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「アバルト124スパイダー」創業者の想いを載せて日本デビュー

ZUU online 8月20日(土)10時10分配信

イタリア製オープン2シーター「アバルト124スパイダー」。10日8日からFCAジャパンより発売される予定だ。

「アバルト124スパイダー」は、マツダ ロードスターのアーキテクチャをベースに、フィアットと共同開発したスポーツカーである。いわば、マツダ ロードスターとは兄弟のような関係であるが、キャラクターは大きく異なる。オープン2シーター好きなら気になる2台であるが、読者のみなさんはどちらを選ぶだろうか。

■レース由来のアバルトを冠に

そもそも「アバルト」とはどんなブランドなのか。なじみの薄い人もいることだろう。

サソリのエンブレムに象徴される「アバルト」。このエンブレムは創業者のカルロ・アバルトが、11月15日生まれのさそり座だったことに由来する。

1908年、オーストリアに生まれたカール・アバルトは、若い時からバイクレースで活躍した。しかし、第二次世界大戦が彼の運命を大きく変える。戦禍を逃れるためアバルトはイタリアの市民権を取得し、名前もカルロに変え、ユーゴスラビアに疎開するのである。この決断でアバルトはレーサーとしてのキャリアを断念することになる。

第2の転機が訪れたのは戦後間もない1949年。北イタリアで生活する彼が勤めていた会社の経営破綻だった。失業した彼は自身で「アバルト& C.」を創業する。経済成長期を迎えた1950年代には、同社の提供するスポーツカーやレーシングカー、チューニングキットが評判を呼んで順調に業績を伸ばし、アバルトのレースへの情熱が事業として結実する。

その後も事業規模は拡大したものの、多額の資金を必要とするモータースポーツの世界で、次第に資金繰りに苦慮するようになる。1971年にはフィアット傘下に入り、アバルトはレーシング部門を担うこととなる。

■1960年代の名車への「オマージュ」

今回発表されたアバルト124スパイダーは、1960年代に名車と呼ばれた同名のスポーツカーに対する「オマージュ」として蘇ったものだ。たとえば、フロントエンドのオリジナルラインや六角形のフロントグリル、縦置きを示すボンネットの膨らみに50年ほど前の名車の面影を感じることができる。

生産はマツダの工場で行われるが、スタイリングデザインはもちろん、パワートレイン、室内装備、サスペンション、ステアリングフィールもFCAが独自で開発したものだ。

特筆されるのはエンジンである。FCAオリジナルのエンジンは最高出力170馬力、最大トルクは25.5kgmを発揮する高トルク型のターボを搭載。一般道は最新のアクティブセーフティで制御されるが、サーキットではドライバーが電子制御をコントロールすることでリニアなエンジンレスポンスを味わうことができる。

そのエンジンは、N/Aにこだわりを持つマツダ ロードスターとは異なる世界観であり、創業者であるカルロ・アバルトのレースへの情熱が込められているかのようでもある。

価格は6MTが388.8万円、6ATが399.6万円。輸入車としてはお手頃な設定といえるだろう。

■ブランドの歴史、クルマづくりの姿勢に共感できるか

一方、マツダ ロードスターは世界生産で「ギネス記録」有するライトウェイトスポーツカーだ。1989年4月より生産を開始し、2016年4月には累計生産台数で100万台を突破している。

初代ユーノス・ロードスターから「人馬一体」の走りをコンセプトにFR、N/Aエンジン、徹底的な軽量化にこだわり続けてきたライトウェイトスポーツカー。その一貫した姿勢が世界中で愛され続ける理由の一つなのだろう。2015年には魂動(こどう)デザインをまとった4代目ロードスターが登場し、話題を呼んだことは記憶に新しい。価格は249.48万円~319.68万円でこちらもスポーツカーとしてはお手頃といえる。

「アバルト124スパイダー」と「マツダロードスター」。兄弟でありながらも、そのキャラクターは全く異なる。

クルマ選びは性能や価格も一つの要素であるが、それだけではない。特にスポーツカーを選ぶ際にはそのブランドが有する歴史、クルマづくりの姿勢に共感できるかが、最終的な決め手となるのかも知れない。(モータージャーナリスト 池谷真子)

最終更新:8月20日(土)10時10分

ZUU online