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処分予定の像、実は「お宝」 金沢の実成寺、仏師・松井乗運作

北國新聞社 8/19(金) 3:08配信

 寺町4丁目の法華宗陣門流実(じつ)成(じょう)寺(じ)で、処分するつもりで整理していた像の中から金沢の仏師松井乗運(じょううん)作の「日蓮聖人坐像(ざぞう)」と多宝如来、釈(しゃ)迦(か)如来が鎮座する「一塔両尊坐像」が見つかった。思わぬ「お宝」の発見に寺関係者は驚きを隠せず、県立歴史博物館の関係者は「制作された年代も記されており、松井乗運の技や歴史を伝える上で貴重な資料となる」として評価した。

 見つかった日蓮聖人坐像は台座を含めた高さが約25センチ、一塔両尊坐像は約40センチで、いずれも木造となる。日蓮聖人の表情や仏具、台座など各所に松井乗運らしい緻密な彫刻が施されている。

 像の底や台座に墨で制作年やただし書きが記されており、日蓮聖人像は1874(明治7)年4月に松井が60歳のときに制作したことが分かる。多宝如来像の台座には、戦国時代の武将加藤清正が朝鮮出兵の際に持ち帰り、育てたビャクダンの木で作ったという墨書きもあった。

 二つの座像は、5月初めに、佐古弘純(こうじゅん)住職が本堂裏の棚を整理していたときに見つけた。先代から棚に並ぶ像については何も聞いていなかったため「処分しようと思っていた」という。しかし、ほかの像に比べて丁寧に彫られ、像の底にただし書きがあったため、県立歴史博物館の北春千代学芸主幹に見てもらったところ、貴重な資料と分かった。

 松井乗運は1815(文化12)年、野田寺町(現寺町)に生まれ、京都で修業した後、18歳で金沢に戻った。仏像や獅子頭などを作り、その技は「精緻巧妙」と評された名工だ。

 佐古住職は「まさか捨てようと思っていた像の中から貴重なものが出てくるとは思っていなかった。大切に保管していきたい」と話した。

北國新聞社

最終更新:8/19(金) 3:08

北國新聞社