースなどありとあらゆる液体を家中にまき散らす>など問題行動が始まってしまう。里親の愛情を図る子どもの“試し行動”である。

 さらに“赤ちゃん返り”という次なる試練も待ち受ける。“抱っこ”に“おんぶ”、さらには“おっぱいをねだられる”などが続く。美奈(尾野真千子)は家でピアノ教室をひらいているが、仕事はおろか、一人でトイレに行くこともままならない。

 こうした苦労の次に来るのが“しつけ”問題。美奈はピアノ教室で多くの子どもを見てきたせいか、あいさつから食べ物の好き嫌い、箸の持ち方など細かいところまで、つい知らないうちに「ダメ」「○○しなさい」を繰り返すようになってしまう。やがて男の子(横山歩)はイライラが爆発。親子関係は一歩前進すれども、二歩後退のようなじれったい状況が続く。

 こうしたエピソードは、実は里親制度で親子になった多くの家庭で見られる実際の話だ。そこをドラマ化するにあたっては、制作陣は綿密に取材し、養子縁組での苦労をなるべくリアルに再現している。

 こうした努力は、視聴者にも確実に届いている。
 視聴率こそ、初回10.0→11.4→8.4→9.8→8.8→9.1%と、あまり華々しくはない。それでもデータニュース社が同じ1000人の毎日のテレビ視聴状況を調べる「テレビウォッチャー」では、満足度が初回3.70→3.60→3.87→3.81→3.98と着実に上がっていた。ドラマの平均値は3.6~3.7程度なので、3話以降はかなり高い。特殊な設定に当初戸惑っていた視聴者が、次第に話に引き込まれている様子が伺える。
 「絶対見る」「なるべく見る」を足し合わせた“次回見る率”で見ても、初回74.2→92.5→88.5→93.6→92.9%と好調に推移。特に“絶対見る率”が初回32.4→49.1→55.8→55.3→66.7%と急上昇している点は特筆に値する。

 同調査の対象となった視聴者の声。
「親になるのは大変なことだなーと改めて感じた」(F1:女20~34歳)
「親は、子供と一緒に少しづつ親になってくんですね!」(M3:男50歳以上)
「子どもがいるのでめちゃめちゃ共感できて思わず泣いてしまいました」(F2:女35~49歳)
 いずれも物語を高く評価し、ハマり始めた人々だ。

 そして18日(木)放送の第6話は、新たな局面に踏み込んだ。ハジメが集団生活にどう入っていけるのか。他の子との関係構築で、親はどう助言できるかが取り上げられた。
 男の子はいよいよ幼稚園に通い始める。両親は幼稚園の生活になじめるか、養子であることを知らせるべきか、悩みは尽きない。そして心配は現実のものとなり、入園早々にトラブルが発生。
 ハジメ(横山歩)がお遊戯の最中に、他の子を押し倒してしまったのである。実は、その子が別の子をいじめており、ハジメはそれを止めようとしたにすぎない。ただし暴力を振るったという事実は事実だ。
 信次(江口洋介)は円満に事を済ませるために、つい先方の親に謝ってしまった。するとハジメは、「僕は悪いことをしたの?」「また同じことがあったら、どうすれば良いの?」と問いかける・・・言葉を失う美奈と信次。

 実は虐待を受けた子供は、いじめを見かけると許せないと感ずることが多い。養父母は「ほっておきなさい」と教えるのか。制止に入って逆に虐められることを覚悟で、「正しいことを貫きなさい」と諭すのか。
 美奈は児童相談所担当者に相談する。「普通の親はどうする?」。しかしかえってきたのは「普通にこだわっても仕方ない」。養子縁組の親子が必ず直面する“普通”へのコンプレックスをどう乗り越えるかが重要で、答えは自分で決めるしかないというのである。

 当ドラマの脚本は遊川和彦氏が担当している。『GTO』『女王の教室』『曲げられない女』など、極端な性格の主人公が、視聴者の感情を揺さぶる作品を書いてきた。近年では『家政婦のミタ』『純と愛』『○○妻』『偽装の夫婦』と、家族とは何かを問う作品が続いている。そして衝撃的なエンディングの作家としても有名だ。
 今回の作品のテーマは、いわば従来の執筆活動の集大成のような部分がある。そして見る者の予想を裏切る遊川氏のストーリーテリングがいかんなく発揮される。

 第6話でも、両親は悩んだ末に決断し、この上ない状況が訪れる。美奈(尾野真千子)の独白はこうだ。

ハジメが奏でる音楽でみんなが一つになった
ある人には、勇気を与えた!
 ある人には、愛する人を大切にしようという気持ちを思い出させた
 ある人には、こんな自分にも何かできるのではという希望を与えた

 ところが物語は天国から急転直下、地獄のような展開を見せる。ジェットコースターのように急上昇と急降下を繰り返す同ドラマ。これまでちりばめてきた布石を、ここからどう回収するのか、目が離せなくなってきた。

 文責・次世代メディア研究所

『はじめまして、愛しています。』毎週木曜夜10時~

最終更新:8/19(金) 18:44

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